勉強会のお知らせページへ 勉強会報告一覧ページへ  勉強会申し込みページへ


浩の教室・第6期 第3回(通算199回)勉強会の模様

 昨日は、当サイト主宰勉強会に多数ご参加いただき、ありがとうございました。体調を崩し、残念ながらご参加を見合わせられた方、またよろしくお願いします。また、お忙しいところ、昨日は当勉強会の卒業生にして現職のおふたりの先生方にご参加いただきました。厚くお礼申し上げます。先生方とは1年間一緒に勉強した仲間であり、ほんと、懐かしい気持ちになりました。昨日は、ワタクシが司会を担当し、先生方に質問する形で採用試験に関する話題提供とさせていただきました。来年をめざす参加者の方々のお役に立っていることを願うばかりです。

 こうして卒業生の方々にご参加いただく機会も、次回で終了です。次回は和歌山に合格されたK先生と、遠く岐阜から当勉強会に通われ、大阪に合格されたI先生のおふたりにご参加いただく予定です。みなさま、楽しみにしてくださいね。

 さて、卒業生の先生方の報告につづき、過去問の検討を実施しました。今回は、薬物乱用に関する問題の解説でした。この問題は、問題としては簡単でしたが、選択肢の4番に疑義がありました。これについて資料を読み上げる形で説明したのですけれども、いささか論点が分かりにくかったのではないかと反省しております。選択肢の文章そのものの問題性を問題にしたのですけど、うまく伝わったかどうか、心配です。今一度、ご自宅での検討を期待します。

 今回の勉強会では、時間の関係があり、ワタクシからの講義は割愛させていただきました。次回以降、しっかり講義させていただきますので、配布資料をお忘れにならないようにお願いいたします。

 最後に、集団討論を実施しました。討論のテーマは、「規範意識の形成ほか、児童生徒にルールを守る意識が低下しているように見受けられます。このことについて、学校教育ではどのように解決していくか、議論してください」でした。このテーマに、6名の方が20分間で挑戦。ちょっと討論参加者が固定化してきています。是非、積極的に参加してください。

 それでは、集団討論の模様を再現しましょう。今回の参加者6名を仮にA〜Fさんとして、20分間でどのような議論が構成されたのか、おっていきます。テーマは、「規範意識の形成ほか、児童生徒にルールを守る意識が低下しているように見受けられます。このことについて、学校教育ではどのように解決していくか、議論してください」でした。

 まず発言されたのは、Dさんでした。規範意識を形成する上で大切なこととして挨拶の励行をとりあげられました。朝の挨拶は重要なものであり、顔をしっかりみて挨拶ができるように徹底して指導すると述べられます。挨拶すること自体が楽しくなるようにまでとおっしゃられ、そうした態度が授業に生かされるように期待されています。つまり、しっかり挨拶できることが、授業はじめの「お願いします」との発言と姿勢につながるとお考えのようです。また、授業に関して規範意識の形成とルール遵守のために、私たち教員が授業に遅刻してはならないと述べられました。

 Dさんの最初の発言は2分以上の時間をとり、第1発言者としては長いといわざるを得ませんでした。このことについては、勉強会終了後の珈琲会でも議論になったところです。20分の討論時間の1割以上をひとりで、しかも冒頭で消費することが許されるのかどうか。これは、集団全体の評価にも関わってきます。ただし、積極性という評価のポイントからは、よしというべきでしょう。したがって、このあたりを次回、調整して発言するといいでしょう。反省点を生かしてください。

 第1発言の内容が、討論全体に大きな影響を与えることはいうまでもないことですが、第2の発言者が、第1の発言をどう受けとめるべきか、ことのほか大変です。今回の第1発言が、挨拶の励行だったので、ルール遵守とどう関わらせていいのか、悩まれたと思います。第2発言者はEさんでした。Eさんは、集団討論における協調性ということを自覚されている討論参加者です。なんども討論に参加した経験を持つEさんは、挨拶は大切であることを承認しつつ、現代の社会について、子どもから挨拶をあまりしない社会になっていると述べられ、挨拶運動に取り組むのもいいと、Dさんの議論を膨らませようとされました。子どもからあまり挨拶をしない状況を打破するには、教員から率先して挨拶の声を掛けることがいいとの主張となります。

 こうした発言につづいて、Cさんも、挨拶の重要性を理解しつつ、学校に通う児童生徒がすべて気持ちよく学校生活を送るためにも挨拶が基本となることを述べらました。と同時に、清潔な教室の環境ということにも触れられました。清掃活動、クリーン作戦、なんと呼んでもいいでしょうが、キレイになった教室で学習がすすめられるのは、気持ちのよいものです。こうした児童生徒の心の中に、「気持ちよさ」が残るというところに、挨拶の励行と教室の浄化のつながりがあります。しかし、こうした意見の積み重ねが、テーマとしての規範意識の形成とはずれていっていると感じていたのは、ワタクシだけでしょうか。

 テーマからズレた議論は、評価としては低いでしょう。面接官にあっては、どういう意図、どういうように議論してほしいか、ということがあるものです。それとズレたことが展開されれば、それだけでもつまらなく感じるものです。今回も、面接官、評価者の立場にあったワタクシは、「なんで挨拶とルールと関係があるのだろう。ちょっと方向性が違うのではないか」と内心思っており、この流れに軌道修正を加える意見が出ないものかと感じておりました。

 Bさんが、この状況に対し、再度テーマを確認する形で発言されたのは、転換期になりました。規範意識の形成は、生活面、学習面の両面において育成しなければならないと切り出されます。Bさんは、講師としての経験から、児童生徒がルールを守らないケースを散見されているようで、Cさんの浄化のことに関しては、「身の回りを整頓しよう」とのルール化した言葉を出して説明され、また、Dさんの議論と関わらせて「授業中の姿勢をよくしよう」との立法化を解説されました。

 Aさんからは、ルールを守るよう意識を向上させることについての発言がありました。ルールを守ったことに対してほめる指導を徹底するということですね。たくさんほめると児童生徒もまんざらではなくなります。主体的にルールを自覚する態度が育成されるとすれば、ほめるの指導は効果的でしょう。

 次に発言されたのはFさんでした。これまでの議論を整理して、児童生徒と教員間の信頼関係の成立抜きに、児童生徒はいうことをきかないといわれ、だからDさんが最初にいわれた挨拶の励行が要求されると述べられました。ここで、挨拶に関する議論は収束したようです。この後、Cさんから、ようやくルールに関する発言があり、教員も社会の一員として、ルールを守る日常生活を送るべきであるとし、そうしたルール遵守の態度があってこそ、指導ができるものであると指摘されます。

 このCさんのご意見は、わかるにはわかるのですけど、とても窮屈な生き方を強いるかもしれませんね。ただ、ご意見の意図として、児童生徒の道徳的な模範、モデルになるということが理解される発言です。この点、具体的にEさんが道徳の授業で考えさせると提案されます。すなわち、大人社会をみれば、すべての人間がルールを守っているとは考えられない、タバコをポイ捨て(最近はなくなってきましたが)する人間もいる、こうしたことをディベート形式で議論させるということでした。Bさんは、模範となるべきとのCさんのご意見やAさんのほめる指導に同意を示され、さらに、児童生徒同士でもお互いにお手本になるように努めるよう指導すると主張されました。ルール遵守の議論では、Aさんが指摘されたように、教員間におけるルールの確認は大切ですね。指導の線引きが教員それぞれによってアイマイであれば、混乱が生じます。それは、Aさんいわれるように服装の面でよく登場する問題となるでしょう。

 上のような議論をFさんは、指導体制の統一とピタッとした言葉でまとめられ、ただ、ルール遵守は道徳的な指導で、これは教員だけでは指導に限界があることを指摘し、家庭と連携して育成するべき態度であると述べられました。このご意見について、討論終了後にワタクシの方から反省的視点としてコメントしたのですけれども、果たしてこのご意見が、テーマに即したものであるのかどうか。テーマを再確認してみると、「規範意識の形成ほか、児童生徒にルールを守る意識が低下しているように見受けられます。このことについて、学校教育ではどのように解決していくか、議論してください」なのであって、就中、「学校教育では」と条件付けています。こう限定している意図は、出題者の立場では、当然、規範意識の形成は家庭の協力なしには実現しない、その前提で、学校ではどうするのか、という意図があるわけです。このあたりに敏感に発言するといいでしょう。ただし、「学校教育」の解釈が問題となるとの考え方もあります。「学校教育」に家庭との連携を含めて考えることも広義に捉えれば可能ではないかということです。これはそうかもしれません。この勉強会における集団討論の練習では、問題は、テーマの意図を適切に捉えるというところにあります。最終的に幅広い議論を組み立てていく力は必要になってきますが、いまの段階では、いかにテーマに密着した議論ができるかに焦点を定めています。今後、もう少し、こうした接近態度で、討論に臨まれることを期待します。

 Fさんの発言の次に、Cさんが、Eさんの提案されたディベート案をよしとされ、社会規範に反している大人の事例から考えさせるのは、新しい視点の獲得のためにもいいのではないかと同調されます。たとえば、点字ブロックの上の自転車の存在をどのように評価するか。こうした問題点を事例化し、児童生徒だけでなく大人も共通認識を持つことができるようになればいいですね。

 ディベートを採り入れるにしろ、共通認識化するにせよ、なぜこうしたことが大切なのかといえば、Aさんが述べられたように、社会に出てルールを守ることがどれほど大切であるかを自覚させるところにありますね。期限を守ること、納期を守ることと、規範意識の形成にかかわりどのように関連するのかの説明がもう少しほしかったところですけれど、学校生活において、提出物の期限を守らない人に仕事を頼みたいと思いますか、との指摘は、参加者を納得させる発言でありました。こうした議論を道徳の時間において積み重ねていくといいでしょう。Eさんいわれるように、Dさんの指摘を一人ひとり傷つけないように注意することが教員に求められるでしょう。宿題の期限を破る態度の是正において、ディベートを導入して実感させるのはよいご意見です。また、それをロールプレイングを採用して行なうのもいいですね。一番最初にDさんのいわれた挨拶に関しても、Eさんは、「気持ちのいい挨拶」と「気持ちの悪い挨拶」があると述べられて、ロールプレイングしてみると実践的なご意見を述べられました。「気持ち悪い挨拶」は、ちょっとわからないですが…

 Bさんも指摘されたように、ロールプレイをすることは、教育的効果が高いでしょう。それを実践の場で是非とも生かせたいものです。Bさん曰く、季節ごとにある学校行事が、その試金石になるということで、電車ほか公共の乗り物や機関を活用する際に利用マナーを遵守させることは大切です。電車内で大声をあげたり、優先座席を占有したり、こうしたことは教室内の勉強が生かされるところです。特別活動の行事に関して、Fさんは、事前指導と事後指導の重要性について述べられました。とりわけ修学旅行は大規模な行事であって、学習の意図も確認する事前指導は不可欠です。さらには、遠足でもなんでも、その後を反省的に捉える時間を用意するべきでしょう。また、勤労している方々と触れ合う機会の多い社会見学では、インタヴューをするときも注意が必要というのが、Eさんのご意見でした。ここでは言葉の勉強も加味して考えないといけないわけで、Eさんは、とりわけ、「ありがとう」といえる感謝の気持ちを持つことが重要だと認識されています。

 ここでCさんから、テーマに戻り、ルールを守るのには意味があるからであり、Dさんのご意見と共鳴しつつ、社会一般における問題を述べられました。これは、交通ルールになるのですが、自転車ドライバーの事故多発について触れられました。児童生徒が一番よく使う乗り物を取り上げられ説明されたのは、賢明でした。

 Bさんは、ルールといえば、「こうしなければならない」を考えてしまうが、「どうしてなんだろう」とルールをみつめ直させることも児童生徒にとっては有益であろうと述べられます。そして、最後に、Fさんから「その場その場の指導」が大切である旨の発言があり、20分間の討論は終了しました。保健室もちゃんとノックして入室してもらわないといけませんね。そうした最小限のルール、まあ、エチケットというべきでしょうか、こうしたことに気をつけているかどうかが、大人になっていく児童生徒の人格形成に影響を与えるものですね。

 さて、今回の討論の問題点はどのあたりにあるでしょうか。すでにコメントしましたけれども、討論の最初の出だしには問題がありました。集団討論ですから、協調性ということが求められます。しかし、その一方で、周囲を気にするあまり、積極的に発言できなくても困りものです。こうしたコインの表裏をどのようにして按配するかですね。

 討論の内容的には、もう少し、道徳教育に触れてもよかったのではないかと思っています。学習指導要領に密着しすぎるご意見を求めているのではなく、道徳的実践力を形成することが、規範意識の自主的形成には不可欠だからです。また、公共を述べるとすれば、教育基本法の公共の精神についても考えるべきでしょう。そうすれば、ルール遵守と社会の在り方との関連性の接着がよくなるのではないかと思われます。ただし、これを話題化すれば、じゃあ、公共の精神とはなんぞや、ということが必然的に出てまいりまして、むつかしい議論になるやもしれませんね。

 最後に、これまた既に指摘したところですが、集団討論に関する一般的注意点として、テーマからズレない、があげられます。討論時間中は集中し、テーマとズレないように、いいかえればテーマの本質を常に突いた発言をすることが、各参加者に期待されます。このあたり、「集団討論に関する覚書」を今一度、お読みくださいね。

(2008年10月18日)

戻る 浩の教室・トップページへ