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浩の教室・第163・164回・勉強会の模様

 3月1、2日の勉強会に多数ご参加いただき、ありがとうございました。遠く、能登半島からの来阪や宮崎からフェリーに乗ってのご参加もあり、それに見合う勉強会であったかどうか、心配しております。いかがだったでしょうか。また、勉強会終了後の珈琲会には、昨秋合格のSさんが土曜日に、Sさんが日曜日にわざわざ来てくださり、イロイロなお話をしてくださいました。昨年1年間一緒に闘った勉強会の出身者がこのようにお顔をみせてくださるのは、大変ありがたいです。春からは教員生活がはじまります。ということは、平均睡眠時間4時間という日々がつづくということを意味します。こうなればそう簡単に珈琲会に足をお運びいただくことは叶わないと思いますけれども、ときどきはこのサイトを開かれて、後輩たちの討論の様子をご覧になってくださいね。よろしくお願いします。

 さて、両日とも、「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」の答申の講読からはじめました。じっくり読みすすめると同時に、参加者からご意見をいただく進行ですので、ようやく30ページに届くところまで辿りつきました。精読からみえてくるものは、多々あります。ただいま、第7章ですけど、ここは内容的に大切なことが述べられていますから、しっかり復習してください。6月実施の予想問題学習会にも取り上げますね。

 その学習会ですが、6月29日の日曜日に開催いたします。こちらのお申し込みは、4月1日開始を予定しております。12問の予想問題、総ページ数70枚(去年のもの)くらいにまとめます。

 次に、自己売り込みのツボでした。土曜日はKさん、日曜日はYさんが報告担当されました。Kさんのツボは残念ながらツボになっていなくて、厳しいコメントがつづきました。折角の機会だったのに残念です。甘えを捨てて、いただいたコメントをしっかり読み、もう一度やり直しですね。いまのままでは整理不十分です。たしかに文章を書くのはむつかしいですけれども、落ち着いてちゃんとしたものを仕上げるのが大切です。時間がないは言い訳に過ぎません。当サイト主宰勉強会に参加している方で、時間のある方などいないでしょう。かくいうワタクシも、必死で時間を作っています。命をかける覚悟で文面を作成してください。

 Yさんにもまた、厳しい批判がありました。Yさんの売り込みの文章は、スマートで、内容的になかなか充実したものではありましたが、いかんせん、長い。3分間のスピーチであったのに、4分近くになってました。もう、聞いてませんよ、面接官は。

 ここで、サイトをご覧のみなさまにもポイントを。

 面接官から「30秒で、いい残したことをいってください」といわれたらどうするか。20秒ちょっとでまとめていってください。

 大阪の面接官は、いらちです。
 大阪の面接官は、いらちです。
 大阪の面接官は、いらちです。

 3回繰り返しましたから、もういいでしょう。3分といわれたら、2分40秒、1分といわれたら50秒なんです。それが、大阪の流儀です。まさに赤から青に変わる瞬間に歩き出す、あるいは、反対方向の信号が黄色になったら歩き出す大阪。1万人以上受けに来る大阪、いらつかないでいられましょうか。ははは。ここをご覧の教委関係者の方々、そうでしょ?

 転職組みのYさん、社会人経験をしっかりまとめたものの、必要最小限度に組み直す必要があります。また、それをどのように教育に生かすかをシンプルに書きましょう。大胆に削って、2分40秒をめざしてください。

 最後に、集団討論の模様を再現します。今回は第164回開催分の討論を追ってみましょう。討論のテーマは、「学習指導要領の改訂によって授業時数が増加されるとのことです。その増えた時間をどのように使いますか。具体的に議論してください」です。時間は20分間、参加者は6名でした。仮にA〜Fさんとして、再現してみましょう。

 まずFさんがテーマを確認する発言をされ、自論を述べられました。増えた時間をどのように使うかにおいて、教科においてどうするかと、横断的にどうするかというように観点が2つあると分析されます。その上で、社会科担当の立場から、班分けしつつ調べ学習を充実させたいと述べられました。

 次にDさんの発言です。Dさんは、まず生きる力の育成が授業時数増加の前提となる教育理念であり、基礎基本の確実な定着の上で思考力や判断力、表現力を児童生徒が身に付けるよう指導したいと述べられ、具体的に英語科の立場から、基礎基本においては疑問文カルタを用意し実践、思考力養成ではディスカッションやディベートを取り入れ、多様な話題を議論し、実践的な英語能力の向上をめざすとされます。

 これを受け、同じくEさんの発言です。Eさんの発言は内容的にはよかったのですけど、3分は優に超えるしゃべりで、途中から聞いてもらえないでしょう。この点は注意してください。おそらく、どちらの自治体をお受けになられても、長くしゃべることは協調性なしと判断される可能性大です。Eさんも、生きる力育成のため知徳体の調和のとれた人間育成を前提し、英語学習において文法事項の獲得、コミュニケーション能力の養成の重要性を念押しされます。とりわけコミュニケーション能力育成と関わり音声面を重視し、オーラルイングリッシュのリズム、イントネーションにも気をつけて指導すると抱負を語られます。このほか、グループワークを取り入れて、新聞の話題を英語で議論し、問題解決的な能力も養いたいと述べられました。さらにつづけて英文読解においては登場人物の心情理解をも指導し、体育的な面とかかわって、英語を話す際の腹式呼吸についても言及されました。このように書けばわかるように、かなりの内容をいっぺんに話そうとし過ぎで、面接官はついていけないでしょう。どこに問題があるのかといえば、羅列しすぎて何がポイントなのか薄れてしまうというところにあります。1発言において面接官に印象付けられるようなキーワードがどれなのかわからない、結局、聞いてくれるようで聞いてくれないという事態になります。おそらく討論参加者もイライラしていたでしょう。ワタクシもです。

 長く話題を盛り込んだ発言は、次の方がその発言を受けるにおいても問題が発生します。長い発言内容のすべてを把握しきれないし、どういうように次につづければいいのか困るからです。自分の意見が集団にどのように受けとめられているかにも注意しなければなりません。

 だから、次の発言者Cさんは、ほぼEさんの発言内容に言及せず、違う話題を提供されました。Cさんは、授業時数が増えようと増えまいと、大切なのは児童生徒のやる気をどう持続向上させるかにあると話されます。その点、総合学習の意義が高いのに今回の改訂予定で時数が縮減されるのは残念との立場を披露し、その分通常授業をつうじて意欲向上に努めたいと述べられました。その際、動的な授業展開を遂行するべく、参加型授業を実施し、地域在住の外国人との交流や国際交流団体との計画的な交流をやってみたいと意欲的なご意見です。

 Bさんは増えた時間を基礎学力向上に活用したいと述べられ、とりわけ理数教育の充実のため、計算力をワーク学習ですすめたり、理科の実験を多用したりするとご意見されました。Aさんは、Cさんのいわれた総合学習の時間が減ることの問題性を共有されておられるようで、では、横断的な学習とは具体的にどうすればいいかと悩まれている様子でした。これに応じFさんが、これまでにも実践されてきたけれども、ボランティア体験の時間を設けると発言されます。総合学習においてボランティア活動をするイメージが強いけれども、これを社会科でも取り上げ、たとえば障がい者の社会参加の課題とし、施設訪問を組み込んだ実践的な授業の創造に取り組むとのことです。しかもFさんは、これは社会科だけでなく、家庭科でも扱えるテーマであり、そこから横断的な学習がすすむのではないかと期待感を持っておられます。横断的に授業を展開するという点について、Dさんも英語科で日本文化の紹介をするときに、社会科的な知識・学習が不可欠であり、ここから教科横断が実現できないかとご意見されました。

 実際問題、横断的という言葉は使いやすいものの、具体的にはなにをするのかわかりにくいので、これを説明すると評価が高いと思います。単に横断的、横断的といっても、おそらく掛け声倒れになるでしょう。教科間の話し合いがあって、方向性を整えないと「船頭多くして船山に登る」となります。

 ここでCさんが問題提起されました。授業時間が増えることに対して、児童生徒は抵抗感を持たないのだろうかとの疑問です。授業時間が増えて、児童生徒は集中力を持続できるのか不安もあるとの提起でした。

 Cさんの問題提起に対し、どのように討論参加者が回答していくのかが、集団討論の後半の中心的議論になりました。

 Aさんは、集中力の低下は学力的に下位の児童生徒にみられるとし、注意散漫な態度を注意しながら個々に対応していくほかないとお考えです。Aさんご自身の実習経験から、集中力が低下すると理解能力が低下し、そうすれば学力も低下する、わからなくなる、わからなくなるといじめも起こると一連の関係性を紹介されました。これを防止するには、黒板の活用、ヒントカードの設置などの方法をとりたいと述べられました。Bさんは、わからないようになれば、どこで躓いているのかを確認し、そのつまづいたところに立ち返ってやり直し理解に努めさせるとご意見されました。Eさんは、学習の継続をひとりでするのは精神的にきついときもあるので、まわりの友人もがんばっているというような環境作りにまず手をつけると発言されます。そして間違ってもそれを笑うというようなことが起こらないように注意し、さらには班別学習を取り入れて目標設定させ、達成感を感じるような指導をすると述べられます。このことが注意力や学習の持続力を向上させると考えられています。児童生徒が成長実感を感じ、自己効力感を感じる指導が、Cさんの問題提起に対する回答となるわけです。

 Fさんも、Eさんと同じく、自己肯定感を持たせることが学習指導を通じて実現できれば学力も向上する、つまり集中力も持続すると考えられています。その際、調べて発表し、お互いに評価しあうような主体的な学習こそ、学習の高まりが期待され、ひいては学力向上が期待されると発言されました。Dさんは、いままで登場した提案をキーワードにし、反復学習やグループ学習の推進はもちろん実践すべきであると述べられたほか、授業で教えあい活動も行ないたいと抱負を語られました。それは教える方、教えられる方の2つの立場を経験することになり、「わかった」と「わかってもらえた」が交流する時間を過ごすことになり有意義であると方法論的なポイントを指摘されました。

 Aさんも、こうしたDさんの紹介された方法について、他の人たちとかかわりながらの学習は大切であり有効であると同意され、Fさんの調べ学習を重要視する立場にも賛同されます。その際に、どのように教員が段取りをするかが授業の質を決定するというご意見を付け加えられました。Fさんも児童生徒同士の教えあいには抵抗感がないであろうと推測的ご意見を述べられました。子どもからみた観点が教えあいには含まれるとBさんもその意義を語られます。と同時に、習っていないところまで、また、掘り下げてある課題を追求できるチャンスをも教えあい活動は生むと指摘されました。

 Eさんも、「わかったつもり」を解消する教えあい活動の意義に同意されまして、教えることがむつかしいこと、なぜならそのためには的確な言語力や表現力が必要だからであることを述べられ、議論は終了しました。

 今回のテーマは、ワタクシは一般的で標準的な課題だと思っていたのですけれども、実際に討論を実践してもらうと、両日ともに「大変だった」との感想が挙がりました。勉強会のメンバーの力が低いからそうなのかといえば、そんなことはまったくなく、逆によくできる方ばかりなのにこれほど手こずるわけでして、少し心配になりました。とすれば、テーマそのものの切り口をどうみつけるか、その土俵が狭いものだったのかもしれません。「増えた時間をどのように使うか」が焦点です。これを広げて意見を出しやすく読み替える作業がむつかしいものであったということでしょう。

 後半の議論はひとつの凝集点があって、参加者の意見が構造的にすすみ、「ああ、議論しているな」との印象がありました。こうした凝集点をどれだけ出すか=トピックをどう設定するかが重要事項であるということが立証された討論であったといえるでしょう。

 ではまた、土曜日に。

(2008年3月1・2日)

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