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浩の教室・第101回勉強会の模様

 昨日は、当サイト主宰勉強会および麦酒会に多数ご参加いただきありがとうございました。今秋合格しあすの大阪府教育を背負って立つH先生、すでに勤続4年、将来の兵庫教育は心配ないなと思わせるに足るH先生(勉強会第1回のときにも来てくださいましたね、あれからもう100回です)、さらには現在、大阪府で中心的にご活躍のK先生の御三方のご参加を得ることができました。師走のお忙しい中、学生たちのために立ち寄ってくださり、ありがとうございます。今後もよろしくお願いします。また、あすの東京都の教育を変えてくれることを大いに期待するH先生は、麦酒会に駆けつけてくださいました。

 勉強会に集うみなさんだけでなくワタクシも、先生方からよい刺激をいただきました。また、100回記念の「色紙」までいただき、ありがたく思っております。みなさんからいただいた色紙への言葉、一つひとつじっくりと読ませていただきました。いまは、リビングルームの一番高いところに掲げています。

 さて、当日は、「議論の叩き台としての教育学講義」を最初にいたしまして、生涯学習の問題点を摘出しましたが、いかがだったでしょうか。いろんな話題、時事的な話題を提供しつつ、進めてまいりました。

 次に、過去問の検討です。過去問では、学校安全の問題についてでした。問題ナンバー34番です。この選択肢の「B」の誤植訂正お願いします。「情事」となっていまして、勉強会の途中では「常時」の間違いとお伝えしましたが、後でよく考えますと「幼児」ですね。「じょうじ」と「ようじ」と打ち間違えたようです。失礼いたしました。

 ここに登場した資料「登下校時における幼児児童生徒の安全確保について」を全文読みましたけれども、その文面を具体化する実践方法を各自お考えくださいね。問題解答解説は、来年8日の第102回で終了です。過去問の解答解説といってもワタクシの作っておりますのはそれにとどまらず、考える視点を多く提供しておりますので、じっくりこの冬に復習しておいてくださいね。ここにシート式をすれば、大阪府ほか1次のマークシートは満点取れますから。

 最後に討論です。集団討論の模様をお伝えします。今回のテーマは、「禁煙教育についてどうするか。また、学校完全禁煙化についてどう思うか」でしたが、ここには2つの語るべきポイントがあることは、みやすいと思います。

 ひとつは禁煙教育そのものについて。このトピックからは、当然に、児童生徒に対する禁煙教育が導かれます。と同時に、教員自身の喫煙に対する態度が議論されるところでしょう。

 もうひとつは、学校完全禁煙化ですね。これは、討論中に指摘がありましたように、すでに実施している都道府県があります。教職につくものは未成年の前で仕事をするわけで、そうした場所で悪影響を与えかねない喫煙行為が断罪されます。しかし、これはこれでいいのかどうか。こうした反対意見も登場します。議論の時間は20分間、ちょっとアドヴァンテージをとりました。参加者は全員で6名。A〜Fさんといたします。

 まず、Aさんがテーマを確認され、ご自身がスクールサポートに関わっていることを披露しつつ、タバコを吸う児童生徒が確かに存在すると指摘されます。大人になっていく成長段階でタバコを吸うことには、厳しい指導が必要で、そこには2種類の指導形態があると述べられました。ひとつは当然ながら、生活指導的な指摘で、それが法律的にも許されていない行為であるということ。もうひとつの指導の起点は保健体育的な視点からの指導です。健康教育ですね。

 Dさんは、問題提起的にテーマに迫る発言をされました。禁煙教育は必要であることはいうまでもない、成人するまでは法律で喫煙がダメであることは当然である。その上で、成人した後も喫煙がダメであることを学校で指導するあるいは教えるべきかどうか、というご意見です。現在、健康増進法の施行ほか、タバコが身体に害をもたらすことは自明です。成人の喫煙率も低下してきています。それは、学校における健康指導が一役買っているとすれば、Dさんのこのご意見は尊重されるべきでしょう。どこまで学校は禁煙教育に踏み込んでいくべきか、そのラインを設定しないといけません。在籍中だけなのか、それとも将来にわたって禁煙意識向上をもたらす指導にまで踏み込むべきであるのか。

 学校は、特定の年齢層の児童生徒を「教育」する場所であり、それだけでも精一杯である現実にあって、大人であれば個人の自由に属する喫煙に何か注文をつけてもいいのかどうか、難しい問題ではあります。これについては傍聴者からあとで指摘がありました。下に書きますね。

 Eさんは、タバコを吸うことに関し、ポイ捨てや歩きタバコの問題を指摘されました。これは大人の喫煙姿勢に対するご意見ですが、Dさんの発言を受けてのものでしょう。すなわち、成人かどうか、成人後にも身に染みるような指導を学校でするかどうかは大事な視点であることを踏まえつつも、喫煙に関するマナー論を展開したいようでした。Cさんは、タバコを吸うかどうかは大人であれば個人の判断であるとし、禁煙ゾーンも設置されているとされます。公衆道徳の問題に禁煙喫煙問題を解消するご意見です。

 議論するポイントにマナーを置くのは、ワタクシはテーマの範囲外ではないかと思っています。というのは、禁煙指導は対象は大きくは児童生徒であるし、完全禁煙化は、マナー云々をすでに超えたところでの議論ではないかと思われるからです。ここに固執しすぎると、討論が矮小化されてしまう恐れもあります。

 Cさんは、そもそもタバコを吸うのは悪である、との前提に立って議論するのかどうかと、討論参加者に提起されました。一同、うなづかれたようでした。その上で、Cさんは、禁煙教室について発言されました。勤務していた学校の事例を取り上げ、そこでは校長が禁煙指導に力を入れられていたようです。児童生徒のタバコをほしがる心理は病気であるといってよく、病院との提携も含めて禁煙教育を進めていっておられる実際からCさんは学び、こうした実践を引き継ぎたいとのニュアンスで述べられていました。たしかに禁煙セラピーは成人対象でも行なわれていますね。

 Fさんは、このCさんのご意見を受け、病院との提携で禁煙教育を進めていくのもひとつの手段であるが、そうしたいわば受動的な姿勢の禁煙教育から一歩進んで、タバコの身体に対する悪影響を調べ学習で実践してみてもいいのではないかと提案されました。学習を主体的にすれば、タバコを吸うことが身体に害を及ぼすということに理解が深まり、また、禁煙意識も高まると指摘されました。ただ、素朴な疑問ですが、実際にタバコの害を調べることを自主的に生徒に実践させている学校はあるのでしょうか。この実践に踏み込む学校は、ある意味、勇気のある学校だと思うのですがいかがでしょうか。

 Bさんは、小学生の間でも喫煙はあると指摘し、これは興味本位からはじまると述べられました。健康に与える悪影響を具体的に知るためには、上のような学習も効果があると認められているようでした。Aさんは、喫煙をはじめる年頃として中学に目が行きがちであるけれども、小学校で喫煙予防をすることは、大きな意義があると捉えていらっしゃいます。Cさんは、学習という観点から、伏流煙について述べられ、知識としてこうした問題性を知っていることは、自分の身を守る観点からも大切であると発言されました。また、Cさんは友人から聞いた話を述べられます。それはすなわち、家庭における禁煙教育についてです。喫煙は、生活全体に関わることで、「学校でだけ吸っていない」のは問題です。そこから、家庭に禁煙教育をお願いする姿勢を持つことが大切であると結論付けられます。病院ほか関係機関や家庭との協力体制は、禁煙教育に欠かせませんね。児童生徒の生活時間全体に関わることですから。夜回り先生のお仕事の尊さが改めて確認されますね。

 Fさんは、タバコへの興味(カッコいいなど)が吸いはじめる理由になっていることを指摘し、学校で喫煙に関するアンケートをとり、実態調査を公開してはどうかと発言されました。これが禁煙喫煙を考えるきっかけになることを期待されています。実は、高校時代、ワタクシはこうしたアンケートを受けた経験があります。Cさんは、女性一般の立場から、妊娠とタバコの害について主張され、タバコの害は身体に蓄積される害であり、「妊娠したから止めるわ」ではすまないと力説されます。討論後、女性とタバコについては、漫画を介して、吸うことが流行しているとの話題を提供しました。「ナナ」?やはり、Bさんも指摘され、討論終了後K先生からもコメントいただいたように、「興味本位、カッコいい」がタバコをはじめるひとつの大きな理由ですね。

 ところで、ここでAさんが、「学校完全禁煙化」のトピックに切り込まれました。大人がマナーを自覚することが、学校における禁煙化につながると述べられます。ここでマナー論が出てくるのは、議論進行上、許されるところです。教員がタバコを吸わない姿勢をみせること、これが児童生徒に伝わると述べられました。Cさんも提起されてましたが、ここでDさんから、挑戦的な発言がありました。練習の場ですから、意図的に「こうした発言を試みた」とDさんが後でお断りになったことを先に記しておきます。

 Dさんは何をいったのか。タバコ=悪と決め付けすぎではないか。タバコを吸うのはダメな人間である、そういい切っていいのか。タバコを吸う人間は、健康管理もできないダメ人間といっていいのか。タバコを吸う人間が誰かに迷惑をかけていれば別だか、分煙を守り、マナーもちゃんと守っているタバコを吸う人間に、ダメ人間とレッテルを貼っていいのかどうか。一方的過ぎないか。そして、吸うのは落ちこぼれである、こうまでいっていいのかどうか。このような討論参加者に向けての挑発的なご発言です。愛煙家のワタクシとしては、「おおっ」との意見でした。この点も、討論終了後、問題になりました。

 Eさんからは、これに関し、最近タバコで肺を病まれて亡くされた方がいらっしゃり、吸うのは悪くないとしても、やはり考え込んでしまうと述べられました。自然なご意見です。ストレス解消にタバコは数えられるかもしれないが、しかし、身体への悪影響が確実なので、やはりDさんの意見には反対のようです。

 Bさんは、ダメ人間というのはいい過ぎかもしれないけれど、子どもに接する場所としての学校では、やはり完全禁煙化の方向を推進するべきであるし、そうした学校全体の姿勢が子どもたちに対する他の領域における教育の効果も高めるだろうと指摘されます。Aさんも、伏流煙うずまく職員室は問題であると認識されており、別室を設けて分煙体制で進めていくのがよいのではないかと発言されました。ただ、この発言には「ものいい」がつきました。というのは、学校完全禁煙化がテーマのひとつなのに、分煙化を議論するのはおかしいのではないかということです。なるほど、指摘されてみればそうですね、完全と分煙では、かなり違いますから。しかし、一里塚として「分煙」をワンクッションおくのも、それはそれで許されるべき議論なのではないでしょうか。Dさんの挑発的ご意見とともに、考えるべき視点を提供してくれるAさんの発言でした。

 Aさんは、さらに、タバコを学校安全と関連させてご指摘されます。この観点は、出るようでなかなか出ないよい意見であったと評価しています。タバコの火の不始末は、ボヤ騒ぎに発展します。管理責任は健康だけでなく、学校施設設備にも及びますしね。結論的にAさんも、学校で吸うのはよくないと述べられました。

 Eさんは、教育実習においてトイレでタバコを吸っている生徒を「発見」してしまい、そこから「隠れて吸う」のはなぜだろうと問題を提出し、ニコチン依存の問題もあるけれど、「大人なら吸っていいんか」といった感覚を児童生徒は持っているからではないかと発言されました。したがって、模範的態度を教員がみせるべきではないかと完全禁煙化に同意されます。

 Cさんも結論的には完全禁煙化に同意されます。Cさんは、平成14年以降の和歌山における完全禁煙化を指摘され、効果が上がっている例を報告されました。また、タバコを吸っていると、ほのかに臭いがするので、完全禁煙化している学校では、近づいてくる生徒が吸っているかどうか判別しやすいと、禁煙化の「効果」を具体的に教えてくださいました。完全禁煙化で、禁煙喫煙のバロメーターが設置されるというわけです。

 Dさんは、あえて引き下がらず、完全禁煙化はやり過ぎと一貫性ある主張をなされました。なぜ、学校だけが完全禁煙なのか、役所ではどうなのか、調整がとれるのか、と問いかけられます。「臭い人間はヤダ」というのはわかるが、吸う自由も認められてしかるべきであると述べられ、時間がまいりました。
 さて、いかがだったでしょうか。こうした○×が結果として求められる討論では、全員が賛成では面白くないでしょう。そうした意味ではいわば「汚れ役」を買って出てくれたDさん、ありがとう、との気持ちです。

 さて、なぜ児童生徒はタバコに手を出してしまうのでしょうか。K先生は、それはやはり興味本位そして友人関係とおっしゃいます。また、タバコを吸うことによって、自分自身が「グレードアップ」していると錯覚することに原因があると指摘いただきました。なるほど友人から勧められてタバコに手を出してしまうケースは多いでしょう。しかし、それでは、一番最初の最初、タバコを吸った「友人」はどこから影響を受けるのでしょうか。おそらくそれは、家庭でしょう。父親が吸っているのをみて自分も吸う、です。また、先輩からの「勧め」もあるでしょうか。そうだとすれば、もう、禁煙は社会全体に法律で禁止するしかなくなります。薬物も、それに手を出すのは同様のケースでしょう。友達に勧められたから…、先輩に…。まあ、家庭というケースはほぼないでしょうけれど。

 大阪府では現実には完全禁煙体制にはなっていません。分煙です。それでもかなり進歩していると思われます。もし、完全禁煙化になって、吸いたい教員が学校の外に出て吸うとどうなるのか、といった問題も提起されました。教員が仕事をしている学校を抜け出すことは、服務を放棄することになる。分煙で学校内に吸う場所が確保されていればいいが、たとえ休憩時間であろうと校門を出て吸うとすれば、これは法律違反になるし、倫理的にも問題ですね。K先生のご指摘です。これを聞いていて、昼休みに外へ出て行ってメシを食いにいっていたワタクシなどは、反省しきり。生活指導の先生には申し訳ないことをしておりました。

 「ダメ人間」論はどうでしょうか。教員採用試験を受験する立場からすれば、これはいわない方がいいでしょう。討論終了後、そう結論がでました。吸う権利、吸わない権利のどちらを優先するか、このことを考えさせるのがテーマの根底にあるとK先生は指摘されます。こうした観点からは、やはり学校完全禁煙化に同意する態度をとった方が無難です。

 社会問題としての禁煙問題、健康増進法の施行、これらを視野に入れ、議論する姿勢が、学校完全禁煙化を語る上でも重要といえるでしょう。最後に指摘しておきたいのは、タバコを買うお金の問題です。一箱300円時代、一日一箱なら月に10000円近くかかります。児童生徒にとっては高いお金です。これはどこから捻出されるのか。保護者の財布からとってしまうのか。そうしたことにも触れていいかと思われます。

 寄せ書きの色紙、ありがとう。今後、200回、300回と、前進していきます。ものを考える、ということを通じてみなさんと知り合いになれるのは、とってもウレシイことです。お互いに刺激を受けあい、所期の目的を達成するようにしましょう。写真を載せたいところですけど、名前が書いてありますので残念ながらアップはいたしません。自宅でひとり感謝します。

(2006年12月23日)

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