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浩の教室・第6期 第5回(通算201回)勉強会の模様

 先日は、当サイト主宰勉強会に多数ご参加いただきありがとうございました。この時期、文化祭など特別活動学校行事が開催され、忙しいとは思いますが、是非、受験生と講師との二足の草鞋の困難さを乗り越えて、合格を勝ち取っていただきたく思います。

 さて、当日は、過去問の検討からはじめました。学校評価ガイドラインの問題でした。表があるのでむつかしいように思われますが、実際は超カンタンな問題でした。勉強会では、問題を解くことはもちろんですけど、その意義をここ数年の教育行政の動きや法規の改正と照らし合わせて議論していきました。

 ところで、採用試験の問題に、ガイドラインのような平成20年1月の改訂版が登場したり、中教審答申でも年明けのものが出題されたり、アップツーデートです。だから、教職教養に配分する勉強時間は、いまはほとんどいりません。それがワタクシの見解です。結局出題の基礎となる文書類が「まだない」状態なので、しかもまだみぬ資料から3問も出ているのですから。

 このほかにも勉強会では、教職教養の勉強の仕方について、若干のコメントをしましたので、是非その方法で取り組んでください。過去、5年間、大阪府ほかの1次試験を追跡調査、分析してきたワタクシです。かなり自信があります。大阪府の対策としてひとつだけいえば、「穴埋問題をやるのは、ほぼ無意味」ということです。

 さて、次に、ワタクシの方から講義を行ない、みなさまにイロイロとお尋ねする時間を持ちました。こちらは、過去問の問題と関わらせつつ、最近の教育行政について、あまり大阪府では出題されませんが教育史のこと、さらに「教育ということ」の多様な機能的性格についてお話しました。こちらも、内容的な理解を、いまは、フンフンと聞いているだけでよいと思います。

 とにかく一般教養をどのように攻略するかですね。40点配分のうち、23点くらい一般教養にあるのですから。なお、大阪ご当地問題も5点分出ますが、これは対策を立てようとして立てられるのか。ちょっとむつかしいです。それでも、基本的なところをおさえておきたいものです。当勉強会の卒業生達が調べに調べた「大阪資料集」を斜め読みするだけでも違うと思っています。

 さて、最後に集団討論です。討論のテーマを、勉強会の前々日に、ここに掲載したのですが、「最近の旁午」に「移植」するのが早く、確認いただけなかったかもしれません。失礼いたしました。

 それでは、集団討論の模様を再現しましょう。今回のテーマは、今夏に出題された「校種間の連携をどのように進めるべきでしょうか。議論してください」といたしました。なかなかむつかしいテーマですね。このテーマに、20分間で6名の方がチャレンジしてくださいました。仮にA〜Fさんとして、その発言の論旨を追っていきましょう。

 第1発言者はDさんでした。Dさんは、まず、テーマを確認される形で読み上げられ、次に、小学校志望の立場からの見解を述べられます。小学校を志望するものとして、中学校の実態を知ることが必要とのご意見であり、今後、外国語活動が本格化してくるため、英語の授業の出前を中学校教員に頼んだり、自分自身が中学校に出かけて英語授業について研修したり、具体的な協同体制を組み立てる必要性について議論されました。Fさんは、高校志望です。この立場から、郊外学習として大学にいってみることを提案。進路指導に役立たせる観点からのご意見です。Eさんは、教員の「出前」の有効性を認めて、児童生徒に興味を持たせる話を仕入れる機会になると主張、このほか、オープンスクールを開催して進学意欲を引き起こさせることができると述べられました。

 このように、ご自身の志望する校種の上位校種、下位校種に眼差しを向けるのは、テーマからして当然のことではありますが、具体的に語られている出だしで好感が持てました。Cさんも、こうした発言を養護教諭をめざす立場から披露されます。Cさんは、保健指導、養護教諭としての指導の核に性教育があることを指摘し、思春期という長いスパンで取り組む課題であると性教育を捉えられます。中学生と高校生とが性について語り合い、自分たちの考えを自分たちの言葉で表現し、性に関する問題意識を高めていくことを実践されたようです。Bさんは、小学校を志望する立場であり、研修に参加する機会があって、幼小中の各校種の先生方と議論を持ったそうです。そこでは研究授業を評価しあったり、各校の実践例を報告したりされたそうです。ここでは、もう少し説明を詳しくし、ご自身がそこで得たもの、刺激を受けたものを発言に混ぜられたほうがよかったですね。Aさんは、これまでの発言に聞き入り、出前授業の効果を再確認されつつ、Cさんのご意見に共鳴し、年の近いもの同士の議論は、活発になるし教育的な意義があるとまとめられました。ここで各参加者の発言が一巡しました。

 次に発言されたのは、Aさんが年の近いもの同士の議論といわれたことに応答したBさんでした。Bさんは吹奏楽部の指導を担当され、中学生が小学校にいって演奏するなどの交流が、児童生徒それぞれの音楽的な要素を高めることになると指摘されました。また、Dさんは、小学生が中学校にいって、英語の授業や理科の実験をみる機会がたくさんあれば、卒業してから中学校へ安心して進学できるといわれます。同じように、文化祭や体育祭にいくこともそうした進学上の安心感を得られるとも指摘されます。

 Eさんからは、少し違った視点からご意見があり、教員間の連携について指摘がありました。中学と高校との連絡を密にすることが期待されているとの立場であり、それは、各生徒の性向・特徴をしっかり捉えたもの、つまり「この子はこうした状況にある」といった情報を校種間で共有することができれば指導の開始がしっくりくるのではないかとの発言でした。

 Cさんは、Bさんの述べられた研修のことに言及し、幼から高まで研究部会が多様であるが、「健康なからだ作り」という部署に所属したなら、各校種に渡る連続した議論が可能であると述べられ、さらには、この議論に地域の問題があるとすればそれを採り入れることによって有益な議論ができると発言されました。

 上の議論の最中に、研修のことについての発言がありました。研修について述べるのは間違ってはいませんし、議論を広げる点ではいいかもしれません。しかし、問題は、研修がどうしても「受身」になるということです。研修から刺激を得て、なにか具体的な実践を予想させる発言でなければ、校種間の連携に関連する有効打になりにくいと思われます。

 議論は研修についての応酬の後、テーマにより即したAさんの発言に戻りました。養護教諭をめざすAさんは、小から高まで既往症や発作の履歴などをたぐり、養護教員として把握しておくことが「見守る」の観点から大切ではないかと述べられます。さらに、こちらから日々の健康安全に関して情報発信していく必要があると主張されました。まさに、「個別の指導計画」的な把握視点を展開されており、校種を継続して指導する観点を提出されたといえます。Fさんも、こうした校種を超えたところのテーマを提示されます。心の問題です。児童生徒一人ひとりはなんらかの悩みを持っているものであり、小学校や中学校の頃どうであったのかを知ることが、豊かな高校生活を送るひとつの指導観点になりますね。Aさんにしろ、Fさんにせよ、理想的発言であることは否めませんが、これはこれでいいでしょう。というのは、若い教員をめざす方から、なんらの前向きな姿勢がみえてこないと寂しいからです。ただし、こうした発言を具体化する方策をもし提示できれば、もっと評価は上がると思います。たとえば学齢期全体で既往症を把握するといっても、それは膨大な資料群になるわけであって、特別支援教育における「個別の指導計画」的なカルテを体力に保有することになります。しかも、個々の児童生徒の既往症など、きわめて守秘義務遵守が求められるカルテに対してどういうように教員が関わるのか。イロイロと議論が出てきそうです。

 Dさんは、小中連絡会について発言され、小学校の情報を中学校にすべて提供する旨のご意見を述べられました。ADHDなど発達障害の事例についても正確に申し送りするほか、授業態度一般についても小学校6年間の生活リズムも含めて情報提供し連携を考えていくといわれます。Aさんは、学級担任の先生方にも養護教諭からアプローチして情報共有を進めたいと、これは「横の連携」ですけど、発言され、Fさんは、中学から高校へというように一方向からの情報提供や伝達で済ますのではなく、高校から中学へと逆のベクトルでも働きかけをするべきであると述べられました。では、その「働きかけ」や「提供」の中身は具体的になんなのか。ここをもっと煮詰める必要があります。

 Cさんは、さきほどDさんのご意見にありましたけれども、連絡会について発言されました。と同時に、学校保健委員会についても言及。この委員会の連携は重要だと思います。そこで学校の現状を報告しあって連携していくことは、きわめて大切なことです。問題は、発言者の意図と関係なく、現実にはこの学校保健委員会があまり機能していないことですね。学校保健委員会は養護教諭がコーディネーターとして運営される各学校に設置するべき組織ですけど(詳しくは中教審を参照)、そもそも機能していない組織の縦断的連携は画に書いた餅ですね。さらには、養護教諭の複数配置も、実際は「夢のまた夢」と判断せざるを得ない現状です。このあたり、府知事は予算を組んでほしいところです。討論再現とはいささが離れていきますけど、府独自の教育行政の中に、養護教諭の配置に関する特別手当があっていいように思えます。心の問題を抱える児童生徒が多くなる中で、たしかにカウンセラー派遣もよろしいですが、必置の保健室があり、養護教諭がいらっしゃるのですから、これを活用しないのは解せません。

 さて、Aさんがいわれるように、連携のためには媒体が必要で、それが学校便りの活用にあることは当然とはいえ、いいご意見でした。これを学校同士で交換するのも連携のためにはよいでしょう。またDさんがいわれるように、指導部会での話し合いを共有するのもそうです。現実に、小中高の先生方が会合する場が自主研修的な場以外に見当たらないのですが、それをどのように解消するべきでしょうか。考えてほしいポイントです。児童生徒をキーに連携していくことももちろん考えられます。校種を超えた教員の連携、児童生徒の連携を同時に達成してくれます。そのときにEさんいわれるようにクラブ活動が結節点となるわけです。Eさんは吹奏楽を取り上げられ、発表機会の多さを指摘されましたが、このほか、どのようなクラブでも、共同体制を築くことが可能でしょう。

 CさんはAさんの発言と絡めて、学校便りや保健便りを地域に配布することを提案されました。3者の連携はここではテーマの核心的部分ではありませんが、連携と聞けば3者連携がどうしても頭に浮かびますね。付属的意見として討論に差し挟む程度に留めるのが、討論の本質を際立たせるひとつのテクニックです。

 つづいて発言されたのは、Fさんでした。Fさんは、校種連携に関わり、学校説明会について述べられました。これは、高校志望の立場からEさんとも問題意識を共有する議論であり、中学生の進学意欲を高める手法、逆にいえば、高校側の生徒獲得の方策です。

 進学のことが話題になっている中、Aさんが、部活動による校種間接続について指摘されます。「野球部がないので(その中学・高校に)いきたくない」というものです。どのようなクラブがあり、どのような教育課程があるのか、「開かれた学校」を標榜する上で重要な説明責任ですね。Dさんは、小学校には課外の部活動がないことに触れつつ、地域における運動サークルたとえばリトルリーグなどでしょうが、そうしたクラブに入るかどうかも指導の一環にあっていいのではないかと発言されました。サッカーや野球などは、「○○します」というように案内状を児童生徒に流せば、それに応じて活動が活発になるのではないかとFさんから発言がありました。

 ここまでで16、7分過ぎ、あらかた議論が登場したようなところで、Bさんからは研修の話題が、Cさんからは連携を生かした年間指導計画の在り方について、Aさんは、Cさんのご意見を引き継ぎ教員への指導計画の周知の問題がそれぞれ出されました。Dさんからは、忘れられない問題として、校種間連携した学校安全の議論が登場しました。小中の登校見回りなどは、地域との連携の上でも、校種連携の上でも、考えなければならないでしょう。Cさんの生活指導や学習指導のアプローチの仕方の発言をはさんで、Aさんから、学校安全に関わる教員の心構え論がでて、最後にFさんから、学校が安全な場所であると保護者が考えているのはありがたい一方で問題であると指摘し、イロイロな意味で危険をも併せ持っている場として学校を捉えるべきであると述べられ、討論が終了しました。

 さて、いかがだったでしょうか。討論終了後、傍聴のみなさんからもご意見を一人づついただきました。一番重要な指摘は、学力に関する連携の議論が薄かったということです。これは、これまでの勉強会における討論でもしばしば指摘されたところです。どうも、学力連携についてみなさんの問題意識が低いように感じられます。もっと、教科に即した議論があってもいいのではないでしょうか。学習指導要領についてその校種における特徴のご意見もありませんでしたし、児童生徒の苦手分野の個別的把握とその申し送りについてもほぼ発言がありませんでした。入学テストのことも。

 まあ、ないものねだりは積極的評価でなくなるので面接官の立場に立てば、控えるべきなのでしょうけれども、やはり、テーマに即した中心的議論の柱に学力問題を据えるべきでしょう。いつでも、学力問題について触れられる技量と態度を養ってほしいです。今回では、外国語教育に関わって、小学校と中学校の連携についてごく簡単にはご意見がありましたけれども、これだけでは不満です。また、理科の実験についても、一歩掘り下げた提携案がないものでしょうか。これは、家庭や社会ほか、あらゆる教科でいえますし、実行可能なものでしょう。教えあいや学びあいの異年齢集団を形成できるのも、校種間連携があってのことでしょうね。

(2008年11月1日)

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