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浩の教室・第6期 第8回(通算204回)勉強会の模様

 昨日は、当サイト主宰勉強会にご参加いただきありがとうございました。昨日も新しくご参加いただいた方がいらっしゃいましたが、いかがだったでしょうか。4時間が短く感じられたとしたら幸いです。さて、プログラムはいつものとおりの3本立て。まずは過去問の検討、ということだったのですけど、配布ペーパーの上のレジュメからはじめてしまいました。まずワタクシからの講義を行ないました。いつものように、前回の復習的なコメントと時事的なことにも触れたので、遅々としてすすまない状況ですけどご勘弁ください。しかし、ようやく冒頭の部分が終了しました。ワタクシたち教員の立ち位置の確認ということを結論的には講義したことになります。

 つづいて過去問の検討でした。今回は、人権にかかわる法規の問題でした。国会年次報告が結論的には間違っていた箇所なのですけど、それも当然大切ですが、それぞれの法規と法規の解釈及び資料に挙げている別の条文についても理解し覚えていただきたいものです。29日も法規の問題の検討になります。法規に関しては時事通信社の『教職教養スコープ』がよいのですけど、新版(2010年度版)がまだ出版されていないですね。

 最後に集団討論です。昨日の集団討論のテーマは、「児童生徒に自尊感情をはぐくむにはどうすればいいでしょうか、議論してください」でした。これはどの都道府県でもよく出題されるテーマであり、この夏の大阪府出題テーマでもありました。みなさん、議論の骨子を踏まえられており、いい感じで進行していたと評価できます。

 集団討論参加者は今回6名で、20数分間でした。仮にA〜Fさんとして再現してみます。第1発言者はAさんです。Aさんはテーマを確認され、自尊感情を育んだ状態とはどのような状態であるのか、まず定義的な発言をされました。これは重要なことで、児童生徒が自尊感情を持っているといっても、わかったようでわからないものです。解答的には簡単なものですけど、自尊感情って何と聞かれて即答できるでしょうか。Aさんは、「一人ひとりの児童生徒が自分自身を好きになること」と述べられました。このように簡単ないい方でよいので、言葉の概念を確定させつつ議論を進めていくことは大切なのです。

 そして、次に、ではそれを身に付けさせるにはどうすればいいのだろうか、というように議論は継続するわけでして、Aさんご自身は、学習指導に関連して述べられました。外発的な動機付けですけど、学習の達成度合いに応じてほめる指導を展開するといわれます。これも基本です。でも、基本が大事。Dさんは、Aさんに同意しつつ、ほめるポイントを見出すことが私たち教員に求められるとの立場に立ちます。何でもかんでもほめればいいというのではなく、児童生徒のがんばり、努力しているところを発見し、ほめるに値するところをこそほめるのが、該当児童生徒の自尊感情を高めることになると捉えられています。

 それはBさんが的確にいわれた自己達成感なんでしょう。高校志望のBさんは、教科学習におけるつまづきを支援するところに教員の主たる役割を認められ、学力の伸びとステップアップを保障することが、自尊感情を高めることになるとご意見を述べられました。そのためにはEさんがいわれたように、その達成のための授業の工夫が要請されます。それをAさんは、具体的に語られました。

 音楽のリコーダー指導の際に、まずは指導、そしてテストとすすめるわけですが、上手に演奏できた児童にはシールを貼るといった、先程の外発的方策で指導されています。できればシール貼付ということで達成感を持てる児童は自尊感情をくすぐられるでしょう。Dさんは、この具体例に対して、結局は毎回小さいハードルを設けることが自尊感情の向上に役立つやり方であろうと述べられます。すなわちスモールステップの設定であり、一定の時間内にできそうな課題を教員が提示するわけです。その際、たしかに児童生徒一人ひとり得手不得手があるわけであって、Bさんがいわれたように、自己課題の設定が重要です。英語を教えられていた経験からBさんは、単語やリーディングにおける「本日持って帰る知識や技能」ということについて発言されました。

 ここでようやくFさんが発言。ほめるポイントについて、理科志望の立場から、ガスバーナーへの着火に関し語られました。具体的にマッチの使い方について触れられたのですけど、これは別の角度から後で話題になりました。それはすなわち、どういうことかというと、いまの児童生徒はマッチって使わないんですね、ということです。いまの児童生徒はマッチではなくチャッカマンなら知っているそうです。たばこを吸うのはいけませんが、マッチを擦ったことないというのも、ある意味では問題ですね。時代のせいでしょうか。そうしたいまの児童生徒だからこそ、マッチが擦れただけでほめるポイントとなるのですね。うーん、びっくりです。Eさんからの具体例は、リコーダーについてでした。演奏する場合に小節を完全にこなせばOKというように。こうした指導手法もスモールステップですね。

 ここでCさんから最初の発言がありました。Cさん曰く、特別支援学校で指導していたとき、その「課外活動」で「おわかれ会」を実施したと。正式にいえば、「おわかれ会」は卒業式に関連する行事ですから、特別活動の学校行事の儀式的行事になるのでしょうけれども、それはそれとしまして、そこでどんなことがあったのか。下級生からもイロイロいわれている知的障害のある5年生に自信を持たそうと、他の先生方の反対にもかかわらず、Cさんは「おわかれ会」の司会をその児童に任せたそうです。その児童は無事に司会をやりとげ、自信を得た顔になっていました。Cさんは、児童生徒を信頼し、少しむつかしい課題を与えそれをクリアすることが自尊感情の育成にあっては有効であるということを述べられたわけです。

 しかもCさんは、これまでの学習指導の課題達成から自尊感情の育成を議論していた流れから、ここでは特別活動であったわけですが、学習指導以外の場面でどのように自尊感情を育成するべきであるかの議論に転換されました。この転換は時間配分的にどなたかがいい出すであろうと予想しておりましたが、それが討論はじまって10分くらい過ぎたときでありました。

 なお、このことについては注意書きが必要でしょう。というのは、これまでの勉強会における集団討論の議論が、ややもすると生徒指導関係の議論になってしまい、学習指導についての議論が手薄になっていたと、ワタクシは常々指摘していましたので、その点を継続的に参加されている方が意識し、討論前半は学習指導の方面における自尊感情育成の話題に絞ったのであると推測されます。

 そうしたわけで、おそらく討論参加者は、共通認識として、学習指導面における自尊感情の育成の議論が落ち着けば、次に他の面、すなわち特別活動ほか生徒指導面における自尊感情の育成に向けた取組について議論を推移させようと考えていたと推察されます。まあしかし、それは「推察」に過ぎません。しかし、最初の発言者のAさんが、「まずは学習指導の面で」と限定的発言をされていたところから、どういう方針で集団討論をすすめていこうかということが暗示されていたわけでありまして、これを忘れず指摘し、次にすすめていくのが、ウマイ転回であるといえるでしょう。

 はからずもCさんが教科教育面以外の面における自尊感情の育成の方向に舵を切ったわけであり、Dさんがこれに反応されました。Dさんは、特別支援におけるバースディーカード作成について報告されました。誕生日を迎えた児童生徒のいいところをカードに書き添え、友達から認められているということの自覚を持たせることは、自尊感情の向上につながります。友人からのいわば評価は、自尊感情を持たせる契機になります。Fさんは、生徒会活動についての出来事を披露されました。どのような指導をしたのかといえば、Fさんによれば、生徒会長に立候補するにあたって背中を押してやった経験でした。ズバリ君ならできると応援することによって、児童生徒がやる気を出し、そして自尊心も持つことができます。また、Aさんは、小学校における「みんな遊び」を推奨し、どのような遊びであれうまい子どもをほめる指導を展開するといわれます。ボール遊びであれば、なかなかボールに触れられない子どもにも持たせてアピールさせるなどの、にくい指導も組み込むそうです。Eさんは放送部のことを語られました。たしかにアナウンサーのようにうまく話せる児童生徒とそうでない児童生徒がいるわけですが、できるだけほめることが自尊感情の育成につながるとの立場から指導をしてきたと述べられました。

 Dさんは、上のような具体例を聞かれて、自尊感情は他者から認められることによって深まるとし、それがアイデンティティの確立につながるとお考えです。ここに新たな視角として家庭の問題を添加されました。それは、自尊感情を学校において教員の指導で深める一方、やはりその向上の前提には保護者からの愛情が欠かせないとのご意見です。家庭は千差万別で、保護者から愛されていない子どももいます、だから、保護者も子どもを認めるよう家庭教育上の指導が必要であると喝破されました。保護者との対話において、お仕事はいかがですかとの挨拶につづけてお子さんとのかかわりが薄くないですかとそれとなくいって、親子の対話を増やす努力をされているそうです。Eさんは、自尊感情の保てない児童生徒には、「どうせできない」というケースが多いことを指摘し、これもあるいは家庭の問題が絡んでいるとお考えです。Eさんは、暴力を保護者から振るわれることが自尊感情の形成を歪め、また、片方の親がいない場合の問題を指摘し、そうした子どもの自尊感情を少しでも高めるために学校でちょっとでもほめる努力をするべきだと主張されました。家庭へのアドヴァイスでは、Aさんは朝ご飯だけでも一緒にとるように懇談会で話したそうです。親子のコミュニケーションの欠如を問題にされています。親子の会話によって、子どもの自尊感情は高まりますからね。

 Bさんは、家庭との連携協力を推進し、家庭における指導の手助けを教員としてやっていきたいと力強く述べられ、そうした方面におけるカウンセリングマインドを養うことが教員に期待されていると発言されました。Cさんも家庭との連携について、保護者に対して「○○さんは、こんなことができましたよ」というように伝えコミュニケーションの種を提供すると同時に自尊感情の育成に努めると述べられました。Fさんが、「宿題できたよー」という児童生徒に対して、保護者が「あ、そう」とにべなく答えるのではなく、もっと愛情表現豊かに応答することが、いちいち保護者においては大変なことかもしれないが大切だと伝えたいといわれます。また、教室内において、「頼られている」との感覚を児童生徒が認識することこそ、自尊感情を形成するのに大切なポイントであると述べられました。Fさんは具体的に教科の教えあいにおいてこうした「頼られている」感覚を持てるよう指導するのがいいと主張されました。

 Bさんは、家庭との連携に少し戻り、懇談会のほか、日々のがんばったことを学級通信を媒介に保護者に知らせるのもいい手段であると述べられ、児童生徒と保護者とを一体化した「指導」の展開を提示されました。つづいてDさんから、連絡帳、個人ファイルについてのご意見が登場し、生活面、学習面の両面におけるいいところを記載するとのご意見がありました。そして最後にAさんから、いいところポストのお話がありました。学級であったよかったことを書いてポストにいれるという実践です。発表でがんばったなあというような個々人に対するほめる言葉が、そこではあるわけですね。

 さて、いかがだったでしょうか。討論終了後、勉強会においては傍聴のみなさんからも必ず発言いただいています。まあ、討論の反省会を全員でするわけです。そこでは、私ならこういうことを述べる的なご意見もありますし、こういう意見が出てこなかったとの指摘もあります。

 今回は、ひとつはクラス作りの話題があってもよかったのではないかとのご意見がありました。クラスという集団の中での自尊感情を学校では形成していくのですから、いいクラス、楽しいクラスができることが自尊感情育成の前提となるのは当然でしょう。クラス作りに言及がなかったのは、たしかに残念でした。次に、一人一役について。これは責任感の自覚に関連してよく登場するご意見ですけど、自分に課された課題をやり遂げることがクラスの全員に認められたときに自尊感情が向上するということにおいて、発言されるべきです。それから、最後に、いじめの問題や不登校の問題も、マイナスの話題とならないように自尊感情の問題と絡めて議論することは可能ではないかとのご意見もありました。

 さて、今週の土曜日もがんばりましょう。もう、11月も終わりですね。早いものです。テーマは、「授業中に教室を飛び出してしまう子どもがいる。あなた方はどのように対応するか、議論してください」としましょうか。こちらは大阪府ではなく、愛知県の出題です。

 そろそろ、「自己売り込みのツボ」も開始しなければなりませんね。これがひとつの山場です。3分間で面接官に自分を売り込むわけです。あなたならなにを売り込みますか。なお、この「ツボ」は、決して「自己紹介」ではありません。それは教採ではあまり効果的ではありません。「わたしは○○ができる。こんなことをやってきた」ということをまさに「売り込む」わけです。
 勉強会を卒業した先輩の残していってくださった「自己売り込みのツボ」の原稿が100枚以上あります。どういうように先輩たちが闘ったのかを参考にしつつ、自分なりのものを仕上げていってくださいね。また、ご案内します。

 それから、ご覧のみなさまには大変申し訳ないことなのですけど、1月期の勉強会は、優先登録の方でほぼ満席状態なのです。2月期からは土日も両方ともできるかぎり開催し、みなさんのご希望に沿いたく思っております。ウレシイ反面、受け入れる箱がないのが悩みです。

(2008年11月24日)

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