勉強会のお知らせページへ 勉強会報告一覧ページへ 勉強会の内容ページへ 勉強会申し込みページへ


浩の教室・第103回勉強会の模様

 昨日は、第103回勉強会に多数ご参加いただきありがとうございました。ちょっと、トラフィックアクシデントのあった方もいらっしゃいましたが、何事もなくて安堵いたしました。また、珈琲会には、昨秋合格の化学者の先生にお越しいただきました。忙しい中、お顔をみせに来てくださって、ありがたく思っています。後輩たちも、面接の状況を質問することができて、何よりだったでしょう。今後も、フラッとあらわれてくださいね。

 さて、昨日は、「議論の叩き台となる教育学講義」からはじめました。先週の復習がてら、学習指導要領の変遷について確認した後、生活科について話が及びました。実際に小学2年生のお子様がいらっしゃるママさん参加者がいらっしゃって、実際のところをつたえていただきました。ありがとうございました。やはり定番的に「春みつけ」、「秋みつけ」が実施されているほか、ポートフォリオ的な「成長の記録」を作成しているようですね。さらに、講師の方で生活科を指導した方も参加いただいており、両者から実際面をお聞きすることができて興味深かったです。この叩き台としての講義は、今回で終了しようと考えておりましたが、参加者の方々から、人物対策も大切ですけど、こうした講義から知識を吸収したいとのお声もいただきまして、「それでは」ということになり、教育再生会議の第1次報告書が出るまでの間、もう少しだけ、「議論の叩き台となる教育学講義」をつづけさせていただきますね。

 さて、次に集団討論です。討論のテーマは、福岡の漏洩した問題を拝借しました。福岡の教採試験漏洩はどうなったんでしょうか。最新の記事では、『朝日新聞』が「全資料流出の可能性大 試験問題漏洩で福岡市教委が報告」との見出しで伝えていましたが、元校長はまだみつかっていないのでしょう。続報が待たれます。

 すなわち、テーマは、「出生率の低下による少子化の問題点とその対策について」でした。討論参加者は6名、20分間です。アドヴァンテージをとりましたので、23分くらいになりました。今回も、団塊世代について議論した前回と同じように、社会問題をどうみているか受験生に問うものでした。したがって、社会問題としてこのテーマを斬るか、教育問題に引き付けてこのテーマを斬るか、どちらを先にするか、同時にするか、さらには時間配分をかんがえねばなりません。討論は、第一発言者に支配される可能性が高いので、討論のイニシアティブをとりたいのであれば、議論の方向性を示すべく、先に進行方向を述べる発言をするのもよいでしょう。

 第一発言者はAさんでした。Aさんは、テーマを確認され、社会問題としての少子化の問題点は労働力の低下にあるとし、教育問題としては、兄弟がいない一人っ子の場合もあるので、家庭内におけるコミュニケーションのとり方が訓練されていないまま就学することをあげられました。Aさんは、このように、2つの問題に同時に答えられたわけです。つづけてBさんは、合計特殊出生率がどんどん低下しており、1.29となっているとし、少子高齢化が進行していることを述べられ、人口の年齢構成が逆三角形になっていることを指摘されました。そこから、Aさんの社会における労働力の量的低下に賛同し、それに加えて、福祉の問題が浮上しており、年金や医療の問題が緊急の解決するべき課題となっているとご意見されました。

 Eさんも出生率について触れられました。一人の女性が生涯に産む平均が2.08を切ったとき、日本の場合、人口減少に向かうことを指摘しつつ、なぜ、女性が子どもを産まない状況になったのか、答えを与えようとします。Eさんによれば、それは子どもを産まないではなく、産みにくい社会となったからであるとされました。この指摘を受け継ぎ、Dさんが働く女性と子どもを持つ女性との両方にインタヴューしたテレビ番組をみた感想を示されました。そして、子どもを産んでいる女性で、働きたいが働けないとの苦悩を抱えているケースをあげられ、その理由が保育所など子どもを安心してあずけることのできる施設が少ないことにあるとご意見されました。Dさんは保育環境の整備が進んでいないという社会問題を指摘されたわけです。その充実はここ10年間、政府でも民間でも議論されてきた重大な課題です。

 Fさんも、同年齢女性のお話を聞いた経験から、子どもがいると残業がしにくいことなど、社会に進出するにあたり子どもの存在が不利に働くことが多いと指摘されます。男女平等参画社会であるにもかかわらず、その実現が遠いことを実感込めて語られました。Cさんは従来の男女性別役割分担でいえば「女性は内」であり、子どもを育てることも女性にほかならないと価値付けられてきたが、現在はそうではなく、男性も育児休暇をとるなどして子育てに参加することが期待されていると述べられました。

 こうして参加者6名すべての1回目の発言が終わったのですが、どの方が女性かわかるでしょうか。答えはちょっとおいておきましょう。

 さて、上のように、どちらかといえば、社会問題に傾斜したスタートだったと思われます。参加者の議論が噛み合い、それを積み上げるのが評価される討論であるとすれば、やはり焦点を明確にした方がいいでしょう。Aさん、Bさんの発言は2つの問題意識に答えていましたが、2つのことをいっぺんに考えるのはなかなか難しいものです。そうであれば、議論のトピックを絞る方がいいでしょう。他の方は、どちらかといえば、少子化の原因を探るご意見が多かったですね。ここに、微妙にテーマに対するアプローチが違うということをワタクシは感じ取っておりました。しかし、それはまさに微妙なことであり、討論の流れをこわすようなものではありません。少子化がもたらす問題と少子化がどのような原因から起こったのかを考えることとは、無理に切り離しては考えなければならないということはないでしょう。この点は、社会問題と教育問題との同時議論ほどには困難ではないということです。

 Bさんは、少子化の原因を探るご意見を社会問題として少子化を議論することと捉えられたのでしょうね。だから、Bさんは、社会問題もたくさんでましたが、教育問題としてはどのように少子化の影響が出てくるでしょうかと切り口を定められました。これに自答し、一人っ子が増えるだけでなく、地域で子どもの数が減ることを指摘され、集団で遊ぶという大切な幼少年期の経験が足りなくなって社会性を獲得することが困難な状況に陥っていると話されました。Eさんは、それを子どもの減少という角度から捉えられ、赤ちゃんがいる家庭がふつうではなくなっていると述べられます。そして、近くに赤ちゃんがいないばかりか、子育ての場面をみなくなっているのではないかと提起されました。そこからどう育てていいか親がわからないで育児不安に陥るだけでなく、子どもがかわいいという感情も持てなくなっていくのではないかと危惧を表明されました。それゆえに、学校で小さい子どもと触れる機会を提供するのがいいとご意見されます。
 Fさんは、少子化になれば、過干渉が起こると同時に、コミュニケーションをとろうとする意識が希薄化するのではないかと少子化の問題点を挙げられました。Aさんは、このことと関連し、一人っ子は、祖父母4人から愛情を一身に受ける対象となってしまい、我慢する心を育成することがしんどくなるのではないかと指摘されます。これも最もなご意見ですが、ここに、核家族化の議論をはさめば、一体どうなっていくのでしょうか。

 Cさんは一人っ子という言葉から、中国の政策に言及し、中国の子どもが「遊ぶ」という単語を知らないことを報告されました。たしかに遊ぶことを知らない子どもは人間としての根源的体験を欠落させることを意味するわけで、これは重大な問題です。この例は、中国の全体ではないとワタクシは思うのですけれども、いかがでしょうか。

 Dさんは、少子化は親の過干渉を引き起こすというFさんの議論を引き継ぎ、受験準備ばかりにいそしみ、外で遊ばないようになってきている子どもたちを心配されます。これは受験準備のせいだけでなく、PCゲームなど遊びの室内化も影響しているでしょうね。

 ではこうした少子化がもたらす問題にどのような対策をすればいいかと問いかけたのがAさんでした。兄弟がいなかったり、地域に子どもが少なかったりしたとき、異年齢交流を促進していくことが、ひとつの解決策ではないかと述べられます。Eさんは、学校の友達の家庭で、弟や妹が産まれるときもあるから、その期を逃さずクラスで遊びにいくことを企画してはどうかとご意見されました。

 Eさんの発言主旨が現場的、具体的行動の提案だとすれば、Bさんは、ここで社会問題として巨視的な視点から少子化がもたらす問題の解決方法を探るご意見を出されました。それは、育てながら働ける環境整備も女性のために当然必要であるが、育児に参加する男性の意識変革を学校が担うことや、産み育てる意義を伝えることが学校の役割であるということでした。家事や料理、保育園体験を小学校から学校で体験させることが、ひとりひとりの子育て観や家庭観を形作るのではないかということです。

 この家族の大切さの指摘に対し、Cさんは肉親の切ろうとしても切れない強い絆を実感した個人的経験を語りつつ、家庭を持ちたくなるような指導を描いておられました。Dさんは、家族愛や家庭環境の問題が議論されてきたのをまとめつつ、ここで一端それをとめ、新しい話題を提供されました。それは、高齢社会を支える子どもの在り方についてです。まあ、後で指摘しましたように、「高齢社会を支える若者」というのが一般的です。その若者が働かなくなっている。ニートの問題もありますね。雇用問題としても、若者が厳しい状況におかれているのは事実です。そこで、Dさんは、キャリア教育について提案されたのでした。職場体験やアルバイトなど、少子高齢化社会における労働の意義を考えさせることは、学校の大きな課題です。キャリア教育報告もありましたしね。こうした議論を伸ばしていく新しい切り口の提供は、集団に対する貢献度が高いといえるでしょう。

 Aさんがこのキャリア教育の問題提出を受け、学校で社会問題について議論し、将来、社会で働くにあたりどのように貢献するかを話し合わせたいようでした。そして、このことは、Aさんいわれるように、将来の夢を児童生徒同士で語り合うことになりますね。社会問題の議論というキーワードから、Aさんは新聞を活用することを学校で推進する旨のご意見を出され、いま、社会がどう動いているのかに注視するよう指導したいと発言されました。学校で社会問題を勉強する際、年金問題など統計的に学習を進めるのがよいとはFさんのご意見です。数字をあげて考えていくことは、客観的な学習になりますし、ある意味、問題を身近に捉える契機にもなりますしね。すなわち、社会をみつめるまなざしを科学的にしようとすることであり、教育技術としてはPCの導入と活用が生かされる場面でもあります。

 そこでEさんは、私たちは教員としてなにができるか議論しましょうと討論参加者に訴えかけられ、ご自身では、子育ての楽しさを感じてもらうような保護者への示唆があると述べられます。虐待事件が多発する現在、その解決のためにも子育て支援をしていく責任を教員の立場から語られました。Aさんは、子育ての知恵、知識を伝えるため保護者に授業をするのもいいといわれましたが、これは是非、総合学習で地域の高齢者に呼びかけて行なうべきでしょう。また、虐待は、虐待された経験を持つ保護者から連鎖するので、その防止策としてもこうした授業は価値があるのではないかと力説されました。

 Dさんは、逆に、保護者に授業をしてもらうのはどうだろうと提案されます。最後にCさんが、兄弟が多くいる家庭の保護者を学校へ招待し、家族の楽しさを伝えてもらうのもいいと述べ、議論はタイムアップ。

 さて、読まれているみなさん、いかがでしょう。この討論、何点くらいですか。70点はあるでしょうか。こうしてみると、少子化の議論は、ある程度関連知識がなければ、議論するのは難しいですね。団塊の問題もそうです。そうであれば、やっぱり事前に問題を知っていた受験生はかなり有利ですね。福岡市は試験をやり直すことはないでしょうが、受験生の立場を是非考えていただきたいものです。

 今回、討論は、少子化に関する切り口として、社会問題と教育問題があるといいましたけれども、これがうまいこと最後には展開していたと思われます。そうした意味では、集団としていい評価が与えられるのではないかと思われます。ここに、勉強会当日指摘しましたけれども、元気よさがあれば、もっと評価は高いといえます。いい討論も元気のなさがマイナスポイントをもたらします。次回から、いちオクターブ高く討論しましょう。

 ところで、過去問解答解説が終了しましたので、時間に余裕ができ、自己売り込みのツボを新しく開始いたしました。これは、面接対策として重要でして、単なる自己紹介ではなく、自己を売り込むための文章作成です。3分間の持ち時間で、自己を売り込んでもらいます。面接官役を、ワタクシを含めて3人設定し、表情や態度、視線など、チェックする「形式」面評価と、売り込む価値があることを訴えているかどうかなどの「内容」面評価の2面から個人評価を試みるものです。このシートを完成させて来てもらっています。

 参加者20人くらいの前で、おひとりの受験生が3分間語るわけで、40の瞳が注がれます。緊張があったことでしょう。今回は2名の方に売り込んでもらいました。3分は、結構長いものです。ゆっくり、イイタイコトをちゃんと主張できるか、やってみてその難しさがわかります。今回の第1挑戦者は、用意周到、しっかりしたものを作ってこられました。みんながあっけにとられる出来栄えでしたね。「たいへんよくできました」です。

 もうひとりの挑戦者は、最初の方の報告に圧倒されたのか、ちょっと緊張がありすぎたようでした。いろいろと反省点が指摘され、勉強になったでしょう。あとの珈琲会では、そのあたり反省しきりでしたけど、今回からはじまったこのコーナー、再チャレンジの機会が必ずまいります。がんばってください。でも、ご自身の形式面における癖がわかってよかったともいえますよ。内容的な練り直しもできる時間もまだまだあります。

 「自己売り込みのツボ」は、今後もつづけてまいります。来週担当のお2人の方、がんばってくださいね。

 さて、解答です。女性討論参加者は、B、D、E、Fの4名でした。閲覧のみなさま、あたりましたか。

(2007年1月13日)

勉強会のお知らせページへ 勉強会報告一覧ページへ 勉強会の内容ページへ 勉強会申し込みページへ

浩の教室・トップページへ