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浩の教室・第105回勉強会の模様

 昨日は当サイト主宰勉強会に多数ご参加いただきありがとうございました。当日は、教育再生会議第一次報告の講読検討会、集団討論、集団面接、自己売り込みのツボ2名という構成で実施いたしました。

 再生会議の報告書をみなさんと一緒に検討していきましたが、初回でもあったため、この会議の構成メンバーについてや、簡単な解説をするにとどまりました。次回、本格的に内容を検討していきましょう。この資料を忘れずご持参下さい。新規の方には、ご参加のときにお渡しします。

 なお、このとき、カミオカンデと光学異性体とで、発見学者のとりちがえをしておりました。ご指摘およびご説明いただいた参加者の方、ありがとうございました。

 次に集団討論でした。集団討論のテーマは、「昨年末に教育基本法が改正されましたが、みなさんはどのようにとらえていらっしゃいますか。思うところを出して、議論してください」と、ちょっとむつかしいものでした。法規の基礎知識がなければ、議論ができないからです。こういう出題がされたときに、教職教養の知識がしっかりしたものであるかがわかります。このテーマに、今回は5名の方が挑戦されました。いつも6名のところ、みなさんテーマのむつかしさに敬遠されたのでしょうか、もっと意欲的になってくださいよ〜

 まずCさんが発言されました。教育基本法が59年ぶりの改正であったこと、改正し、新しい教育への意気込みを感じるということ、しかし、この改正については、現場や有識者の間でも賛否両論であることを述べられ、最後に、教育行政を法律が縛ることになるということを問題提起されました。最後の意見は、教基法改正によって、他の教育に関する法律も変更を受ける事態をどう受けとめるかということですね。

 Dさんは、教育の憲法と位置づけられる教基法が即時に変更されたが、国民に教基法が変ることによって教育がどう変るのか説明し切れていないのではないか、このまま定着していくと、なにか問題がでてこないか、とご意見されました。

 Bさんも、教基法の改正は、教員だけに影響を与えるのではなく、およそ教育に関わるものすべて、ということは国民全体になるわけですが、国民すべてに影響を与えるので、もっと国会ほか議論が必要ではなかったか、と発言されました。

 Eさんは、これだけ簡単に改正されたのは、国民の無関心ゆえであろうと分析され、議論が愛国心条項をどう盛り込むかに偏りすぎていたと述べられました。もちろん現在の教育の在り方がいいとは誰しも思っていないが、教基法を改正してすべての問題が解決するわけではないと捉えられ、いまある法律を有効に適用する方策をもっと深く考えればよかったのではないかと提起されました。このあたりは、Cさんの意見と響きあうところがありますね。

 Aさんは、たしかにマスコミの報道も愛国心論争に偏りすぎであったとEさんと意見を同じくされます。改正条項にある幼稚園教育や特別支援についても、もっと慎重に議論するべきではなかったかと、具体的に話されました。

 それゆえEさんは、教基法改正全般において、論点整理がうまくいっていなかったと批判し、保護者の責任や役割と学力の伸長の関係もいまひとつわからないと述べられました。そして、経済環境の違う個々の家庭において、共通して学力を伸ばすためにはどうすればいいのか、といった問題を提出されました。また、バウチャー制度の導入と、学校・地域の連携の矛盾を指摘されました。Aさんがこの発言に対し指摘されたように、それは教育再生会議で議論されるべきものでしょう。

 Cさんは、上の家庭の議論が登場したことに関連し、10条の家庭教育「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする」、12条の社会教育「個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない」について触れつつ、様々な教育機関との連携も視野に入れるべきであると述べられます。さらに、教基法は改正を受けたけれども、日本の教育の在り方を示唆してはいるが細かい言及はそれほどないといわれ、教育行政遂行のための法律がどのように作られていくのか、それを見守ると同時に、教員の立場から、日本の教育の進むべき方向性を示していこうと積極的なご意見でした。

 この意見に関してワタクシから後でコメントしてつもりだったのですけれども、17条の教育基本計画の立案は、きわめて「細かい言及」をすることにならないでしょうか。

 Dさんは、ご自身の最初の意見と整合性がちょっとみえなかったんですけれど、以下の第2回目の発言で、教基法が現代まで長い間変らなかったのには無理があると捉えていましたね。現状にあった法改正の必要を述べられ、改正があってよかったとの立場をとられます。そして、この改正は、それほど大騒ぎするほどのことなのかと議論の種を提出されました。実は、あとの珈琲会では、このDさんの意見に同意する方もいらっしゃり、興味津々でワタクシなどはお聞きしていたのですけれど、この集団討論の場では、このあとこのDさんの発言に対しては、賛成も反対もありませんでした。

 ただ、次の発言者であったBさんが、改正前の10条で、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである」をとりあげられ、教育法規が新たに作られたとき、これの適用の仕方に問題が出てこないかかなり心配そうでした。Dさんは、急に愛国心を強制されることはないと思うが、現在でも愛国心に対する評価をしている学校もあるといい、民主的な教育が今後できるかどうかある種の怖さを訴えておられました。こうしたことが、「大騒ぎするほどの問題ではない」かどうかは、考える余地がありますね。

 新しい教基法では、Eさんが指摘されるように、16条で、「教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない」と規定され、「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり」の一句が入っています。これで、法律に基づきさえすれば、行政は国民から「不当な支配」と判断されようとも反省する必要がないわけです。勝手に数の暴力で教育に関する法律が作られて、「法の支配」が貫徹しないまま、つまり法律の内容を検討しないまま適用されても、まったく批判ができなくなるわけです。ワタクシは、これは横暴であると思います。

 Eさんは、これを具体的に話され、国旗国歌法と思想信条の関係性について触れられました。また、東京地裁判決についても議論しようとされました。

 Aさんは、以上の議論の流れに対して、違う立場から切り込まれました。それは「不当な支配」についてですが、基本的に教員は法を遵守する立場にあると述べられます。もちろんそれはそうですね。そして、行政が法に則って執行したときに、その行為が不法行為であるかどうか判断する立場に教員はないとご意見されました。これは鮮烈なご意見でありました。その判断は、司法がするわけで、教員は法の執行については、いわば傍観者であるべきというような立場のようです。そして、法を破ってまでやりたいことをやるのはどうかと主張されました。これは、卒業式における国歌ピアノ伴奏の拒否などが念頭にあるわけでしょう。

 Eさんは、一人の人間としての教員は、法律を守ると同時に守られる権利を持っていると述べられます。法には強制力がありますから、それと権利が相対したときの軋みを問題にされたいようでした。

 ワタクシは、実はAさんのご意見には違和感がありました。「民主主義とは国民による日々の一般投票によるもの」との立場からいえば、所与としての法律でも、それが正しいものであるかどうかは、ワタクシたちの具体的な生活の中で検証されるべきではないかと考えるからです。法執行の是非をすべて司法判断だけに任せる立場にはワタクシはスタンドしません。

 Cさんは、今後将来教育に関する法律が徐々に改正されていくにあたり、どこまで強制力を持って教員に迫ってくるのか、現場の教員は辛辣に受けとめるだろうと予想し、先輩の教員からの助言だそうですが、「自分たちが良識を持って行動すること」、「法律の不適切な執行が行なわれないように遵守しながらもチェックを怠らないこと」を指摘されました。

 最後にDさんが、子どものためによりよい方向に教育が動いていくことが肝要であると述べられ、20分間の議論は終了しました。

 討論終了後、違憲立法審査権の話まで出ましたが、法律の専門家でない教員が、法の成立や執行にどうタッチするかについて、ちょっと議論をしました。また、法律に内心の自由に干渉する記述、たとえば「郷土を愛し」など情緒的な表現があっていいのかどうかなども、指摘しました。

 おそらくこのような受験生の思想に関わるテーマはでないだろうと思います。しかし、でた時にどうするかは考えておかなければなりません。最初に、改正について賛否どちらの立場に立っても構いません、その根拠を理論的に主張できれば、それでいいのです、といったのは、教育委員会の立場からすれば必ず付け足す言葉であろうと思われたからです。広島を除いては。

 このテーマ、むつかしかったようで、20分間で全発言回数は15回でした。表面的に教職教養を勉強しているだけでは、おそらく集団討論の場に参加できないでしょう。やはり、教育法規の勉強は大切です。しかも、記憶するだけの乾いた勉強では、結局、役に立たないでしょう。そうしたことを思い知らされた討論でした。

 集団面接には、6名の方が挑戦されました。質問事項は、今回は8つ、「大阪府、市、あるいは他府県の志望動機」、「教採の勉強の息抜きの仕方」、「親友は何人ぐらいいますか」、「その親友からどのようにあなたはみられていますか」、「ボランティアを進めるためにどんな声掛けをしますか」(挙手制)、「どんなクラスを作りたいですが、クラス目標をいってください」(挙手制)、「良い教師とはどんな方でしょう」、「最後に一言」でした。

 挙手制の質問以外は、全員順番に答える方式です。この各質問に対して参加者がどのように答えたのか、当サイトをご覧のみなさまにあっては興味あるところでしょうけれども、これは公開しません。なぜなら、これは個人に密着した答え方になるからです。

 最後に「自己売り込みのツボ」でした。3分間で自分を自治体に売り込むコーナーです。よく考えられて報告いただきました。作成された原稿を手直ししてください。また持ってきてくださいね。添削しますから。もちろんながら、この添削は無料です。

 当日は、珈琲会に今秋合格された先生方4名の方および、もう4年目となる先生に来ていただくことができました。勉強会参加メンバーに、イロイロと勉強の方法そのほか相談にのっていただきました。こうして先輩から後輩へ教えが伝わることにありがたい気持ちを持っています。今後もよろしくお願いします。

 ところで、中教審のメンバーが変りますね。鳥居さんが引退し山崎さんが座長になるようですね。教育再生会議に対し中教審がどういう態度をとるのでしょうか。2月からの中教審から目が離せませんね。

 さあでは、2月もがんばりましょう!

(2007年1月28日)

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