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浩の教室・第6期 第43・44回(通算239・240回)勉強会の模様


 きのう、きょうは、当サイト主宰勉強会に多数ご参加いただき、ありがとうございました。新しくご参加された方もいらっしゃいましたが、いかがだったでしょうか。今後もよろしくお願いします。最近では、Aさんに大活躍していただいて、本当は苦しい採用試験合格への道のりであるにもかかわらず、楽しい雰囲気でそれを忘れさせてくださるようでもありました。ありがとう!参加者全員で合格をめざしましょう〜

 さて、土曜日は、まず、集団面接を2グループ実施いたしました。最近は、シートベルト式で実施し、高度な集団面接であるにもかかわらず、みなさん健闘しています。今後もこの調子でイイタイコト、語るべきことを増やしていってください。最初の自己紹介、志望動機的な40秒間も、複数個用意してくださいね。また、声のトーン、がなり、小ささ、笑顔、緊張など、イロイロ指摘されているところがありますね。普段の行為行動が、本番で出るものです。意識して手直ししてまいりましょう。これは、日曜の集団面接参加者にも、同じことがいえます。

 日曜には、土曜日にできなかった個人面接を実施しました。土曜日は、集団討論の反省が充実したので、時間がなくなってしまいましたので。お2人の方に個人面接に挑戦してもらいました。今回挑戦されたお2人とも、しっかりした印象でした。

 ひとつのポイントは、いわゆる「危ない橋を渡らない」回答の仕方でしたね。これにはこれで、異論があるとは思われます。どういうように対応するべきかは、個々人にお任せです。

 最後に集団討論の再現ですが、これは、例によって、次回の更新から断続的にお届けします。テーマは同一で、「だれにでも得意科目と不得意科目があります。不得意の科目ができるのはどうしてでしょうか。また、不得意科目の克服について、指導者としてどのようにしますか、議論してください」でした。土曜はなかなか多様な側面が議論されまして、日曜はどちらかといえば、ひとつところをめぐっているような印象でした。土曜日の討論を再現したいと思っています。

 それでは、集団討論の模様を断続的にアップしていきたいと思います。討論時間は20分程度、参加者は5名でした。仮にA〜Fさんといたします。

 最初の発言者はBさんでした。Bさんは、テーマを確認された後、不得意科目の克服は、生きる力を養成することにつながり、わけても、問題解決能力を身に付けるためであると述べられました。そして、不得意な感覚をなくすため、生徒と対面し、イイトコロを見抜くことからはじまるのではないかと述べられました。この発言に関連し、討論終了後、かなりの議論になりました。それは、生きる力や問題解決能力と苦手の克服の関連性がはっきりしないという点にありました。問題解決能力を児童生徒が身に付けることは重要です。しかし、これが苦手克服とどう関連するのか。これを説明しないままの討論スタートであったので、後に発言するメンバーの負担になったのは事実です。

 Bさんは、平成10年の学習指導要領以来の文部科学省の主張である「学力」=「生きる力」を意識して発言に織り込まれているようでした。また問題解決能力の育成を掲げることによって、議論の幅が広がることを期待されているようでした。討論の間口を広げ、多様な意見が出てきやすいようにすることが第1発言者の役割であることは間違いありません。ただ、そうならなかったのが、反省点でしょう。

 というのは、次の発言者がベタな発言をされ、第2発言者であったのに、第1発言者であったかのように討論がすすんでいったからです。Bさんは、結構むつかしいことを結果として発言したのに対し、第2発言者であるCさんは、きわめて原始的な問題意識から発言されたのです。すなわち、「わたしは算数が苦手でした。算数のある分野でつまづいたからです。だれでも好き嫌いはあります。わたしは算数がわからなくて嫌いになりました」と述べられたわけです。別にむつかしいことを述べているのではなく、自己の経験から、過去をあるがままに表現されたのですが、説得力がありました。そしてこのCさんの実感は、多くの数学嫌いの実感でしょう。ワタクシも、その1人です。だから一層、「うんうん」とうなずいてしまいました。不得意科目、不得意教科が生じるのは、わからないから嫌いになるの1点に尽きるとCさんはビシッといい切られました。そこでDさんが、わからないのは、それではなぜかと問いを立てられまして、小学校であれば、単純作業を低学年では行う授業が多いけれども、それが学年があがるにしたがって複雑になるということを理由に挙げられました。具体的に、単純な足し算や引き算の課程を経て、高学年では通分、約分をする分数も登場するといわれまして、ルールの高度化が苦手意識を生み出すのではないかと考察されました。すなわち学びの抽象化がすすむにつれて、苦手意識が出てくるということでした。Eさんは、このほかにも、途中で問題を投げ出してしまうことが苦手意識をさらに増幅すると述べられました。数学の証明の問題など、じっくり取り組まなければできない問題にぶちあたったとき、根気強く、粘り強く対応する気力がなければなりませんね。そうした意味では、Bさんのいわれた生きる力が必要です。息長く1つのことを考え抜く力が生きる力を構成する力のひとつだからです。キレる子どもが多い中、数学の証明問題をあきらめずやり切る力は、是非とも育成したい学力にほかなりません。

 このEさんの発言に対して、途中で止めてしまったと捉えるのではなく、途中まで何とか取り組んだと捉え、児童生徒のがんばりを認めることも、ほめる指導をする立場からは重要なのではないかとAさんは述べられました。Aさんは、やさしい心の持ち主なのでしょう。いやいや、なにもEさんがそうではないというわけではないのですけど、Eさんの証明問題の途中投げ出しの話のニュアンスは、叱咤激励の意味合いもあってのことだとワタクシは解釈したからです。Aさんの「ここまでできた」を「最後までできた」にするにはどのような指導のサポートがいるのでしょうか。Aさんには、ここを語ってほしかったのです。半分までできたことをほめるのはいいでしょう。しかし、それは結局は厳しくいえばEさんのいうように投げ出しです。継続してやり遂げる力が、苦手を克服するのであれば、その方策をこそ明示するべきでしょう。

 Bさんは、わからないから不得意になるとすれば、わかる授業を提供することがその解決の糸口になると、今回は、ストレートな発言でした。個々の児童生徒のわからないところを見抜く授業展開と勉強への動機付けが要求されると述べられます。さらにBさんは、集中力をどのように育成するかということに言及されました。集中力こそが学習をするうえで一番重要な力だとワタクシも考えていますので、深く同意します。この集中力を身に付けさせるには、では、どうすればいいのでしょうか。それはほめる指導をすることにあるのでしょうか。Eさんは、ほめる指導でも、ほめ方を変えることによって個々の児童生徒の対応策になると述べられ、いわゆるできる子には発展的な問題も提供してほめ、苦手な子には1問1問できればほめると発言されました。今回のテーマに即せば、地道に1問1問ほめるやり方が、苦手克服につながるのですね。

 ほめる指導にあって、どこまでやればほめるのか、という設定の問題があるというのがDさんのご意見でした。Dさんご自身は、その設定は一人ひとりの教員がなすべきだという立場で、だからこそ児童理解が前提になると発言されます。Cさんも、個々の児童生徒の学力を把握しておくことが教員に期待されることに同意されました。そして、ひとつわからなくなるとどんどんわからなくなる理数系の科目と同様に、ご自身の専門である地歴も実はそうであると話されました。歴史でも古代がわからないと中世がわからないようになると述べられたのですけど、これにはちょっとワタクシは疑問を差し挟みました。歴史が理数系同様に基礎から一歩一歩積み上げていく科目であるかどうか、議論しなければなりませんが、これは討論テーマの本質ではありませんので、また別のところでやりましょう。Cさんは、つまるところ苦手克服は個別指導によって解消できるとお考えのようです。

 さて、今回のテーマは、なぜ苦手が生まれるのか、その苦手をなくすため、どう指導するのかなわけですが、最初の「なぜ」にはCさんやDさん、あるいはEさんが正面から回答しようとしていたといえるでしょう。次に、この苦手をどう克服させるかの指導論になっていきます。

 次に発言されたのはAさんでした。Aさんは、児童生徒は不得意科目をどうしても避けてしまうので、嫌がる気持ちをもたせないよう、反復学習にさそうといわれます。励まし方次第で不得意科目から逃げないようになるとお考えのようです。Bさんは、励まし方も生徒理解が前提となるとのご意見であり、内面の観察は欠かせないと述べられます。体育であれば、運動能力の有無が評価に直結するけれども、体育が苦手な場合、この苦手を克服する鍵は、たとえば運動の準備にどれだけ取り組むかといったところにもあると発言されました。いわゆる学習への取組、意識、関心の評価から、数値的な評価を高めることによって、外的に苦手意識を減衰させるということでしょう。

 Dさんは、Aさんのいわれた反復学習について補足的なご意見を述べられました。反復学習するのは何のためかといえば、いうまでもなく基礎基本の定着のためである、と。そして、その定着のためには、教員自身の「話術」が大切になってくるのではないかと主張されます。Dさんのいう「話術」は、Aさんの「励まし方次第」の中身となってくるものでしょうけれども、小学生に対しては、むつかしい話し方をせずに学習に引き込む工夫がいるということですね。Cさんは、高校志望ですけれども、この「話術」に関しては、ほぼDさんの主張と同様であり、むつかしいことを話すのではないというのは、高校でも同じであると指摘されます。言葉による歴史的な現象理解はむつかしいので、日常あるいは現在の問題関心を例に出して話すということになると述べられます。日常あるいは現在的な問題関心とのリンクは数学でもそうで、Eさんは生徒に興味を持たせるためにも数学と日常生活との関連性を探り、数学を好きにさせたいと抱負を語られました。

 逆に、日常生活に役立つ学習をしようという観点から述べられたのがAさんでした。国語の学習、本を読む勉強は、話す力や語彙力を身に付けることができます。それを他教科でも活用して深い学びに持っていくと考えられています。そうした学習の転移を具体的にアメリカ建国史の話題を提出して話されたのがCさんでした。オバマ大統領選挙があったことを「日常あるいは現在的な問題関心」とし、その話題からアメリカの建国を考えていくとのことです。

 つまるところ学習を「点」で捉えるのではなく、つながりのある「面」で捉えることが、児童生徒の学習への興味をかきたてるのでしょう。そうした立場からDさんは、体験学習をどの教科でもできるだけ取り入れるのがよいのではないかと提案されました。Bさんがいわれたように、授業にいかに興味を持たせるかが不得意克服の方策であって、体験学習もその方策の一環として効果的な実践であることを承認されます。また、苦手の克服は、その苦手教科だけの克服と捉えるのではなく、また、なぜ苦手になったのかを考えるためにも、児童生徒の生活全体を把握し、全体の中で一部の苦手の克服に取り組んでいくことが教員には期待されているとまとめられました。反復学習にせよ、体験学習にせよ、また、地道な通常の方法にしろ、スモールステップを設ける指導が苦手克服の指導方策でもあります。このご意見はAさんが述べられたものであり、一足飛びにできるように指導するのではなく、やはり地道な取組が欠かせないことを示されています。

 Eさんは、目標を持たせること、目標を自覚させることが、数学の場合とりわけ重要であると認識されています。たとえば単元「正負の数」を指導するときでも、なにをこの時間で身に付けるべきであるのかを導入段階で自覚させることによって、その後の展開が違うということを指摘されました。最後に、Cさんは、不得意にならないように、「学習評価が低い」児童生徒に合わせてゆっくり指導する場面もあえて必要なのではないか、また、成績の高低がきつい教科では、教えあい活動も意味があると述べられ、議論は終了いたしました。

 20分を切る持ち時間で全21発言でした。1発言あたり1分を切っています。それが討論にスピード感をもたらしました。

 今回の苦手科目の発生原因とその克服法を議論するにあたって、討論参加者たちはどのようなところに注意をおくべきであったでしょうか。これは、この水曜日の討論でも同じで、水曜日の討論テーマは「学力の3要素を確定しその指導方策を議論しなさい」というものであったのですけれども、両方のテーマに仕掛けがあるのは明白です。それは、当たり前のことなのですけど、2段構えになっている討論テーマなのですから、討論の進行も2段構えにしなければならないということです。討論に分節をつけるということです。これがなかなかむつかしい。というのは、参加者はみなさん手探りですし、どういうようにまとめるべきなのか、参加者の学習レベルの違いも手伝って、設定するのがむつかしいからです。テーマが複数個の回答内容を求めている場合、はっきりそれをクリアしていく姿勢を採点官にはみせ付けるべきでしょう。それが評価されるコツです。では、司会を立てなくていいと指定があったとき、こうした分節の設定を誰がどうするかが問題になってきます。しかし、それこそ協調性なのでしょう。交通整理役としての司会は、「立てなくてもいい」ならまだしも、「立ててはならない」なら、司会的な役割があった時点で評価が低下します。司会は複数回の指示をすることによって、「司会」であろうと判断されます。だから、今回のテーマのように、苦手の発生要因を考えましょうと指示するのがXさんならば、次の苦手克服の指導法を議論しましょうと指示するのをYさんがすればいい、ということになります。こういうように複数回指示の司会を設けずに「協調性」あるように指示を分担すればよいということになります。

 大阪府は今年から討論がなくなりましたが、併願される方もいらっしゃるでしょうから、2回に1回は討論をしていきましょうね。

(2009年6月13・14日)

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