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浩の教室・第109回・勉強会の模様

 昨日は、第109回当サイト主宰勉強会に多数ご参加いただきありがとうございました。

 昨日は、教育再生会議の第1次報告、7つの提言の6つ目まで検討することができました。このほか、教育3法案についてや、一般行政と教育行政の関係性、また教育行政の独立性の意味などを考えました。ご自宅で資料を再読してくださいね。

 次に集団討論を実施しました。今回は、評価高かったですね。傍聴者の評価もよく、充実した討論であったと思います。

 集団討論のテーマは、「新しい教育基本法では、伝統と文化の尊重などを教育の目標として定めていますが、現場ではどのように実践していきますか。議論してください」でした。このテーマに果敢に挑戦してくださったのは、6人の方々です。時間は20分。延長を少し認めました。いつものように、仮にA〜Fさんとして、発言の論旨を追っていきましょう。

 まず、Cさんがテーマを読み上げられ、伝統や文化の尊重が掲げられているのは新教育基本法の第2条の目的規定であることを指摘し、そこでは郷土を愛し国を愛することが述べられてあり、同時に国際社会に貢献する態度の育成も掲げられていると説明されました。そして、自分の国を知ることは大切なことであると話されました。Eさんも、国際社会との兼ね合いは大切な視点であり、自分の愛するところの文化を学ぶべきと発言、これを総合学習でやりたいとのことです。

 Aさんは、外国体験から、他国にいって自分の国の文化を深く知りたくなったことを述べられます。しかし、自国の文化だけの勉強ではなく、他の文化を理解し、尊重することが大切な態度であることを述べられました。Fさんは、音楽志望の立場から、文化を理解する点で音楽は有効であることを力説し、現在、西洋音楽を教えることから日本の音楽を教えることにシフトしているとし、和楽器について触れられました。

 Bさんは、これまでの議論を総合して、伝統文化と国際理解のバランスのよい勉強が学校に要請されているとし、自国の文化を語れないなら国際理解はできないだろうといわれます。そして、自国の文化といったとき、生活文化を学ぶのはどうかと提起され、歳時記の話題を提供されました。歳時記に沿い、それぞれの季節の場面を体験できること、地域における作法が学べること、形式美にも触れられると、歳時記のよい点を挙げられます。

 Eさんは、Bさんの意見を引き継ぎ、地域の人びととの交流に話題を展開し、子ども祭りで竹細工を作ったが、その作り方を教えてもらうために学校に招待したことや、卒業証書を和紙で作るなど、地域に根差した文化を学ぶ方法を論じられました。Cさんは、地域に学ぶということから、家庭での文化の伝承という話題に変え、祖父祖母から聞いたところの、かまどの神さまの話や、山や川の神さまのことを紹介し、それぞれに感謝の気持ちがあるから、こうした「神話」になっていると説明されました。文化を学ぶことは感謝の気持ちを学ぶことであるということです。

 Dさんは、日本について愛することのひとつに、国語を学ぶことがあるとされ、日本語はどのような構造の言語なのか、たとえば心の動きを表す言葉には何があるのかを外国との比較の上で検討するといいのではないかと提案されました。ヨーロッパ言語と日本語との違い、そこに潜む日本人の独特の考え方が理解できれば、児童生徒の学びが進むのではないかと、社会科教員を目指す立場からご意見されました。

 Aさんは、人びとのなにげない行動にも伝統があるとします。たとえば挨拶の言葉にも伝統が息づいているといわれます。Dさんは、たしかに学校生活の中で、なにげないことは多いとし、面白いエピソードを紹介されました。それは、日本ではよくいわれる「他人に迷惑をかけるな」が、外国ではあまりいわれないという具体例でした。日常の規律の中に、日本では日本独特の教えがあるのであり、こうしたものは、伝統文化の中で育まれてきたものであると述べられました。

 Eさんは、こうした伝統や文化は、教育課程では道徳の時間で学ばれるとし、社会や国語でもそうであるといわれます。このほか、理科でも日本の日本の動植物を学ぶことから育まれるのではないかと発言されました。

 Fさんは、和楽器の実際を紹介されます。琴を習いにいったとき、入り口でコートを脱いで挨拶し、さらに、入室前に挨拶する。礼儀、作法が備わっている。このような文化を実感したが、今の若者たちに、そうした文化に触れる機会を多くすることが求められているだろうとしつつ、日本のアイデンティティの問題に踏み込まれました。

 Bさんは、日本の文化に息づく「礼にはじまり礼に終わる」を取り上げられ、Aさんのいわれた挨拶の重要性や言葉使いの濃やかさをも指摘されます。Bさんによれば、ひらがな、仮名文化には、やわらかさがあり、韻を踏むような使い方もあると述べられました。そこから、百人一首の学習についても議論されます。耳に心地よくはいるその和歌は意味を理解していなくとも覚えるものであり、後からその意味を尋ねてくる児童生徒もいるといわれます。

 習わぬ経を唱える坊主がいますが、これなどは、現代の教育を批判するひとつの考え方ではあります。なんでもかんでも簡単なことの修得からむつかしいものへの理解へと進むよう教育課程を構成するのが学校です。意味がわからないものを教えることはありません。素読とか、暗誦とか、古い教育方法も見直されてくるのでしょうか。

 Cさんは、礼儀の重要性から部活動のことを話題にされ、ご自身が所属したクラブでも先輩後輩関係における挨拶、OB、OGに対する感謝の気持ち、広くいって目上の人を尊重する態度の育成が伝統文化の学習の延長にあるとまとめられました。Eさんも、よみきかせに言及し、日本古典、昔話をよみきかせすれば、伝統に触れることになると指摘されます。Cさんは、Eさんの発言を受け、朝読書でおとぎ話や民話を語るのもよいとご意見されました。

 Fさんは、このほかに、季節の行事と学校行事を関連させ、正月の書道、如月の節分というように組み込み、文化の体験学習とでもいうべきことの推進を述べられ、生活学習を強調されました。Dさんは、これを受け、行事だけでなく、祝日の意味を考える時間も面白いといい、勤労感謝の休日はもともとなんであったのかとか、新嘗祭のことなど話され、伝統に即した休日の意義ということも話題提供されました。

 ここでEさんは、他国を尊重する態度に話題を転換、アングロサクソンの文化、韓国などアジア文化と日本の文化と比較検討について述べられ、その対比から自国をみつめなおす学習にも効果があると期待されます。Cさんは、国の枠組みの文化を超え、気候、風土、四季の移り変わりのもたらす文化の様相にまでテーマを広げられます。そして、留学生との交流を通して、宗教的な問題にも言及されたのですが、ここで時間が来まして、議論が終了しました。

 ハラハラしながらも、密度の濃い「よい討論」、もうちょっといえば、いまの文科省の喜びそうな議論となりました。ハラハラというのは、神さまの話題や勤労感謝、新嘗祭の話題が登場したときに、天皇制にも議論が及ぶかなと思ったからです。「皇室の伝統が日本の伝統」とは全くいいませんけれど、議論の進み具合から、天皇制や皇室の話題が飛び出てもおかしくありませんでしたね。これを議論していいかどうか。教員採用の集団討論ですから、あまり深みにはまっていく必要もないでしょう。もしまた天皇制の話題がでたとすれば、これは慎重に避けるのもひとつのテクニックといえます。

 被差別部落の人びとが歴史的に担ってきた芸能、能、狂言についても話題化してもいいかもしれませんね。

 集団面接は、4人の方が挑戦してくださいましたが、是非、質問項目を文章化するクセをつけてください。自分の考えをまとめるのは、文字にしてみれば客観性も保たれます。イイタイコトをまとめるのが、自己の応答を的確にします。はじめて尋ねられる質問にも対応の幅が広がります。今回の質問は、以下のようなものでした。

 「教員志望動機」、「教員は社会人でもあり、社会との接点を持たなければなりません。社会のことを知らないとなりません。きょうの新聞は読んだと思いますが、どのようなことに関心を持ちましたか」、「講師としてがんばっていますね。あなたは学校で失敗して叱られたこともあるでしょう。どういうふうにそれを受けとめ、反省しましたか」、「だれでも他人に助けられたことはあります。あなたは、一番困って、他者から助けられた経験はどのようなことですか」、「思いやりを育てるために、どんなことをしますか」、「豊かな専門性を備えた先生というのは、どんな先生でしょうか」、「ゆとり教育と学力重視の教育とどちらを推進したいですか。イエス、ノーで答えてください」、「(前承)その理由を教えてください」、「100マス計算が流行っています。これにはどんな効果が認められるのでしょうか」、「児童虐待について考えていることを述べてください」、「土曜補習についてどのような考えをお持ちですか」、「NEET対策には、どのような方法があるでしょうか」。以上の質問でした。参加者の答えはアップいたしません。個人情報に属するものがあるからです。みなさんも、ご自身ならどう答えるか、文章にしてくださいね。

 最後に、自己売り込みのツボでした。担当いただいたTさん、お疲れさま。笑顔いっぱい、よかったです。また、時間のあるときに、珈琲会でワタクシからコメントしますね。Nさん、きょうは、体調がすぐれず不参加でしたが、また、担当できる日を設定しましょう。勉強会は休んでも、学校は休まないよう、体調を整えることが先決です。

 もう、2月も終わり、はやい!3月も、がんばりましょう。あ、教育法規は憶えてよ。スコープがバラバラなるまでがんばって。一般教養も手を抜かないように。やることはいっぱいでしょう。でも、討論や面接は、ここでできます。それ以外のことを日々充実させてくださいね。

(2007年2月25日)

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