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浩の教室・水曜会5・第128回・第129回勉強会の模様

 先日は水曜会に多数ご参加いただきましてありがとうございました。また、第128回・129回教育学勉強会にも多数ご参加いただきました。ありがとうございました。水曜会は通常の勉強会と同じ内容ですが、いつものように人物対策を中心に実施いたしましたが、マークシート教職対策として、いじめ関係文書の学習、集団面接@、集団討論、個人面接、集団面接Aと盛りだくさんとなりました。第128、129回も内容的に同じです。

 「いじめ関係文書」の検討では、判例に基づき、体罰と懲戒の解釈が変わってきていることを解説し、あわせて文科省の通知を検討しました。ひょっとすれば、マークシートで出るかもしれませんね。

 第129回では、冒頭に、模擬授業をしていただきました。大阪市対策です。大阪市の受験報告もいただきありがとうございました。無償で提供、痛み入ります。

 集団面接に関しまして、3回の実施を代表し、水曜会の集団面接@、Aにおける質問事項を掲げます。

 「自己PRを1分以内でしてください」、「最近の気になるニュースはなんですか」、「10年後、どんな教員になっていると思いますか」、「いままでの人生で失敗した経験がいくつかあると思いますが、そのひとつを教えてください」、「だれでも友達に助けてもらった経験はあるものです。それを具体的に語ってください」、「服装が乱れている児童生徒が目の前にいるとします。叱ってみてください」、「怖い先生と優しい先生、あなたはどちらを手本にしますか、してきましたか」、「採用されたとして、何年生の担任を持ちたいですか、その理由も教えてください」、「最近の児童生徒に足りないものはなんでしょう」、「保護者から『うちの子の成績が伸びないのは、あなたのせいじゃないの』といってこられました。対応してください」、「保護者から『忘れ物をしてしまったら、うちの子、かわいそうなんで、先生、毎日連絡してきてくれませんか』といわれました。どのように対応しますか」、「学校安全についてどのように考えていますか」、「教員の常識は社会の非常識といわれることがありますが、このことについて、あなたはどう思いますか」、「最近読んだ本はなんですか」、「これだけは誰にも負けないということを含めて、今回の面接でいい残したことがあればどうぞ」、以上です。

 集団討論と集団面接、個人面接を3回ともに行ないましたが、。個人面接はいつものように文字起こししません。

 集団面接についてですが、みなさん、うまくなりましたね〜 やっぱり場数を踏むことが、そして、コメントをしっかりつけることが成長のためには是非とも必要ですね。

 さて、集団討論です。この3回の勉強会における集団討論のテーマは、共通でして、ちょっと難しいものでした。それは、「公共の精神を養うためには、どのような教育をすればいいのでしょうか。具体的に議論してください」というものでした。

 勉強会参加者の中には、このテーマを討論参加者として、また、討論傍聴者として、2度楽しまれた方もいらっしゃいます。3回とも討論をオブザーブしたのはワタクシだけですが、それぞれの討論の中身は似通っているものの、点数化すれば、80点(水曜会5)、60点(第128回)、55点(第129回)といったところです。今回は、3回行なわれた討論のうち、水曜会の討論模様を再現しようと思いますが、そこに、他の回で登場した視点も追加的に述べます。なお、再現の前に、ポイントを書きましょう。

 このテーマは難しい。テーマを知った瞬間から、受験生は、これをどのように参加者で議論するか枠組を想定しようとします。しかし、「『公共の精神』とは何か」ということが、参加者全員に共有されているかどうかがわからないですね。これは難しい概念だからです。単なる公共のマナーとか、ルールを守るということに矮小化した討論では、評価が低くなります。

 そうすると、この「公共の精神」を定義する試みからはじまるのが、一般的でしょう。グループが6名として、この「公共の精神」の意味を知っている方は何名いることでしょうか。ひょっとすれば、聞いたことがないという方もいるかもしれない。しかしこれではこの概念について知っている方も困りますね。6名のうち、半分くらいが知っていないと、議論そのものが、「トンデモ」討論になる可能性がある。
 いうまでもなく、「公共の精神」は、教育基本法の前文にも、第2条にも登場しますが、この言葉が「教育基本法にあるよ」といえるグループと、いえなかったグループがありました。水曜会5と第128回では、こうした説明があったのですが、第129回ではなかったのです。それが、80点と60点と55点との差になります。なぜ、水曜会5が80点だったのかといえば、水曜会5だけが、「公共の精神」をピシッと定義していたからです。

 おそらく、この定義ができれば、そのグループはその時点で60点以上あり、しかもそれを最初にいわれた方が、高評価を得ることができ、これをベースに議論が積み上げられれば、評価がさらに高まることと思われます。

 次のポイントは、「公共の精神」の指導にせよ、教育にせよ、具体的に何がいえているか、ということになります。討論に参加している最中に、「ああ、公共の精神とはこういうことなのか」と気付く方もでてきますし、議論になんとか参加することができてきます。その際、その具体例の出し方に問題がないかどうか。繰り返しにならないかどうか、というところに評価の目がいきます。どういうような切り口で、討論参加者同士、刺激しあえる具体例が出せるか、です。

 こう考えてくると、討論の構成が2段構えであることはすぐ理解されるでしょう。そして、最初の「公共の精神」の定義に5分くらいかけてはどうでしょうか。ここで定義が確定し、次に10分間、具体例を出していく。とすると、最初の5分は「積み重ね型」の議論が期待され、次の10分間は「発表会型」の議論になりがちです。このままでは70点。後半の10分間において、参加者同士の絡み合いがあって、「なんとなく議論が積み重なっている印象がある」と採点官に思わせられるかどうか、ここにかかっていると思います。

 もちろんこれはワタクシの採点の観点なので、これが正解かといえば、そんなことはまったくありません。しかし、ひとつの見方であることは、まちがいなく、この見方による評価が、正統ではないかとは思っています。もっとも、このテーマは難しすぎるので、実際には出題されないでしょう。
 では、あえて、なぜこのテーマをこの試験前という重要な時期にわざわざ出したのか。それは、この概念が教育基本法の核心的な主張のひとつであり、いいか悪いかは別として、学校の教員に指導させたい理念であるというところにあります。全国の教採試験の穴埋め問題に、この言葉を入れさせるケースが多いと思われます。

 これまで読んでこられて、閲覧されている方は、雲をつかむような感じをお受けになっていることでしょう。「なぜ、浩は、はやく『公共の精神』の定義を書いてくれないのか」だからです。しかし、この貴重な時期に、今一度、この概念について「自ら学び、自ら考え、問題を解決する力」を発揮し、考えてほしい。

 それでは、討論の模様(水曜会)を再現してみます。

 「公共の精神を養うためには、どのような教育をすればいいのでしょうか。具体的に議論してください」がテーマでしたが、これに6名の方がチャレンジしてくださいました。時間は15分です。

 最初に、Eさんが「公共の精神」についての理解を示されました。公共の精神とは、自分のことだけを考えず、社会の問題を自分自身のこととして考える精神であると。そうだとすれば、世間、地域、国家の問題を自分のこととして考えてみる態度の育成が必要があると。

 最初に、この発言が出たのには、正直、驚きました。これ、正解です。ここまでちゃんと理解している発言が冒頭に登場したので、第一関門はクリアです。ただし、これをどういうふうに議論の支柱に据え、かつ、この理解に即した「教育」が討論されるかですね。この定義的発言を受け、Cさんが、地域に視野を広げるのは、他人のことを考えることといっていいのではないかと述べられ、さらにDさんは、ルールやマナーの認識や、相手の立場を考えることと捉えてはどうかといわれます。Fさんは、最近の社会的風潮では、個人主義に走りすぎている、みんなで何かをやり遂げるということが少なくなっていると発言されました。これまたいいご意見です。Eさんの定義を正確に理解した応酬でした。

 ここから具体的に学校現場でどういうようにこの精神を育成していくかに話題が移り、Aさんは、クラス全員の共有物として、ボールや遊具を大切にするよう指導することが公共の精神を養うことになると示されました。また、Bさんは、環境のことを考えるのも、自分以外のことを考えることであり、たとえばタバコのポイ捨てなどはもってのほかで、そうしたことを大人から直していかなくてはならないと述べられつつ、自分の部屋での生活態度を外の生活態度と同じくしていくことが求められるのではないかと提言されました。Eさんは、Aさんのご意見を受けつつ、他人のことを思う気持ちも育てたいとし、周囲に目配りができることが児童生徒に求められており、教室にあるものを大切にするというのは重要なポイントであるとされます。そこからルールに関する話題を提供されました。

 Fさんは、小学校教諭を目指す立場から、小学生の自己中心性のことを話題にし、掃除の指導などを通じて、是正したいと述べられました。学習指導においては、Cさんが、総合学習において水源の学習をすると述べられました。それは、琵琶湖の学習でして、私たちの使っている水がどこから供給されるのかを体験学習的に学び、この学習をきっかけに、公共の精神を育むとご意見され、この意見に触発されたBさんは、電気のことを取り上げられ、電気不足の解消のため、クーラーの温度設定への関心も深めつつ、自分だけよければいいとの感覚をたしなめていき、公共の精神を考えさせると述べられました。

 CさんはさらにBさんの発言に応じ、家庭と連携し、学習した水源、電気についての報告文を作成して配ったり、夏休みの過ごし方の指南におくといいのではないかと発言されました。Bさんがこれに反応、特別活動において校外学習をする場合、他の人に迷惑をかけない、たとえば公共の場で不快な音をたてないとか、交通機関において先を争って座席をとらないとか、実践的なご意見でした。

 ここまで再現してみて、ライフラインの学習については、公共の精神を養う土俵といいますか、そうしたものが学ばれる可能性があっていいのですけど、後半になると、道徳の問題に公共の精神の育成を解消している感じがあります。しかし、社会の問題を自分の問題とするということは、なんらかの社会的課題の発見をまずはしなければならず、そのヒントとして、ライフラインについて考えさせることは価値があるといえるでしょう。

 Dさんは、学校にひとつしかない保健室を公共の場と捉え、ケガをしたりしんどくなったりしたときに、みんなが使用するスペースであるから、その使用の仕方に注意することを教えるのも公共の精神育成につながるとの認識です。たとえば、話し声を小さくし、しんどい仲間のことを配慮するなどですね。

 Eさんは、ここでこれまでの議論の中間まとめ的な発言をされました。学校内でのルールと社会のルールとの関係性、自分のことだけを考えない、児童生徒の視野を広げていく指導、ということでした。このあと、Aさんが視野を地域に広げていくのは大切であると同意され、視野を広げるという点では、たとえば障害のある児童生徒とどのように接していくか、また逆に、「みんなのためになにかをするということ」の理解が難しい状態にある障害のある児童生徒をどのように指導していくべきかと提言され、あるいはロールプレイを取り入れて指導していくのが有効かもしれないと述べられます。特別支援教育を目指すAさんならではの視点です。このご意見を受け、Cさんはインクルーシブ教育について言及し、共生社会の実現という大きな課題を幼いときから指導することが、公共の精神の育成とつながると話題をつなげられました。Eさんは、障害のある児童生徒の立場からの問題提起を期待する旨の発言をされました。

 Fさんは、パブリックスペースの話題として、図書館について取り上げられ、さわいだり、うるさくしたりすれば、迷惑がかかる、他人の気持ちを考えることが大切であるとご意見されます。Cさんは、公共の精神の育成について、教員が中心となって指導するべきであるが、学校教育は地域との連携も掲げており、地域の人びとの助けを借りて公共の精神について一緒に考えさせるといわれました。ゲストを呼ぶということです。一方、Dさんは、公共の精神は他者と付き合うことを通して養われるのであるから、最近の、敬語を使えない児童生徒に心配があるといわれます。このDさんのご意見を受け、Fさんがいわれたのですが、目上の人に対する態度の育成、気持ちのよい対話をする技術の育成が求められます。それは、Bさんがまとめられたように、「周りの人びとと一緒に気持ちよく生きていこう」を達成する方策ということであって、いわゆる社会的弱者とも連帯して住みよい社会を実現していくことが、公共の精神を育成するひとつの視点になると発言されました。この問題意識は人権問題にも及びます。

 Aさんも、自分と違う人たちと生きていく、いろいろな人と関わっていくことが公共の精神を養う糧になると発言され、Bさんは、その具体例として、高齢者福祉施設で高齢者と子どもとが接し、そこで多様な価値観に触れることにより、公共の精神が養われていくといわれました。核家族形態では話題にならないことも、そこでは登場することでしょう。

 最後にEさんが、「社会的弱者の住む世界は、それはそのまま私たちの住む世界である」と喝破され、妊婦体験やアイマスク体験をしてみることによって、自分のこととして考える習慣が身につくのではないか、と述べられて、15分間が終了しました。

 いかがだったでしょうか。公共の精神の育成とのテーマから、脱線しそうになりながらも、ギリギリ離れないものだったと評価できます。共生社会、ライフライン、社会的弱者の問題が、基底を支えています。なかなか聞きごたえのある討論でした。問題は、「公共」ではなく「公共の精神」について議論しているかどうか、また、「公共の精神」の教育であるのに、これを単純な道徳教育の在り方に解消していないかどうかでしょう。

 他の開催における討論で出てきた発言には、学校給食から公共の精神を考えること、自己と他者の意見の衝突について、情報教育と関わらせて公共の精神を考える、地域清掃とボランティア、外国の文化と公共の精神、時間の厳守(ベル着)、他者感覚を磨くこと、清掃活動の意義、社会の形成に参画する方法、キャリア教育とかかわらせて公共の精神を考える、などなどです。中にはちょっとズレそうな話題もありますが、こんなところです。以下の文章を吟味してください。

 「自分たちの力でより良い国づくり、社会づくりに取り組むことは、民主主義社会における国民の責務である。国家や社会の在り方は、その構成員である国民の意思によってより良いものに変わり得るものである。しかしながら、これまで日本人は、ややもすると国や社会は誰かがつくってくれるものとの意識が強かった。これからは、国や社会の問題を自分自身の問題として考え、そのために積極的に行動するという『公共心』を重視する必要がある。(中略)個人の主体的な意思により、自分の能力や時間を他人や地域、社会のために役立てようとする自発的な活動への参加意識を高めつつ、自らが国づくり、社会づくりの主体であるという自覚と行動力、社会正義を行うために必要な勇気、『公共』の精神、社会規範を尊重する意識や態度などを育成していく必要がある」(「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」2003年3月)。

 さて、やればやるほど、うまくもなるし、迷いもする、それが面接ですけど、やっぱりやらないとわからないことの方が多いです。少なくとも集団面接は、本番までに10回くらいやっておいた方がいいのではないでしょうか。

 当勉強会に参加している方は、1分間スピーチ、自己PRともに、苦しんで苦しんで作成されていますから、客観的にみても、よいものに仕上がっています。最初のころ、すなわち勉強しはじめの秋や冬はどうなることかと心配してましたけれども、みなさんここにきて勉強の成果が出てきたようです。ホッとしました。

 まあ、うちとこの勉強会は毎週参加しても、月4000円で済むし、格安ですな。しかも、参加したいときだけの1000円。講師やってたら、参加できないときはある。週末でもクラブ指導で参加できないとか。そんなときの分まで負担する必要なし。月2回しか参加できない予定なら、2000円でいいわけよ。珈琲会も参加したら、1回6時間くらい勉強と情報交換できるしね。

 いくら教職教養や一般教養やったって、教採の一番重要なんは人物系でしょ。これが受験生の本音じゃないかな。マークの勉強なんて、いってみれば自力でなんとでもなる。塾とか、予備校とか、えらい高額のワリには、面接対策が充実していないようなことも参加者から聞きます。桁2つ違うんちゃうかな。半年通って3回とかね。それに結局、面接の内容はお金払わないと教えてくれないし。こっちは、ワイドオープンやからね。閲覧しているみなさんも、しっかり利用してください。

 なんでオープンにするのかって?それは、質問事項をいくら知っても、答え方は様々だし、質問事項を読んで答えきれるほど甘くはないから。読んだだけで受かるんなら苦労はないよ。将棋の本を読んだだけで、みんな名人になれるわけないし、スケートの練習本読んで、みんな真央ちゃんみたいに滑れるわけないのと同じよ。これは、論作文にもいえる。また、癖とか態度とか、イロイロ直すべきところがあるやんか。

 さて、当サイトの勉強会は、1回参加して、内容的にしょうもなければ、次は参加してくれないし、その意味では、1回1回が勝負。最初に学費もらって後は知らんではないので、こっちとしてもヤリガイがある。テハイッサイヌカナイ。この間の6月24日の特別講義のときには、わざわざ遠くから飛行機で来てくれた人もいる。ウレシイ。

 1日2万で面接勉強会があるとすれば、うちとこは1000円やから、1万9000円安い。それを交通費に廻すと同じやからといって中部地方から継続参加してくださっている方もいる。ウレシイ。
 四国から通うのは大変やけど、もうちょっとやし、がんばってや。

 障害のある受験生も通ってきてる。移動がしんどいときはあるやろけど、その努力が実ることを祈念している。

 ところで、みなさんの合否は、みなさんの合否であるとともに、ワタクシの勝負です。ワタクシの伝えていることが、各教委に信任されるかどうかなんですよね。昨年、参加した方の8割を自治体に送り込んだけど、今年もええ感じです。

 もうあと神奈川なら1週間、大阪府なら2週間やし、みんながんばりや。

 こっちはようやく〆切終えて、ホッと一息ついたとこ。でも、まだまだがんばる。みんなの試験が終わるまで。

(2007年6月30日)

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