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浩の教室・第110回・勉強会の模様

 昨日は、第110回当サイト主宰勉強会にご参加いただきありがとうございました。最初、土曜のNHKの番組について、ちょっと話題を振りました。ビデオにとっている方もいて、「貸し借り」してくださいね。出席停止については、以前、ワタクシたちも討論しましたが、装い新たにまた議論してみましょう。いじめについては、サイバー捜査官の話題もあって、笑うに笑えない状況であります。

 当日は、まず、教育再生会議第一次報告の検討です。ここでは、教育委員会改革について、ワークライフバランスについて、地域の教育についての話題が、主な議論となりました。最後の地域の教育については、実例報告をいただき、ワタクシも再考されられました。やっているところはやっている、といいますか、学校と地域が、言葉の本当の意味で「連携」しているところがあるのですね。たいへん衝撃的でした。すばらしい取り組みをやっている地域と、旧態依然たる地域と、その対比が実例で鮮やかに映し出されました。課題は、うまくいっている地域の実例の広域化といえそうです。そこでは、まさに、地域の住民の意識が、報告書の言葉を借りれば、当事者意識がどこまで真剣であるかによると思います。こうした実例が文科省の調査にひっかかり、例示されていけば、他の学校もそこに学ぶことができて有意義となるでしょう。

 次に、集団討論をいたしました。さすがに参加者のみなさんは慣れてこられて、議論の組み立て方がうまくなりましたし、各発言者の内容も、いいものになってきました。

 さて、今回のテーマは、「児童生徒の学習意欲をひきだすには、どうすればいいですか。議論してください」でした。多くの受験生が発言しやすく、様々な意見、発言を吸収できるこのくらいのテーマが、出題妥当なテーマであると考えられます。討論参加者は、7名、25分間でした。A〜Gさんとして、発言論旨を追いつつ、若干のコメントを挿入していきます。

 討論は、やはり場数ですね。勉強会に来ているみなさんなら、もう、だれでもトップバッターを任せることができます。これだけでも、大きな自信となるのではないでしょうか。討論の切り出しで躓くことがないのは、全体のスムーズさにもつながります。第1発言者の役割は、水先案内プラス自分の意見の表明ですけれど、それが狭義の問題関心に陥ることなく、他の参加者の「考えていること」を引き出すことにあります。まずはテーマの確認。素直にはじまったAさんの発言でした。

 Aさんは、教科を問わず、学習指導では目標設定を刻んで小さな目標を設け、その一つひとつをクリアすることが、児童生徒に達成感をもたらし、学習意欲の醗酵につながると述べられました。つづけてCさんは、学習そのものに「面白味」があれば、意欲増進するとご意見されました。Dさんは、小さな目標を作ることは大切であるが、大リーグのイチローの作文を紹介しつつ、「将来、人生かけて何を実現できるか」をうっすら想像させることも重要だとし、最終目標設定が、学習意欲の増進につながるのではないかと提起されました。Fさんは、わかるよろこびを経験させることが、意欲の増進につながると述べられます。音楽の授業において、リコーダーができなくて嫌いだったが、ふけるようになって楽しいと思ったという感想をもとに、学習において何らかの作業ができたときこそ、意欲が自覚されると述べられました。そうしたささやかであっても、進歩し、目標に向かっている態度をほめることが、意欲の増進を支援する教員の立場であるというのが、Gさんの発言論旨でした。つづけて、学習を楽しむこと、わかったという感覚、これを経験させることが、意欲の増進につながると発言されたのが、Eさんです。Eさんは、ポンと手を打つような、わかったという感覚を大事にされます。最後に、Bさんが、みなさんのご意見に賛成したあと、宿題を毎日出して、机に座る習慣を形成したいと述べて学習の継続性が目標を常に意識させることになると発言されました。また、同時に、Bさんは、たのしさを見出すには、実際生活との関係性を学習に組み込むべきであるとし、フィールドワークをしてみるのも、意欲の増進に役に立つとして、川辺でペットボトルを流して、速度という概念について考えさせる一例をお話されました。

 ここまでで、参加者がひととおり発言されたことになります。まとめてみると、スモールステップ、最終目標設定、面白い授業、わかったという経験、ほめること、実際生活との関わり、ということになりますね。意欲を伸ばすための「作戦」が、あらかた登場したといえそうです。こうしたポイントをどんな前提で議論するか、討論では、こうした各々のポイントをどういうふうに深めていけるかが、次の課題となります。例えば、1時間の授業の中で意欲を増進させるのか、1年間での成長を見越して意欲を考えるのか、など、限定作業が必要となるでしょう。こうした諸課題について書く前に、各参加者の初回の発言についての注意事項を述べておきましょう。

 それは、Bさんに代表されるのですけど、初回の発言で長いと嫌われる、ということです。これは、いつの発言においてもそういえるのですけど、とりわけ、初回発言で長いと、面接官の印象が悪くなります。Bさんの発言が長いのは、上のまとめをみても理解できるところでしょう。「一回の発言で、ひとつの内容」であることが、適切な発言量となります。それに、論旨がねじれないコツでもあります。話すべき内容を限定し、メンバーの中で「出過ぎない」ようにするのが、集団討論では大切です。

 多分、本番では、自分のイイタイコトがいい切れないで終了した、というくらいが、いいと思われます。いままでの合格者の話を聞いても、いい足りなかったという意見が大半です。逆に、いい切った方は、残念な結果になっています。つまり、しゃべりすぎはダメ、ということです。「みんなで討論しているのに、コイツは長いな、他人のこと考えていないな」との判断が面接官の心象になると、マイナスの評価になります。だいたい、討論では、個人的主張をさほど評価しません。個人が何を考えているかは、個人面接でこころゆくまで述べればいいわけで、討論では、「気配り」が評価されます。そこを勘違いして、長々しゃべってしまい、涙を呑んでいる受験生がこれまでにも多くいます。

 その意味で、講師の方は、注意が必要です。自分のこれまでの経験から、いいことをいおういおうとして、長くなる。自己主張しないとダメじゃないかとの焦りが、逆になる。グッとこらえて、短い発言。これを心掛けてください。

 さて、ワタクシこそ、長くなりました。ハハハ。つづきを書きましょう。

 Dさんが、宿題の話題がBさんから登場したことを受け、「宿題やってきました棒グラフ」ということを紹介されました。ご自身が子どもの頃、実際にあった指導です。宿題をちゃんとやってくると棒グラフが伸びる。視覚的に自分の位置が確認できる。友人がやってきているのに自分がやらないとという気持ちになる。Dさんは、当時、他人に負けたくないという気持ちが芽生えたと感想を述べられ、競い合うことも意欲の増進につながるのではないかと提起されました。Fさんは、他人と比べることを通して意欲が充実するケースもあるが、どのくらい自分自身の満足が得られるかも大切であるとし、個人内評価的なグラフでそれを表現するのも励みになると論旨を展開されます。自分の学習面における立ち位置がどこにあって、どこへいくのか。それを可視化するグラフの採用というご意見でした。

 Cさんは、美術専攻の立場から、模写を取り上げご意見されました。自分の能力をはるかに超える場合、うまくいかないので、あえて学習のめあてのハードルを下げ、個々に見合った達成感を味わわせるために、目標設定を個に応じたものにすることによって解消しようとする作戦です。しかし、基礎的なこと、たとえば色の作り方(緑=黄+青)などはしっかり勉強させると付け加えられました。

 面白い授業との観点からは、Eさんが調べ学習の効果について発言されました。チョコレートつまりカカオの原産がどこで、どのようにして日本に辿り着いたのかを考えさせてみる。こうした主体的な学習が、児童生徒によく身につき、調べたことを発表することによって、自分の知識、考えたことが伝達できるよろこびも感じることができる。これが意欲の増進につながると具体的に述べられました。

 Gさんは、スモールステップに関連して、小テストの導入も意欲増進に効果的であると述べられます。試験で高得点をとらせることも、意欲増進の常道ではないかということです。得点は目にみえるものですから、宿題の議論と噛み合うところがありますね。

 Aさんは、この宿題ということについて議論を深めようとし、家庭学習ノートについて触れつつ、学級通信でがんばった子の名前を載せることもいいのではないかと発言されました。Cさんは名前の載っていない子のフォローをどうするかと問い質すと、やってくるように声を掛けるとAさんは応答されました。「日替わりヒーロー」を設ける指導が一般にはありますね。係活動における一人一役もそうですが、「クラスのみんなが主役」との感覚を忘れないようにしましょう。

 Fさんは、「せんせ、授業でこんな工夫をしてみて」と意見を募るのも、一つの手段であると発言されました。児童生徒の声を授業に反映し、次回の授業にワクワク感を持たせたいということですね。Gさんは、生徒同士で教えあうペアワークも、意欲を向上させると述べられ、「やる気の伝染」効果に期待したいといわれます。教員対生徒の構図を離れ、個々の児童生徒の学習動機をしっかり自覚させることが大切であるとのご意見でした。Aさんも、児童生徒が学習の中心になることが意欲の増進につながると述べられ、じどうせいとが前に出て説明したり発表したりすることが、動的な授業を生み出し、「もっとしたい」との気持ちを誘発すると話されました。

 Dさんからは、「わかる授業」は基本であるが、「これはどうか」といった問題提起型の授業も効果的であると、F、G、Aさんの議論に触発されてご意見されました。Eさんの調べ学習の話題を包み込み、疑問を児童生徒にぶつけて自ら考える授業を構築する姿勢ですね。

 Bさんは、Dさんのご意見を受け、自分たちで授業を作っていくことを賞賛されます。そこでは、相手を認めあう態度も生まれるし、間違った答えをいったとしてもそれをバックアップする児童生徒もでてくると述べられました。

 このあと、Eさんが、Gさんに対して分担的な調べ学習についての質問をされたのを挟み、Fさんが「もやもやしたものを残す」効果について述べられました。「もやもやしたもの」が児童生徒の頭にあるということは、それだけ学習から刺激を受けたということを意味し、しかも、その刺激から自分自身の問題関心を耕している最中であるといえます。「もやもや」も何もなく、「右から左の馬耳東風が、教員にとっては一番困る事態です。

 Gさんのいわれた「教師が教え過ぎないで、児童生徒の自主解決できる余地を残す」ことが求められています。
 ここで25分、時間がきまして終了です。

 討論終了後の反省では、授業時間中に意欲を引き出すための導入の話題があまりなかったといった指摘がありました。上でも書きましたけれども、議論の前提をどこにおくかが問われています。このほか、学習の動機付け一般の問題もありましたし、まったく意欲のない児童生徒のケアをどうするか、という問いかけもありました。

 勉強の仕方がわからないの声に応えることも意欲増進になるとの指摘や、意欲のない児童生徒の場合、家庭環境など他の要因も視野に入れて「教員として何をするべきか」も議論していいのでは、との指摘もありました。
 ノートのとり方がわからない、アルファベットがわからない中学生、など、ほかにも議論がありましたけれども、意欲を持たせる方法は、「やる気」という言葉とともに最難関の教育支援ですね。
 今回の討論も、討論時間中に空白がなく、いい感じで進んでいました。70点差し上げます。本番でこれだけできれば、文句ないでしょう。

 それから、集団面接です。いつものように、質問事項のみ掲げます。「いま、緊張していますか」、「魅力のある授業をするため、あなたはどうしますか」、「教科を教えることでどのような力をつけさせたいですか」、「あなたの指導方法はちょっとおかしいと先輩からいわれたら、どう対応しますか」、「教育実習ではじめて教壇に立ったとき、いかがでしたか」、「いい先生とはどんな先生ですか」、「校長先生とは、どういうふうに関係性をつくりますか」、「いままで、どのような教員としての資質能力を身につけてきましたか」、「どのくらいパソコンを扱えますか」、「教員の不祥事にどんな感想を持っていますか」、でした。

 最後に、Kさんの自己売り込みのツボでした。Kさん、大学4年生として、かなり自分自身をみつめ直し、精一杯のものを持ってこられたなと感心しました。4年生といえば、21、2歳なわけで、人生経験もそれだけしかないわけです。教採には、講師の方や30代、40代の方も受験します。いってみれは半分なわけです。そうした人たちと伍していく瑞々しさと一所懸命がんばっているのだという心意気が伝わる売込みとなっていましたよ。帰りの電車では「まとめるのに、だいぶ時間がかかった」とおっしゃっていましたが、それが勉強になります。みなさんからもらったコメントを生かして、再度、作り上げてください。2次の願書の文章にも生かすことができます。

(2007年3月4日)

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