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浩の教室・第154回・勉強会の模様

 昨日は、当サイト主宰勉強会に多数ご参加いただきありがとうございました。ちょっと大き目の部屋をお借りし、25名くらいになりました。

 風邪がはやっている関係上、キャンセルありますので、前々日、前日にサイトをチェックいただくと幸いです。ワタクシも、もう2週間以上、調子悪いです。なんか変な感じの風邪ですね、今年の風邪は。

 さて、昨日は、なかなか面白い展開でした。まず、「議論の叩き台としての教育学講義」をいたしました。きょうこそ24ページまで終了するぞ、と意気込んでいたのですが、「夜スペ」から塾、教育の機会均等の話に及んでしまい、1ページ残してしまいました。まあ、議論があって楽しいのでよろしいのですがね。

 次に、自己売り込みのツボでした。まず、Mさん。Mさんはぴったり3分間、ものすごく練習してきたのでしょう。よかったですよ。これくらい苦しんで表現力をつけることが、夏に膂力となります。英語と音楽の記述を中心に、是非、みなさんとワタクシの方から指摘したことを反省点として生かし、やり直してください。また、珈琲会に持ってきてくださいね。そして、Sさん。Sさんのイニシエーションはワタクシも共有したところであります。蛙の尻に爆竹を詰め込んだ過去を思い出させます。科学者としての態度と教育者としての態度をどのように融合するかが課題ですね。ちょっとむつかしい言葉を使っているのでこなれた表現にしましょう。なんといっても、「面接官を信頼してはいけない」なのです。相手はわかってくれないもの、だからこそ、わかってもらうように苦心すること、これが大切です。面接官も人間ですから、10人も個人面接をすればヘトヘトになります。そのときにむつかしい言葉で説明されると、「もうええわ」となる可能性があります。やり直して持ってきてください。

 自己売り込みのツボは、参加者全員の前で、自分を売り込む3分間です。これは思ったよりも勉強になります。3月期はまだ報告担当者があいてますので、ぜひ、メールください。

 さてさて、集団討論の再現をしてまいりましょう。前回のテーマを再掲すると、「体験学習を盛んにするような方針がもてはやされていましたが、現実には学力低下しています。今後、学力向上のために体験学習をどのように活用するべきでしょうか。議論してください」というものでした。今回の議論を聞いていて、考えさせられるところ大でした。体験学習と学力向上の関係性をどういうふうに捉えるかというところに、テーマの本質が確認されるのですが、どうなったでしょうか。講師の方から大学3年生の方まで、6名の方が挑戦、20分間です。発言者する人、あまりしない人と、偏りがありましたけれども、どうだったでしょうか。多い方で7発言機会、少ない方は1発言機会でした。

 まずAさんが発言されます。体験学習は総合的な学習の時間とセットで語られてきたように捉えられまして、総合学習を縮減して算数や国語の授業時数を増やす現状を指摘されました。Aさんはしかし、総合学習は学校における集大成的な意味合いで必要な時間であると認識されており、体験学習そのものは今後も継続して実施していく教育方法であると述べられました。Bさんは、これを受け、学力が低下するから総合学習を減らすのではなく、教科教育で培った力を体験学習を通じて応用力にすることが求められていると答えられました。Cさんは、知識と体験はリンクしているものであって、体験学習を日々の教育活動に生かして知識の血肉化が求められていると発言されます。Eさんは、体験活動といえば職業体験などを想像するが、そうであれば家庭内で「お手伝い」をすることによって活動が生かされるし、教科で体験活動を実施するとすれば、それは動機付けのところで効力を発揮するのではないかとご意見されました。

 Aさんは、体験学習と教科教育との関連をEさんがいわれたのを受け、様々な教科で体験活動を取り入れるのは大切で、たとえば理科でも木の枝や葉っぱを実際に手にとって学習する機会があるとし、それは百聞は一見に如かずの精神を生かせる活動であると規定されました。そしてこうしたいわば実物教授が基礎学力を引き伸ばす起爆剤になると指摘されます。BさんもAさん、Eさんの発言を受け継ぎ、授業の導入段階における体験学習の充実を述べられ、さらに、職業体験といえばキャリア教育と結びつくし、働くためにどのような力が必要となるのか自覚が児童生徒に生まれるようになって、何を勉強するべきかがわかってくると発言されました。こういうようにBさんは、体験学習の幅広い効果を指摘されました。

 ところで、ここまで議論が進み、Aさんは疑問を感じられたのか、体験学習といったときのイメージはどのようなものですか、と、討論参加者に話題をふられました。疑問というのは、討論参加者がバラバラに体験学習を捉えられているので、テーマに即した議論をするにはやはりその一致が必要ではないかと思われたことです。つまり、総合学習の体験学習、教科の体験学習や職業体験、キャリア教育体験などなど。そして、Cさんがいわれたようにボランティア活動体験などもありますからね。Cさんはボランティアの体験を通して将来の夢を発見できるのではないかと述べられ、映画制作のボランティアに関わった経験を話されました。制作現場での働きぶりをみて、どのような勉強が今後に必要なのかを知らされたということです。

 ここでDさんがはじめての発言。高校を志望するDさんは、高校時代に学力の個人差が小中時代よりあらわれると捉えられており、学力向上のニーズに対し授業外で実験や補習を実施することを期待されると主張されます。そうした授業外において、体験学習をするチャンスと意味があるのではないかと話されました。Fさんもつづいて発言。この一回限りの発言でしたが、それは、弟さんが職業体験にいってきたのでどのようであったのか聞いてみたとの内容でした。体験するのが大切なんだなと思われたそうです。初参加の勉強会で、いきなりワタクシから「やってみたら」といわれて、人生初めての集団討論参加で、ドキンチョウしながらも、ようやく発言があってよかったですよ。参加されてみて、自分の位置がわかったのではないかと思います。まだ大学3回生、焦ることありません。

 Eさんは、このFさんの具体的な体験に基づいた発言の主旨を生かし、小学校3年生が伝統や文化を学ぶ体験学習にいったことを具体的に述べられました。筆作りの職人のところに子どもたちはいったようで、筆作りの過程を見学し、さらに筆に関わる時代背景を学んだと、その学習風景をまとめられました。これを受けAさんは、もの作りの体験学習はすばらしいことだと承認し、しかも地域に根差した教育的素材を活用した筆作りの体験学習の意義を評価されました。Aさんも竹で万華鏡を作成する指導をされたそうです。近くの竹林の活用ということでした。

 つづいてBさんは、Eさんが述べられた体験学習で地域の伝統や文化を学ぶ姿勢は、日本のそれを学ぶ姿勢につながると指摘されました。さらに、Dさんの高校における体験学習の現状報告を受け、修学旅行を通して体験学習を実現するのはどうかと提案されます。高校2年で沖縄に修学旅行にいくとすれば、平和学習がテーマになると示され、事前指導と事後指導を忘れず学習に起承転結を設けた体験を実施すると効果が上がると述べられます。そこでは、自分たちで調べたことをポスターに掲示するのもいいと指導の実際を提案され、これを一過性の学習にとどめず、広く深く平和を学ぶ方向に増幅する方法として、なぜ、ピカソがゲルニカを描いたのか、そうしたことを英文を通じて学ぶようなこともできないかとの提案にまで至ります。

 こうして授業実践への体験学習の取り入れ方についてのトピックに一段落ついたので、Aさんがテーマに立ち返って、体験学習を取り入れてきたのに学力が低下していったとすれば、その原因はなんなのだろうかと疑問を放ち、それは基礎的学習をおろそかにしていたからだろうかと自答されました。さらに、体験学習をしたといっても、実際に学習していたのかどうかわからないところがあると厳しいご意見です。児童生徒がいやいややっていないか、とのことです。だから問題はAさんによれば、どうやって体験学習に児童生徒を引き込むかという興味関心、動機付けの方法論となります。Bさんがこれに答え、日ごろから児童生徒がどんなことに興味を感じているのかを観察し、体験学習につなげていくべきと発言しつつ、やりたくない児童生徒にも、知らないことを知る楽しさを伝える側である私たち教員が工夫して、指導するべきではないかと建設的なご意見の提出です。Cさんもこのご意見に同意し、児童生徒の興味関心を把握し、実態をつかまえておくことが私たちに要求されていると、教員としての自覚を示されました。Cさんはこれをアンテナを張っておくという言葉で表現されました。

 Dさんは、Aさんの疑問に対し、総合学習が教科学習を時間的に圧迫しているのならば、教科の授業に活かせられる体験活動を模索するのがよいとし、そのときに生徒のすでに持っている学力でカバーできるような活動を探したいとご意見されました。

 Eさんは、Aさんの発言も受けつつ、体験学習と学力向上をどうリンクさせるかがテーマの課題であると再確認されました。力強い発言です。これにご自身で解答を与えられればもっとよかったですね。ところが、これが一番むつかしい。実際、この答えがあるのならば、現場は全然困らなくてよいわけでして、すべての教員がその組み合わせを日夜考えているところでしょう。それだけ大きな課題でありむつかしい課題なわけです。AさんがなんとかこのEさんの提出されたトピックに答えようとされますが、学んで身についた喜びを体験学習で実感させると答えるのが精一杯のようでしたし、Bさんも、この学力を向上させつつ体験学習をいかに実施するかの問いに対し、教師主導の体験学習で自主性を育むことができるか疑問を呈し、児童生徒の力量の差を考えれば、複数の学習コースの設置がよりよい体験学習の採用の前提になるのではないかと回答されました。さらにAさんが、体験学習でやったことを普段の学習にちりばめると表現され、授業に発展と広がりを持たせることを強調され、「こうしたこともできるのではないか」と児童生徒に「きづき」を与え、最終的に出口を自ら見出させるように指導したいと語られました。そうした指導は、授業から多様な方向へ飛び出していく道筋を児童生徒に与えることを意味し、授業が枝分かれしていく状況であるとAさんは表現されます。お膳立てをして児童生徒が進んで学んでいける状況を設定することであるとまとめられました。

 以上で、20分間が終了しました。

 今回のテーマにはむつかしいところがありました。学力向上を進めていくことと、体験授業をふんだんに取り入れることとは、両立するのかどうか。できるとすれば、どのような効果的な体験学習が計画できるのか。これに対する現実味のある提案があったかどうか。このあたりが評価のポイントとなります。テーマにストレートに接近するとすれば、上の問いに答えることは必須でしょう。しかしこれだけでなく、体験学習がなぜ唱えられるようになったのかの分析も大切でしょう。今回、総合学習は登場しましたけれど、「生きる力」との関係性が語られなかったのは残念です。また、授業時数の増加が見込まれる新しい学習指導要領の出発を見越して、上の議論で登場した「総合学習が教科学習を時間的に圧迫している」との現状を変革し、時間が増えた分を体験学習に割くといった捉え方もできるはずです。大きな問題として、そもそも体験学習は学力向上の足手まといになるかどうかということも議論の前提に持ってきてもよかったでしょう。

 このテーマは相当むつかしいですね。出題したワタクシも、討論参加者の立場なら、何がいえたか。ゆとり学習の批判をいうのも簡単に過ぎるし、や他者経験、たとえば妊婦さんの気持ちを理解するために妊婦体験学習をするなどの実践が、受験学力の向上には役立たないかもしれないが、他人の気持ちを思いやる道徳的な、情操的な人間形成にはすこぶる重要な指導となるなどといえるくらいでしょうか。

 次回はもう少し間口の広いテーマを出題する予定です。では大阪府首長選のイブと当日に、またお会いしましょう。

 珈琲会には卒業生がたずねてきてくださいました。Sさん、写真ともどもありがとう。Kさん、ありがとうございます。お2人とも、春からがんばってくださいね。

 あ〜 鼻水がとまらない〜 あ〜 新しい答申、読んでますよ〜 これ、150ページもあるやんか。いや〜、でも、このこんどの中教審答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」はおもしろいね。イロイロ書いてあるし。いま、まとめているんですけど、各教科別のところは割愛して、小中高に共通するところ、つまり試験に出題されそうなところを摘記し、解説を附載して、勉強会で配布します。さすがに、30ページは超えちゃいます。ワタクシなど答申に親しんでいる人間にとっては読むのも苦にならないのですが、そうでない方は読むだけでも大変。しかし、こんどの答申は親切ですよ。なぜなら、脚注が多くてわかりやすいですから。逆にいえば、それだけ読み込まなければならない量が多いともいえますが。これも、重要なもののみをピックアップして示しますね。勉強会では重要項目だけに絞って検討しましょ。

(2008年1月20日)

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