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浩の教室・第170・171回勉強会の模様

 第170回、第171回勉強会にご参加いただいた方々、お疲れさまでした。新しく参加いただいた方、いかがだったでしょうか。遠いところをご参加いただいた方々、また、大阪府の説明会を朝に受け、その足で勉強会へ来られた方、お疲れさまでした。一昨年の合格者で正教員になられているGさんが、珈琲会にお顔をみせてくださりました。遠方から、お忙しいところ、ありがとうございました。

 さて、両日ともに、同じプログラムで実施いたしました。まずは、ワタクシから、答申の解説をいたしました。今夏十分に出題が予想される、中教審答申「子どもの心身の健康を守り、安全・安心を確保するために学校全体としての取組を進めるための方策について」の解説です。かなりコンパクトにまとめ、重要事項を精選しましたので、ご自宅で今一度、読み直してください。大阪府では、数字が聞かれるような選択肢がありますので、そこを押えること、安全管理のところ、「語れるようにすること」です。がんばってください。

 次に、集団面接でした。まだ少し、緊張感が足りない方もいらっしゃいますけれど、おおむね良好のようです。集団面接は、だいたい20数分間の実施、質問事項は、15問前後でした。答えはじめるまで時間のかかるグループもあり、そうしたグループは、11、12問しか質問できませんでした。本番の動向も変化し、これまでの8分間から、20分以上とるようになっているようです。ということですので、かなり質問事項が増えますね。がんばってください。リラックスを促す簡単な質問から、教育実践にかかわる答えにくい質問まで、グループ全体に対し、違った内容の質問をこちらで用意し、実施しています。

 では、集団討論の模様をお伝えします。今回は、土曜日に討論していただいた内容を再現いたしましょう。いままで伏せておりましたけれども、テーマは、「キャリア教育とは何でしょうか。キャリア教育を実践していくために、どんなことに留意すればいいでしょうか、議論してください」といたしまして、これに、20分間で5名の方に実践していただきました。仮にA〜Eさんとし、発言を追っていきましょう。

 まず、Bさんがテーマを確認し、キャリア教育に定義を与えました。Bさん曰く、キャリア教育は児童生徒一人ひとりの勤労観や職業観をはぐくむきょういくであると。そのうえで、キャリア教育が学校教育で実施される背景を考えていきましょうと討論参加者に提起され、Bさんご自身は、フリーターやニートの増加ということ、また、労働雇用形態の多様化ということについてご意見されました。つづいてCさんが、夢を持てない若者ということを指摘され、キャリア教育が展開される背景に、目標を持って生きることが必要である、それが将来との結びつきから考える必要があるので、キャリア教育が学校に要請されるのであると議論を重ねられました。Dさんは、そもそも職業に興味を持っていない児童生徒の現状をリポートされました。いろいろな職種があることを知らしめることが大切であり、そのためにキャリア教育の第一歩があると捉えられています。Eさんは、現在25〜35歳くらいの人びとはロストジェネレーションと呼ばれる世代であることを説明し、職業的自己喪失に陥っていると分析され、では、そうした苦しい状況を学校教育を舞台に脱却するにはどうしたらいいかという問題意識から、キャリア教育が提唱されたと述べられます。Cさんのご意見と重なりつつEさんは、職業に対する志向が固まることが一人ひとりの進路選択をも妥当化することを述べられ、学校が一人ひとりの将来的な職業選択への舵取りをするということがキャリア教育をスタートさせる根拠となっていたと議論を展開されます。

 Aさんは、ニートやフリーターの増加というBさんの紹介された労働社会の実相について同意見であると発言され、職業観を確立できないところにその原因があると話され、小学校教諭をめざす立場から、様々な職業があることを知らせる教育を実行することが期待されていると指摘されました。

 ここで5人全員が自分なりのご意見を発言されたことになります。この後、Bさんが、ご自身で分析された、雇用形態の不自然な社会環境の中で、どうすればキャリア教育を実行に移し、そこでどのような適切な内容を提供できるのかと問題提起されたのです。それはすなわち、Bさんによれば、コミュニケーション能力の養成をめざした学校の支援でした。コミュニケーションが一通りできる能力を学校が提供するということは、他者理解を促進すること、他者との会話能力つまり言葉の力を身に付けるよう指導することでしょう。Eさんは、具体的にどんな内容をキャリア教育において提供するかという議論に関し、兵庫県のトライやるウィークにおける職業体験について述べられました。そこでは、受け入れ先確保の困難さやなかなか広がりある職業体験学習ができない恨みがあることを指摘されつつ、多様な職業体験を可能とする受け入れ企業側の学校に対する協力体制に注文を付けられました。

 つづいて高校を志望するDさんから、をアンケートをとることによって、職業志望においてどのような方面に興味があるかを把握しておくことが教員としてスムーズな進路指導のためにやっておくべきことであろうとの発言がありました。そして、多様な職種のなかから協力を仰いで「その道の人」=職業専門人に来校してもらい、その職について報告していただく計画を披露されます。こうしたスタートの後、2年、3年と学年が上がるにつれて具体的実践的なステップにすすませるようです。

 Cさんは小学校志望です。自分でどんな職業があるのかを調べることをきっかけに、夢作文といった課題を出し、職業に対するおぼろげながらのキャリアを感覚させるよう指導を考えておられます。そうすれば、なぜ勉強するのかという疑問にも自分なりに解答できるようになるでしょうね。Aさんは、職業体験について語られました。具体的に児童生徒が興味を示している職場にいけるようにするのが大切であり、そのために体験する前に職場インタヴューを実施し、意欲を持って職場に送りたいとお考えです。この点、Eさんは、1年から3年を通して体験を積ませ、自分では気づいていない特性を自覚させる契機を増やしたいと述べられ、ひょっとすればそこから自分に向いている職があるかもしれないということを指摘されました。Bさんは、どのような職があるのかは、「職業カルタ」でやってみたいと発言され、向き不向きということでは、なんらかの検査シートも活用したいと述べられます。Cさんは、Eさんの視点をふくらませ、教員がじっくりと児童生徒観察を行ない、どのような職業に向いているか、向いているところを伝えてみることも指導のひとつであろうとされます。Eさんは、『14歳のハローワーク』を授業で取り上げるのもいいのではないかと提起し、同時に、職業人としての保護者という視角を提供し、仕事を持つことやすることの意味を家庭で話しあうことがキャリア教育を充実させることにつながると述べられました。

 ところで、さきほど職業インタヴューについての議論が出ましたが、そこから一歩すすめて、インターネットで検索し多様な職種の実相について勉強してみるのもいいというのがBさんのご意見です。ここまで登場した職業の「調べ学習」を前提に、Eさんは、地域社会に教員が出かけていき、多数の受け入れ先を開拓することが求められているのではないかと語られ、このご意見に呼応し、Dさんは、卒業生の意見も大切にしたいと指摘されます。OB訪問というと大学の就職活動のひとつの在り方ですが、身近な存在としての卒業生に自分が就いた職業について在校生に伝えてもらうと生徒は「ぐっとくる」と話されます。これとは別に、Cさんは保護者と職業について話しあうのも必要であろうとされます。2人3脚でキャリア教育をすすめていく観点です。

 Eさんは、Dさんのいわれた卒業生の講演でキャリア教育を実施することに共感し、親近感のある兄貴的存在が「ぐっとくる」感覚になるのだろうとされ、また、高校でどんな勉強をしたのかを同時に講演してもらえば、さらに在校生にとってメリットがあると指摘されました。

 つづいてAさんは、出身校に教育実習生が20人以上来たことを紹介され、進路相談をしたことを話されました。これはおそらくEさんがいわれた「兄貴的存在」という言葉に刺激されて述べられたのでしょうね。

 卒業生に来ていただくことは、地域の人材活用と同じスタンスであり、身近な人材の活用とまとめて考えることができるとBさんは指摘しまとめられました。Bさんはここでテーマに立ち返り、「どんなことに留意すればいいでしょうか」に応答しようとして、マナー指導ということを提案されました。煮詰まりそうになっている議論に新しい風を吹き込み、よい転換だったと思います。

 これに釣られて(?)、Dさんも、あいさつと時間を守ることという、生徒指導とかかわるご意見をキャリア教育充実の立場から強調されます。上司とうまくいくかどうかもあいさつひとつで決まることもあります。日常の学校教育活動を通して実践できることをキャリア教育に結びつけようとするのはいい視点です。

 Cさんは、職業体験中に児童生徒を励ますことが夢に一歩でも近づけるよう指導することにつながると述べられました。Aさんは、職業体験後の事後指導において、お世話になった職場に礼状を書かせる指導をすると、実践的です。この職場体験を、Eさんは生徒自身に開拓させることもできるのではないかと提案されました。自分たちで交渉し開拓することができれば、児童生徒が幅広い多様な他者と関わることにもなり、実感も強まると考えられたからです。

 Bさんは、Aさんの礼状を書くという指導のご意見を受け、事後指導の充実について、グループ発表をとりいれると述べられます。それは、聞く力、伝える力、つまりコミュニケーション能力の向上につながるからであるとされます。Eさんもこのご意見に同意され、体験の共有ということになると指摘されました。Dさんは、「なんで先生になろうとしたん?」と教え子から聞かれた体験の持ち主で、そこから、教員自身の夢を語ることも、児童生徒の心を揺り動かすことになるとご意見されました。これは、日々の教員生活をみせつけることによって、児童生徒に理解されるであろうとEさんが指摘し、20分間が終了しました。

 先週末の集団討論は、土曜日のものも日曜日のもの、標準以上の出来であったとワタクシは評価しています。土曜日のものをとりあげたのは、討論の最初に、キャリア教育についての定義があって、勉強してきた成果が表現されていたからということによります。日曜日の討論にも登場しましたけれども、キャリア教育と聞いて、すぐに勤労観や職業観という言葉が出ないと話になりません。また、具体的実践例とテーマにある留意事項を話すということでは、行論中にもありましたようにBさんが指摘されていて、テーマを包括的に議論していたと思われるからです。

 テーマに即した議論を構築するということが、集団討論ではなにより大切です。それは、各参加者の自覚によりますね。参加者一人ひとりがテーマを最後まで忘れず、つねに立ち返る意識を保持していれば、討論はいいものになります。

(ふろく)あすは、今期最初の水曜会の開催となります。ご参加のみなさま、よろしくお願いします。水曜会は、地下鉄淀屋橋近辺にて開催を固定しています。週末開催の勉強会もご参加していただいている方々、お間違えないようにお願いしますね。

 さて、あすは、再掲載欄にも書いておりますとおり、教員採用試験の概要について、簡単に紹介することからはじめます。当勉強会の先輩たちが残していってくださったパンフレットを叩き台に、ワタクシの方から少しばかりコメントし、「何が大切なのか」をお伝えします。

 次に、3月28日告示の、新しい学習指導要領を解説します。どこがどう変わったのかを確認しつつ、みなさんとそのツボを押えていきましょう。

 そして集団面接です。実際にやっていただきますが、新規の方や集団面接の経験がない方もいらっしゃると思われますので、様子をみながら進行しようと思っています。あんまりビシビシやるのではなく、柔和に取り組んでまいりますね。

 時間があれば、集団討論をいたします。学習指導要領の解説が長くなると、時間的余裕がなくなりますので、そのあたりを調整しながら実施いたしましょう。

 水曜会と勉強会の内容はほとんど同一です。両方あわせてもう200回以上開催している当サイト主宰の勉強会、みなさまと教員に必要な資質・能力を高めるべく、いっしょに勉強してまいりましょう。

 あ、それから、こういうページも開設されているので、ちょっとみておいてね。

(2008年4月5・6日)

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