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浩の教室・第99回勉強会の模様

 昨日は、当サイト主宰勉強会に多数ご参加いただきありがとうございました。当日は、合格者の方も3名ご参加くださり、集団討論に対しコメントいただきました。また、珈琲会にご参加いただいた、今秋合格の2名の方々、ありがとうございました。

 勉強会は、最近の時事問題に触れる形でそのまま「議論のたたき台となる教育学講義」をいたしました。武士道の話や品格の話がでました。いかがだったでしょうか。ご参加のみなさん、もっと積極的に発言いただいて構いませんよ。どうぞ問題提起してください。

 つづいて大阪府過去問解答解説でした。上の「教育学講義」と接続する形で、生涯教育の問題についてでした。生涯学習の歴史的展開や「まなびピア」のことについて学びました。

 そして最後に集団討論です。討論のテーマは、今回、トピックを立て辛かったようですね。テーマは「生徒の身だしなみを自由にしろと保護者数名から苦情が来た。あなた方はどう対応しますか。議論してください」でしたが、簡単すぎたようです。しかし、このくらいのレベルが本番でも出題されるものです。簡単だからこそ難しい。ポイントは、時間をいかに有効に消費できるか、トピックの立てにくいテーマにおいて、いかに議論の軸を提供できるか、というところにあります。このテーマ、テーマ自体が簡単だからこそ、議論の凝集点が形成しにくいということです。幅の広げ方が問題なわけですね。

 参加者は、今回はみなさん遠慮してか、5名、20分でした。発言者をA〜Eさんとしましょう。

 
 まず、Eさんがテーマを読み上げて確認し、苦情とはどのようなものか具体的に取り上げました。冬にセーターを着るか着ないか。いつ着るか。そうした衣替えあるいは暖をとるのに自由がないとすれば、これは保護者が苦情をいいにくるのもわかる。こうした具体的なケースについて問題提起ありませんかと議論の方向を示されました。Dさんがこれを受け、「身だしなみ」の一部に髪型もはいると捉え、茶髪やパーマを自由にしてほしいとの「苦情」のケースを挙げられます。Aさんは、女生徒あるいは女子児童(このケースは少ないでしょうけれども)なら、化粧や髪飾りの「身だしなみ」問題があると指摘、また、男女ともにピアスのことも「苦情」内容になるかもしれないと指摘されました。Cさんは、制服の廃止にまで踏み込んで「苦情」内容を捉えられます。

 Dさんは、いろんな「苦情」内容が登場したところで、ではその対応をどうすべきか、学校としての取り組みを打ち出すべきで、「身だしなみ」に関する共同体制をとるべきであると述べられました。Bさんも同様の観点から、担任が自分だけで問題処理するのではなく、職員会議で共通の指導認識を持つべきであるとご意見され、同時に学校方針を確定させることが大切であるとご意見されました。Cさんも、校内の全教員に共通の指導認識ができあがるまで、即答を避けるべきであると述べられました。保護者からの「苦情」一般には、教員個人で答えてよいかどうか注意しなければならず、できれば学校全体として苦情に応ずる相談を持つべきであると慎重なご意見です。

 こうした諸説に対し、Aさんは、テーマの「あなた方」というところを再確認し、教員複数がこの「苦情」問題に対応すべきであるとテーマの本質を捉えられ、職員会議で議論するのはもちろんのことながら、校則の存在を保護者に伝える必要があるということを指摘されました。Eさんがいわれたように、どうみても学校側が融通を利かせてくれればいいのにと思われる規則もあれば、ご自身がいわれた化粧の問題もあるので、個別のケースに応じて「苦情」取扱いをしなければなりませんね。ところで「あなた方」の方も複数なら、「保護者数名」も当然複数です。複数で保護者が苦情をいいにくるのは、めったにありません。あるとすれば、学校に対する「いちゃもんつけ」ではなく、学校側がかなりの程度妥協すれば丸くおさまる内容の「苦情」であると考えられます。ここに気付くかどうかも、このテーマの1つのポイントといえるでしょう。しかし、そうだからといって、制服廃止や茶髪、ピアス、化粧などの、学校として「ふさわしくない」と判断すべき「苦情」のことを議論しないでいいわけではありません。テーマの本質を理解しつつ、それを広げ掘り下げるトピックとして、こうした点に関する討論も必要です。

 つづいてBさんは、Aさんもいわれた校則について議論を深めようとされました。学校において継続的な集団教育を実施していくには是非ともルールが必要で、「身だしなみ」の問題は勉学に取り組む姿勢にも影響を与えるものであると指摘されます。そして、校則・ルールを保護者会で伝えるなり、学校通信で確認的に伝えるなりし、いわば「予防線を張る」のも一案であると述べられます。それでも「苦情」が出てきた場合に、相談体制を整えて保護者に対応する計画を立てるべきとのお考えでした。Dさんは、このBさんの最後の点を補足し、校則で決まっているからの一点張りでは聞かない保護者も想定されるので、快適な学習環境の意義を強調して伝えると保護者の理解も得られるのではないかと述べられました。

 EさんもAさんに同意しつつ、保護者にどのように伝えるかは、一方的なものであってはならず、保護者の立場に立って考えるべきであると主張されます。また、セーターに関しては、セーターの価格もある、高価なセーター、安いセーターと、家庭の経済環境も視野に入れて「苦情」対応するべきであろうと述べられました。Dさんは、これに答え、学校でセーターを一括購入するのもいい、中学生らしい、高校生らしいセーターを選べば服装問題は解消されるのではないかと考えておられました。保護者数名は代表として学校に「苦情」申し立てているわけで、だとすればPTAにこの「苦情」内容をかけてみるのも問題解決の一助になるのではないかとDさんは指摘されます。セーターの価格については、討論の中でもありましたけれども、数千円ではなく5万、6万円のセーターを着せてくる保護者もいるので、Eさん、Dさんのような「統一セーター」の話題が出てくるわけです。

 Bさんは違った観点からテーマを再考されようとし、「苦情」があるのは生徒が保護者に話している証拠であり、保護者の「苦情」としてあらわれる前に生徒理解をすすめておけばよいと指摘されました。Aさんは、この観点を逆転させて、生徒に対してきまりがあることの意味を考えさせ、それが保護者に伝わるように指導したいと話されました。なるほど、保護者と生徒が学校のあらゆることについて話をすることはよいことです。場合によっては生徒を介して保護者も啓蒙されますしね。

 ここでCさんは、校則は不動のものなのかと疑問を投げかけられました。これはいつかは出てくるご意見ですね。ルール、校則、規則、それを伝えるとなると、所与のルールが絶対であるとなります。生徒にそう捉えられる心配はないだろうかとの指摘です。校則は変える方法がある。生徒会活動でちゃんとした根拠があれば変えることができる。正式な話し合いを経た生徒の自主決定であれば、それを教員側は真摯に受けとめて校則改善の道もあることを保護者に伝えるべきだし、生徒にもそうした「やり方」を伝えることこそ民主的な態度ですね。Dさんも、生徒総会で生徒の要求が可決されれば職員会議で議論する余地があると述べられました。

 実はここで与えられた討論時間の半分くらいだったのですけれど、議論が行き詰ったようでした。発展的な、あるいは掘り下げるような意見が出てこないような雰囲気になったのです。空白の時間、これを討論参加者は心配するわけです。

 Cさんは、思い切ってここで今までの議論をまとめましょうと発言されました。時間の半分くらいでこの「まとめましょう」という発言が出たことに、討論終了後「ものいい」が付きまして、ちょっと早いのではないか、もっと議論するポイントを探すべきではないかと反省点が出されました。実際、討論参加者の立場からいえば、お風呂に浮かべたオモチャの船が風呂釜にあたっている状況で、力一杯推進しているのであるけれども進めない状況ではなかったかと思われます。その意味では「ちょっと早いのではないか、もっと議論するポイントを探すべきではないか」は酷な指摘ではありました。ただ、Cさんは、なんとかこの状態から脱出したいと思っていたわけで、まとめましょうとなったわけですね。しかし、その前に、討論参加者に「他にご意見なにかありませんか」とワンクッションいれるとよかったと思います。そこで何も他の討論参加者からご意見が出なければ、そこでまとめをしましょうと発言されれば、討論傍聴者の印象が違ったことでしょう。

 「まとめ」の内容として、望ましい対応の仕方は、1即答を避ける、2職員会議にかける、3個人的対応を避け学校対応とする、4PTA活動に報告する、5通信で校則を再確認する、などが討論参加者から繰り返し的に述べられました。4については学校評議員や学校運営協議会のことを述べてみるのもよいでしょう。こうしてでてきた一つひとつに改めて議論の糸口を探ろうとし、Aさんは保護者と生徒が両者理解できうる校則の必要性について指摘され、Bさんは、規範意識を持たせるためのルールであるということ、「身だしなみ」もルールであるから集団を維持するため、ある程度の「取り締まり」は学校裁量であることを主張されました。

 Dさんは、校則の中でも絶対的な規定といい形で変更できる規定があるとし、その妥協点の発見についてご意見されました。ルールは「境界線」ですからね。Aさんは、学校の活動に生徒が集中できるかどうかが、「妥協点」になると考えておられるようで、装飾具が気になるなら勉強できないだろう、寒いと学業に集中できないなら、セーターは必要だろう、とこういうふうに合理的に話されました。Eさんは、妥協点に関連し、服装がだらしないとはよくいう注意の言葉であるけれども、シャツを出したままの服装が果たしていいのか悪いのか、大人の目線と生徒の目線では判断基準が異なる。こうした場合はどうすべきだろうかと問題点を出されます。Cさんがこの問題点に応じ、生徒の気持ちをくむのはいいが、校則ではくみすぎてはならないと述べられて「一線」の緊張感を重視し、シャツを出したら落ち着くとしても、これはあまりみていていいものではなく、合理性ある決定をするべきであると主張されました。いうまでもなくタバコなどは法律で未成年には禁止されているが、「身だしなみ」はグレーゾーンなので、難しい判断に迫られると付け加えられました。

 ここで時間がきました。苦しい20分間だったでしょうか。討論参加者からは、「ありがとうございました」の終わりのあいさつのあと、「うーん」というような反省のため息とでもいうのでしょうか、そうしたものがありました。

 しかし、立派な討論でしたよ。ワタクシは合格点あげてもいいと思っています。ワタクシが話し合ってほしいと思っていたトピックはすべて登場していたからです。その掘り下げ方を次回、同じようなテーマのときに再考すればいいのですから。「服装の乱れは生活の乱れ」などという古臭い、しかし今でも通用しそうな言葉をどう解釈するか、ということや、討論参加者が職員会議をしているつもりで具体的な対応策を構成してみるのもいいでしょう。また、保護者対応なのですから、家庭訪問の話題があってもいいですね。「身だしなみ」に関連して、体操服、給食のときの衣服も話題として微妙なところですがいいかもしれません。

 「身だしなみ」というように、微妙な表現でテーマが与えられているところに、切り口を見出してみてくださいね。

 ついに勉強会も第100回。ありがとうございます。もっといいものにしていきたい。そんな気持ちを忘れず、取り組んでいきます。

 100回記念と忘年を兼ねて、23日に、TSUDOIを開催します。場所は当日決定します。17時以降です。勉強会の終了後、いつも珈琲会をしておりますが、23日はビール会にいたします。今秋合格された方からのメールもお待ちしています。

(2006年12月9日)

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