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浩の教室・第50回勉強会の模様



 昨日は、手前味噌ながら、記念すべき第50回当サイト主催勉強会に多数(満席!)ご参加いただき、ありがとうございました。とうとう当勉強会も節目の50回を迎えることができ、感無量です。ご参加いただいたみなさま、応援に来てくださる先生方のおかげです。ありがとう。今後も楽しくためになる勉強会を求めて努力してまいりますのでよろしくお願いします。

 今回、男性6名、女性11名の方にご参集いただき、お受けになられた2次試験の模様の報告と、集団討論を2テーマ、実践していただきました。新しく参加された方も5名にのぼり、うれしく思っております。また、昨年この勉強会に継続的に参加され、大阪府に合格された中学校教諭U先生にも、また、現職小学校のY先生にもご参加いただけたことは、50回の記念を飾ることになりました。ありがとうございます。今後も、来年度をめざす受験生の方を励ましていただきたく、お願い申し上げます。そして、現職の先生方が、採用試験のための勉強で培った教職教養の豊富な知識を実践と結びつけるよう思考を鍛えるためにも、一緒に勉強していただければと願っております。新しい答申も出ていますし、そうした最新の教育行政に対する関心をも、先生に合格したからといって捨て去るのではなく、一層コミットしてほしく期待します。

 2次の報告は、大阪市の様子と兵庫県の様子でした。これについての詳細は、来月下旬に「全国教員採用人物重視試験情報」にピックアップいたします。

 さて、本日は、集団討論の一つ目のテーマを再現してみましょう。テーマは、「不登校の児童生徒に、担任としてどのように接触し指導するか議論せよ」というものです。6名(A〜Fさん)の方に25分間討論していただきました。さすがにほとんど2次試験に進まれた方ばかりの討論であって、まったく空白の時間なく進んでおりました。ただし、テーマに即した議論であったかどうかは別でありまして、討論終了後、コメント者から、これに対する疑問が指摘されることになりました。

 まず、Bさんから、不登校になった児童生徒はどのような原因でそうなったのかを調査し、どうしていくべきか考えなければならないんじゃないかと発言がありました。Fさんがこれにこたえ、不登校児童生徒の成育歴をも私たちは視野に入れ、小中連携してこの問題を考えていかなければならない、不登校問題は、そうした長期的な解決課題であるとされました。Dさんからも、不登校といっても、いきなりそうなったのではない、なにか原因がある。該当児童生徒がどのような生活をしていたのかを探る必要があるのではないかとご意見されました。

 こうした3人の方の意見を踏まえ、Cさんは、当該児童生徒のバックグラウンドを把握した上で、担任として不登校という事態をどのように捉えているのか、担当しているクラスの児童生徒の前で説明し、理解を得ることが教員としての責任ではないかと述べられました。Eさんからは、中学校だと友人関係が原因で不登校になるケースが多いことを報告され、現在の生徒観を披露されました。それによれば、現在の生徒は「もろい生徒」であり、対話やコミュニケーション能力が低下しているのが実際であろうということです。生徒同士があまり話さないと、お互いが理解できにくい、そうなれば、相互に尊重する態度も生まれにくい。結果、不登校に陥ってしまうケースがでてくる。Eさんはこれを生徒の「化学変化」と呼ばれていました。

 これを受け、Bさんは、私たちが児童生徒に心を通わせ、不登校防止の観点から、不登校になりそうな児童生徒を発見する、気づくことが大切であると述べられました。Fさんも、ちょっとしたきっかけが不登校においやる事実をあげられ、担任として集団を意識した学級経営をすべきであろうと抱負を語り、たとえば日直も2人で固定することはない、複数人で担当するグループ日直の制度を設けてもいいのではないかと提案されました。係活動一般が、個々の児童生徒の責任感育成をめざして設置される一方で、このような学級形成初期における児童生徒の親密度アップの方法は、採用して意義ある方法であると思われました。Bさんが、これに付け加え、席替えにせよ、給食にせよ、児童生徒が何を求めているのか、汲み取っていく力が私たちに求められているとまとめられました。

 ここでAさんが、今までの議論を受けつつ、テーマに立ち返り、高校を志望する立場から発言されました。高1のHRにおいて、生徒同士の人間関係を豊かにするよう指導したいとのことです。それが不登校を未然に防止する基本的な方法論でしょう。具体的に学校現場に話が及んだので、Dさんからは、保護者の中でも母親が不登校という事態をどのように思っているのかが鍵であるとし、「学校に行かせたい」と考えているのかどうか保護者の意識や態度が不登校対策を左右すると実践的に発言されました。Dさんの発言をきっかけに、Bさんは、「母が落ち着けば、子も落ち着く」とうまい標語のようにいわれ、Cさんは、「学校に行かなくていい」と保護者とりわけ母親が態度決定してしまうと、不登校が慢性的になる。初発の段階で対応するためには母親を「味方につける」必要があるのではないか、学校に登校しやすい環境を家庭が用意するのを支援する必要があるのではないか、とご意見されました。

 Eさんは、「味方につける」のではなく「味方になる」という立場から家庭訪問をしていけばいいと議論され、Fさんからは、電話よりも訪問ですねと語られました。表情から読み取れることもたくさんありますね。Fさんおっしゃるように保護者と顔見知りになれば、会話も多くなるし質的にも深くなる。そこから、不登校解消策も見えてくるのではないか、というご意見です。また、子どもにプリントを持っていかせ登校刺激を与えるのも、おっしゃるように、よい方法ですね。

 ここでAさんから、不登校児は安全なのかと違った角度からの斬り込みがありました。つまり、虐待による不登校もあるのではなか、ということです。虐待と不登校との関連を探ろうとする発言であり、評価できます。このトピックは、教員が児童相談所などとどう連携するかという議論の発祥となりました。しかし、議論そのものは時間の制約もあって、深められたとはいえません。しかし、しかし、それはそれでよいでしょう。

 つづいてEさんは、教師間連携にかかわって、教育実習当時の話題を報告されました。不登校問題解消を、学校としてどう取り組むかを考える発言でした。中学校では、学級担任制ではないので、教科担当の先生方が生徒の印象をメモし、それを職員室に設置された箱に投函する。これをもとに生徒理解を深めていたとのこと。先生方の努力が目に見えるようです。

 先生の連携という点では、Cさんがおもしろい提案をしてくださいました。不登校児童生徒の家庭に訪問するとき、担任が継続していくのはもちろんであるが、たとえば昔の担任の先生も一緒に行くなどして工夫を凝らし登校刺激を与えるべきではないかというものです。Bさんがいう、「いまその子にとって何が必要か」を確かめるよい方法でしょう。そしてまた、児童生徒を包み込む包容力を持った教員になることが、Fさんおっしゃるように教員の資質として欠かせませんね。

 Dさんは、こうした議論をお聞きの上で、学校として取り組んでいく課題が不登校問題であるとし、学校に教室とは別の部屋を設け登校させるなど、居場所作りをするのも大切と述べられました述べられました。Bさんは保健室登校にも触れられました。Eさんは、学校が人と人とがかかわりあう場であることを再確認し、自己肯定感を養うようすべきだろうといわれ、教科教育においても児童生徒を評価する、認めていく姿勢をとり、肯定感の増進をもとめる。そうすれば不登校防止につながるのではないかと述べられました。

 BさんやCさんがいわれるように、連絡帳や交換日記の活用つまり「間接的小道具」で児童生徒の理解を深めることも大切でしょう。先生が家庭訪問にいった「証拠を残す」ことも、あるいはよいのかもしれません。Fさんは、「学校としての取り組み」という観点から、スクールカウンセラーを通して「自己肯定感」を引き出せることもあるとの発言があり、不登校傾向の解消に一役買う活動になると述べられました。こうした発言の最後に、Dさんは中学校は学年持ち上がりで教員が担当していくので、3年間というスパンで生徒を見守っていく態度を持とうと述べられ、将来を生徒とともにみつめていくと決意されましたようです。

 ただ、1年ごとに担当教員群が変わる学校もあるとEさんは述べつつ、生徒同士の相互に相手を認め合う態度の育成、お互いを受容する態度の育成を忘れないよう指導したいといわれました。Bさんの、その子の自信を回復するような指導をしたいというのも同じ意味でしょう。

 Cさんいわれるように、不登校がリバウンドしてもいけませんので継続した生徒理解が求められますし、Fさんの校種関連携も当然ながら必要なファクターですね。

 こうして討論時間が終了しました。

 お読みになればおわかりのように、一見互いのご意見を尊重されつつも、かなり議論が錯綜していたように思えます。なぜなのでしょうか。語るに足る内容ではありますが、ジグザグ走行であったのは否めません。

 テーマの分析はどうでしょうか。「接触」、「指導」の中身は十分だったでしょうか。担任として具体的な解決に資する方法論を深めるのか、学校としての不登校対策を語るのか、校種間連携を考えるのか…。

 不登校の原因論がはっきりしていないので、筋が通りにくくなっていた印象です。大きく分けて、怠学による不登校なのか、本人に主原因がある不登校なのか、不登校児童生徒をどうみるかでも議論が変わってきます。

 討論の方向性が強い個性のぶつかりあいで綱引きになっていたようです。問題意識の強さが協調性を乱す結果もあります。今回の討論は、討論の筋道に一貫性がなかったように感じられました。それはなによりも、話の道筋を討論者同士で決定していなかったことに起因するのではないでしょうか。前半の議論が終了間際で再説されるのは、それが原因です。難しいことですけど、雑多な議論がとりとめもなくつづいていくのではなく、考察を深める態度で討論に挑みましょう。

 いや厳しい言葉でスイマセン。でもそれは、「よりよい討論を求めて」だからにほかなりません。よりいいものを作っていきましょうよ。

 ふたつめのテーマは、参加者から提案されたもので、今年度神戸市一次試験で実施された論題です。すなわち、「教員の連携はなぜ大切か。学習指導、生徒指導の両面を踏まえ、討論してください」です。討論参加者は、男性1名、女性5名の計6名で、時間は25分間です。女性陣に混じっておひとりの男性が奮闘してくださいました。仮にA〜Fさんとして、再現してみましょう。

 討論はCさんの発言からスタートしました。中高は学級担任制ではなく教科担任制なので、クラスの生徒とも短時間しか話せないのが悩みであると切り出されました。小学校はその点、常にクラスの児童と接することができ、教員の連携を考える上で、連携の仕方が異なってくるかもしれないとご意見されました。これに対しFさんが、小学校では、担当クラスの児童のことは把握できるけれども、他学年や他クラスの児童のことを担当クラス児童と同じように把握しているかといえば疑問であると反省点を交えながら、教員間連携をどうすべきか、校種を問わず議論したいというニュアンスを持って話されました。Eさんも、どの校種でも教員の連携は必要であり、複数の教員の視野から多様な教育的営為をみることによって、新しい何かがわかってくるとFさんに同意されました。

 また、Eさんは、複数の視野つまり複数の先生から認められた児童は、「いろんな先生から認められている」と自覚を持つことができ、自己肯定感の深まりを感ずることができるとおっしゃいました。

 Bさんは、このテーマから、習熟度別指導における教員連携、少人数指導における教員連携という非常に重要なトピックを提供されました。

 Cさんは、個別指導、補充・発展的な指導もあるが、教員間連携を推進するには総合学習が大きな役割を持つのではないかと述べられました。総合が単一教科ではなく、さまざまな教科の「総合」的な学習内容を用意しなければならず、また、児童生徒の個別的、教育的なニーズに応答しなければならず、教員の連携がぜひとも必要な時間となるということです。

 Dさんからは、小学校では総合は、学年単位で動くことがもっぱらで、具体的に地域めぐりにおいて、同じめあてに向かって取り組むには教員間連携が重要となってくると述べられました。

 さらにBさんは、特別支援教育においては連携はどうなるのかと述べられました。通級の児童と原学級とのかかわりを深くするには教員間における児童把握が共通化していないと指導がうまくいかないケースがあるということです。

 と、ここまでで、このテーマから、どのような小節を設けて議論を作っていくか提案的主張が発せられたようです。教員間連携の具体的場面をどこに想定し、議論の土俵にするべきか、参加者のほうで作ろうと意欲された場面でした。しかし、どうも共通理解化の消化不良といいますか、それぞれの参加者の問題意識が共有されることなく、議論の方向性が定まらなかったように思えます。たとえば習熟度別指導における教員間連携は重要なポイントであるにもかかわらず、これは今回の討論では深められませんでした。最後まで討論のトピックにならなかったのは不満でした。総体的に議論は雪崩のようになってしまった感があります。

 さて、Eさんは、Dさんの「めあて」発言を受け、教員は学習指導においてひとつのめあてを持って実践すべきで、指導のやり方がバラバラだと、児童の方も混乱する。そうした意味では教員間で統一見解を持ってすべての指導にあたるべきであると発言されました。Cさんもこれに同意、共通理解と実践がないと生徒指導においても混乱すると、「あるクラスではシャーペン使用可、別のクラスでは不可」との例をあげながら発言されました。Fさんも、指導の違いがあれば児童間に不公平感が発生し、協調がとれないと述べられました。

 Dさんは、教員間連携がとれていれば、新しい教育方法や評価が発見されるとおっしゃり、それぞれの先生の教科の見つめ方も違うので、それらを総合できる可能性について触れられました。読書教育にかかわり小学校と保育園との連携についても語られ、これがFさんにつながり、小中連携の話題となりました。中学校では小学校教育において足らないところが指摘されそれを小学校にフィードバックしてもらうといいとのことです。教科の見つめ方が違うという点では、Bさんも漢字の教え方でも千差万別で、教員間の意見交換ができるといわれました。校種間連携ということでは、Cさんが中高連携にも触れられ、オープンハイスクールの具体例、「科学の祭典」の報告から自由研究を通しての小高連携について語られました。さらにDさんから、いじめの継続を解消するため校種間連携し、情報の包み隠さず交換することによって解決に導くことができるのではないかと提案がありました。

 こういうふうに、いつの間にか教員の連携が校種連携の話題に転換し、議論はこの話題で進行していきます。教員の連携を同一校内の議論で進めるか、それとも校種間連携下の教員連携に踏み込んで議論を進めるか、議論進行を整理しながら進めないと、混乱と疑問を持ってしまいます。聞き手の側は、テーマに即した議論を期待しているので、ここのところを忘れると、聞いていて混乱ひいては「なんじゃな」と思ってしまいます。教員の連携といった場合に、当然それは異校種間でもあり得るのはいうまでもありません。しかしそこに展開するまでに、ワンクッションほしかったというのが、本音です。

 校種間連携の流れを踏襲しつつ、Eさんが、小中情報交換会を継続的にやっていることを述べられ、対保護者についてもどういうように取り組むか議論しているとの発言がありました。Cさんの、転校生の受け入れにかかわりご意見されたのをはさみ、Bさんから、ひとりの人間の人格を作り上げていく教育を私たちは実践しなければならない、ひとりの人間を見守っていくことが、校種間連携の基礎におかれているはずであるとのニュアンスでまとめられたようです。このあと、CさんがEさんの小中情報交換会に興味を持たれ、質疑がありました。

 議論はここで転換し、Dさんが教員間だけでなく生徒同士の交流はどうなんだろうと提案されました。これに応答したのがAさんでした。Aさんは、当勉強会に初参加なこともあり、遠慮されていたのか、発言が後半に集中しました。討論終了後、聞き手の側からコメントがあったのですけれども、できれば討論の節目節目におきまして、少しでも発言したほうが、「参加している」という感覚を面接官に持ってもらいやすいと思います。前半15分ほど発言がなかったので、聞き手の側は、評価の態度を通り越して心配になっておりました。

 内容的には、Dさんの生徒間交流の発言を受け、中学生から小学生への演奏プレゼントを実施した経験を語られたのが印象に残っています。展望を持って中学校に入学してくる小学生のことをイキイキと述べられていました。

 この展望もって中学入学ということに関連し、Cさんが小6から中1に進むにあたり、不登校数が跳ね上がるのをどう捉えるべきかと切り出されました。Aさんは生徒の生活に踏み込んだ指導は難しいが、生徒の個別な言葉を共有していくことが解消策ではないかの発言され、たとえば、「昨日、午前1時にプリン買いに行ってん」という児童をどう見つめるか、教員間の情報連携の力が試されると応答されました。

 だいたい議論の進行は以上のようでした。少しだけコメントを。

 このテーマは、教員間連携ですので、文中でも指摘しましたように、同一校内における連携と異校種間連携とを分けて議論すべきであったと思います。

 それから、学習指導と生徒指導の両面で議論する、というのをどのようにわかりやすく討論参加者が議論するかです。この議論の整理ができているグループとそうでないグループでは、評価がかなり違ってくるでしょう。学習指導面での連携はどういうものがあり、生徒指導の連携ではどうなのか、こうした横軸に、同一校内の想定、異校種間連携を縦軸として座標を確定しながら議論することが、最善の形でしょう。

 こうした軸の設定が、討論を良くも悪くもします。しかし、初めて会った者同士、これを形成するのはまず無理。討論はそうすると「運」ということになってしまうのでしょうか。それはそうではありません。討論参加者の個性が討論の出来を支配してしまわないようにしないと、総崩れもありますので、そこをどうするか、調整する意識を持って各参加者が挑んでいくかということになります。その力が集団討論には要求されます。「運」に支配されないように、この調整意識を磨きましょう。

 これはすなわち協調性です。ひとりの参加者がダッーと脇目もふらず話してしまうと、こんな調整意識を持っていたところで発揮する場面がありません。濁流に呑み込まれてハイ終了というケースは、そうした場合に多い。これを「運」といって合理付けても、ご自身の結果が悪ければ意味がありません。だからこそ、この「運」命を自力で変えるようワタクシたちは「戦法」を練らなければならないということでしょう。

(2005年9月10日)

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