勉強会のお知らせページへ 勉強会報告一覧ページへ 勉強会の内容ページへ 勉強会申し込みページへ


浩の教室・第68回勉強会の模様

 本日は第68回当サイト主宰勉強会に多数ご参加いただきありがとうございました。本日も有意義な4時間とコーヒー会を過ごすことができまして、お礼申し上げます。

 最初にまず、中教審答申「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」のワタクシの解説を検討していただきました。この答申は、これまた今夏に必出の答申であると確信しています。ただ、出題のされ方が微妙で、調査研究協力者会議報告との絡みがありますね。そのあたり、予測しにくいところです。ですが、特別支援教育に関する国際的、国内的動向については、練習問題もありますので解いてみてください。それと、22万5000人などといった数値も、憶えておく方がいいでしょう。

 次に、Kさんに「自己売り込みのツボ」を報告していただきました。傍聴していたみなさんに感動を呼ぶほどでした。しっかりまとめてこられて、準備万端、うまかったです。しかし、それでも、ここをこうすればいいという丁寧なご指摘があり、細部を整えれば「完璧」になるでしょう。個人的な経歴をここに書くことはできませんので、はじめて旁午を読まれる方にとっては「暗号」のような文章になっております。申し訳ない。「自己売り込みのツボ」とは、こちらのリンクにありますペーパーをご覧になればおわかりになると思います。

 そして、集団討論をいたしました。テーマは、多数決をとった結果、「社会において少年の万引きが増えています。学校における指導はどのようにすべきでしょうか。議論してください」になりました。A〜Gさん、7人の方に25分間で議論していただきました。

 今回の問題点は、討論参加者もいわれていたように、「学校における指導はどのようにすべきでしょうか」という文意をどのように解釈するかでした。すなわちこのテーマからすぐに連想されるのは、3者連携で、地域の教育力や家庭の力によらなければ、万引きという学校外で起こる犯罪に対応しにくいのが現実です。万引きが学校外で起こるのですからどうしてもそうなります。しかし、学校の内部でどうするのかの提案がなければ、このテーマに応えきっていないということになります。そこが難しい。

 したがって、現実に起こった万引きに対する実際的な対処を問題にするのではなく、学校における犯罪防止の取り組みになにがあるのか、教員をめざすみなさんが、どのような意識を持って日々の教育に取り組むのか、ということを議論することになるのではないでしょうか。たとえば、犯罪抑止として、関係機関との連携といわれたとき、警察が力を貸してくれる場面が想定されます。では、学校がどういうふうに警察の力を借りるのかということになります。ワタクシの基本的立場は、学校現場に自転車の乗り方など安全指導以外の「指導」で警察が入ってくるのには反対です。ただ、このテーマが本番で出されたとすれば、そういう反対論だけいっていても仕方ありません。

 警察の協力が最終的な決断であることは、たとえば対教師暴力のときでもそうでしょう。いかな暴力をふるわれても、即警察⇒生徒の逮捕、というわけにはまいりません。同じ公務員の立場であっても、教員と警察の防犯課が仲良しになるのは、よろしい状況と認めるわけにはまいりません。そんな中で、警察の力をどういれるのか、万引き防止の教室開催であったとしても、ギリギリの決断を迫られるのではないでしょうか。

 さて、議論は、Gさんの発言からはじまりました。Gさんは、ご自身が生徒のときに、何度か万引きの場面に遭遇しているそうで、万引きが蔓延していることに危惧しつつ、「どこでもある」状況をどのように変えていくかが議論されなければならないといわれました。Cさんはこれに加え、万引きをはじめとして、犯罪の低年齢化を指摘されました。また、学校現場において、消しゴムを借りたまま返さないケースなどから、他人のものを借りてそのままにしたり、他人のものをとってはいけないという自覚に欠けているのかもとご意見されました。Bさんは、万引きの原因論に言及され、2つのケースを述べられました。

 ひとつは、本当にその品物がほしくて万引きするケース。もうひとつはゲーム感覚、スリルを楽しむ目的で万引きするケース。後者はとった品物を友達に見せびらかしたり、ごっそり万引きしたりするようです。そして、こうした2つのケースに応じて、学校では別々の指導をするべきではないかと提案されました。Eさんはこの2つのケースに付け加え、家庭環境が貧しく、生活のために万引きする児童生徒もいるので、そうしたケースも想定しなければならないといわれました。またEさんは、万引きは罪であるとしっかり児童生徒に理解させないといけないと強調されました。

 Fさんからは、生活習慣の乱れが万引きという犯罪行為につながるのではないかと述べられ、朝、ちゃんと起きているか、しっかり朝食を食べているかなど、そうしたコミュニケーションをとることが犯罪抑止になるのではないかとご意見されました。Bさんは、Eさんのいわれた第3のケースも、Fさんのいわれた生活の乱れから犯罪に走るケースも、われわれ教員をめざすものが保護者と連絡を密にすることを通して解決をはかるべきであるといわれ、保護者とわれわれ教員とが力をあわせ、万引きの背景を探るべきであると発言されました。

 高校志望のDさんは、万引きの未然防止策を考えるのが大切ではないかと指摘され、高校現場でも、ふだん使っている授業用のノートがなくなったのに、当事者だけでなく周りの友人も、こうしたことに気も止めないのが悲しいといわれ、このような学校内部でモノがなくなるということ自体をなくしていくことが、学校外における非行行為としての万引きを減少させていくのではないかと述べられました。

 Aさんは、われわれ教員は、もっと児童生徒を観察するべきではないかといわれました。「この前まで持っていなかったものを持っている」という事態を見逃さず、児童生徒のチェックをするということです。なるほどと思わせるご意見です。ここにはEさんがいわれた保護者との関わりを密にすることによって可能となるところがあります。ただし、高価な持ち物であるならすぐわかるかもしれないですが、消しゴムや鉛筆など、「この前まで持っていなかったものを持っている」と見做すことの難しいものまで判断するのは大変です。

 このチェックということに関連し、Gさんは、最初のチェックが肝心なことを、ニューヨークのブロークンウィンドウ理論を踏まえて語られました。学内だけでも小さなことを見逃さず直していくことが、大きな犯罪を抑止することにつながるということです。そしてつづけて万引きを実際してしまってからのアプローチをわれわれはどうすればいいか、みなさんに向かって質問を投げかけられました。

 Aさんは、この質問に対し、万引きをしてしまった理由を尋ねるといわれ、Cさんも理由を尋ねるとともに、万引きは犯罪であることを諄々と説くといわれました。クラスのうわさになったらどうするかも、考えておかなければならないことであるとCさんは付け加えられました。Fさんは、叱った後の対応を問題にされました。

 Bさんは、万引きが常習化するのを危惧され、エスカレートする性質が万引きには認められるので、最初に見つけたときが指導のチャンスであると指摘されました。ではどんな指導をするのか。Gさんは、犯罪とわかってやっている高校生の段階などでは毅然とした指導で取り組むべきであろうと述べられ、小学校では少年法に抵触しないとしても強い反省を求めるべきであると述べられました。Cさんは、小学校志望の立場から、おもしろがって万引きをしたり、友人を困らしてやろうと思ってものをとったりする感覚を、どのようにして反省させるかの課題についてや、悪気なくやっている場合の指導をどうするかの課題も指摘されました。それに対してBさんが、とられたものの立場に立つ指導とロールプレイングですればどうかと提案されました。

 Dさんは、Cさんの課題について、他人のものを勝手にとる児童生徒だけでなく、「じぶんはやっていない」と平気でウソをいい張り、保護者と話をしてはじめて真相がわかるケースもあるとし、家庭の教育力を話題に挙げられました。教員だけでは指導の限界があるということがここで語られたようです。Fさんはこの点に関連し、非行防止教室など警察との連携に言及されました。Bさんも、学校外の関係機関との連携を述べられましたが、社会そのもののモラルハザード状況をどうするか、悩んでおられるようでした。
 つづいてEさんは、学校外部から関係機関、専門家の人びとを招いて話を聞けば、児童生徒の心に響くこともあるといわれました。また、万引き含め非行防止について地域対策を進めなければならないとの指摘がありました。具体的には、地域の人びとが地域の児童生徒の顔を知ることからはじまり、たとえば商店街のお店と児童生徒の「顔つながり」を作ることができないかということでした。ここでFさんが、「商店街」に触発され、キャリア教育ボランティアの経験を語り、売る立場の意識が児童生徒にわかれば、犯罪を起こさない規範意識が育つと発言されました。

 Gさんが、それでは、実際に万引きをしている児童生徒と遭遇したとき、犯罪行為をみてしまった児童生徒はどのような態度をとるべきなのか、どう指導すればいいのかと質問されました。これに答え、Eさんは、正しいことを正しいといい切れる自分を持つことが大事であり、そうした自律性の育成のためにも道徳の時間を活用すると述べられました。Aさんは、児童生徒間に信頼関係があれば、Gさんのいうようなケースでも自発的になにかいうことができるのではないかと述べられつつ、社会全体で児童生徒を育てるという意識を持つことが必要で、そうすれば地域外で起こった問題にも対応できるようになってくると指摘されました。この後半の発言も、Gさんの地域社会を横断してどのように犯罪抑止策を拡大していくかという質問に答えられたものです。

 最後に、Bさんが、万引きが悪い行為であるのはもちろんであるが、児童生徒に善悪の判断能力を身に付けさせることが教員の仕事であると述べられて、議論は終了しました。

 問題点が多々あり、テーマの焦点化が難しい中、参加者には大変がんばっていただきました。多様な話題が登場したことも、議論の広がりを感じさせてくれるものでした。それから、地域社会の教育力についての質問が後で出まして、たとえば青年団の問題や、地域社会の形成論といってもいい新興住宅地と昔ながらの地域との複雑な「地域性」がどのように児童生徒を育むことができるのかといったことがらです。

 また、討論の最初に、万引きが犯罪であり、バシッとあかんことはあかんと断定的な表現があったほうがいいのではないかとのご指摘もありました。

 最後に集団面接です。6名の方に20分くらいで実践していただきました。ワタクシが面接官役をいたしまして、質問を浴びせる方式です。今回は質問に対して挙手制で答えていただく方式を採用しました。おそらく、この形が大阪府の方法でしょう。質問事項は、こちらの中から選んでいます。少し質問数を増やしております。どれを追加したのかは明示しておりませんが、発見してくださいね。

 啓蟄の今日この頃、このページをご覧のみなさまも、読んでいるだけでなく、討論に参加しませんか。お申し込み、お待ちしております。

(2006年3月4日)

勉強会のお知らせページへ 勉強会報告一覧ページへ 勉強会の内容ページへ 勉強会申し込みページへ

浩の教室・トップページへ