日々旁午

2004


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 自民党の次期エース安倍晋三氏は、愛という言葉が好きなようである。教育基本法改正論義に関わって、おもしろいたとえを示しながら、愛を語る。
 安倍氏と公明党との関係は、連立している以上、気を使わねばならない程度のものであると推測するほかない。公明の「そうはい」神崎氏や地域振興券浜四津氏であろう、改正案の文言の「愛国心について『国を大切にし』との表現にする」よう要求しているのに対し、「『大切に』と『愛する』とは全く違う。鉛筆や消しゴムを大切にしろ、とはいうが、愛せよとは言わない。では国家は鉛筆や消しゴム並みなのか」(『産経新聞』)という。
 ワタクシも含めて、そうそう国家を自覚するときなどあまりない一般人は、ピンとこない。国家と鉛筆を比較対象にされても、イマジネーションが湧かなくて困る。
 国家は、いまでは鉛筆並に取り扱われているのが、市井の人びとの感性であろう。国家を擬人化し、愛せよというのは、ワタクシたちが国家構成員だからといって強制できるものなのか。愛する相手は自分で決めるものである。しぶしぶ国家に従属している人びとも存在するのである。偏愛もあるだろう。そのあたりについては、安倍氏は山拓に聞けばいい。
 さてしかし、「自民党としては『国を愛する』(の表現)は譲れない一線だ」と強調するのは、どんなもんなんだろうか。ほら、「環境を大切に」との掛け声だってあるじゃないか。この「大切に」は、愛情溢れている表現である。大切にすることは愛することである。イチローがグラブを大切にしているのは、グラブを愛しているといっていい。思い入れの度合いが強ければ強いほど、「大切」は「愛」になる。
 逆に、愛していても、大切にしないことだってある。国を愛せと為政者がいうとき、それは対外的なインパクトを強めようとしている時期である。公明党の自民党に対するこうした「ものいい」は、与党内弱者の心理をさらけだしているといえる。なんかいっとかないと国民に示しがつかない。改正のあとで、我々は反対したんだよ、といえるエクスキューズを作っているに過ぎない。哀れといえば哀れである。本気で反対なら、与党離脱せよ。
 教育基本法改正は、自民党結党50周年記念大会とともに、大きく動く、つまり安倍氏的発言がもっともっと増幅されるとワタクシは感じているのだが、みなさんはどのようにお考えだろうか。(11/30)

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 別府といえば温泉のメッカである。あのワニを飼っている地獄めぐりも、おもしろい。ワニはピクリとも動かずにいる奴もいれば、ゴソゴソしている奴もいた。少し離れたところに、地獄プリンなるものも売っている。最近では温泉卵ではなく、こっちの方に人気があるようである。その別府で、タウンミーティングがあった。
 そこでは、朝日新聞によると、中山文科相が、「歴史教科書から強制連行などの記述の削除を求める運動をしている自民党有志の『日本の前途と歴史教育を考える会』の座長を自ら務めていたと紹介したうえで、『日本の教科書は、政治家が悪いんだと思うが、極めて自虐的な『日本は悪いことばっかしてきた』というもので満ち満ちていた時があった。これは何とか直さないといかんということでやってきた』と説明」したそうである。
 行政の中立性を無視した発言であるといわざるを得ないが、そのことについては、上の発言と同時に反省の言葉を述べているようではある。
 大臣の所属する「日本の前途と歴史教育を考える会」とは、例の自虐史観に反対する自民党議員が集まった私的集団である。その思想を強烈にもった人物が文科相に就任し、やおら勢いづいて今回の発言になったわけである。とりわけ「極めて自虐的で、やっと最近、いわゆる従軍慰安婦とか強制連行とかいった言葉が減ってきたのは本当に良かった」というのは、言葉の数だけ減少すればいいのかとも受けとることができ、なんだ〜と感じてしまう。
 従軍慰安婦の存在や強制連行があった事実は、歴史的に間違いない。それを教科書から削除することと、自虐史観とは本来関係ないだろう。それこそ文科相がいっているように、「どの国の歴史にも光と影はある。悪かったことは反省しないといけない」わけであって、その記述が減ったことは悲しむことといわなければならないのではないか。
 日本は悪いことばかりしてきたわけではない。それは文科相のいう通りである。たとえば、いまでも他国がモデルにする高度経済成長期日本の発展などがそうであるし、日本国憲法の存在そのものも、世界に誇る価値である。そうしたいいところをもっと教科書において強調すればいいではないか。自虐云々の是正ばかり変なふうに考えるだけが文部科学行政の仕事ではない。
 この文科相発言にすぐさま食いついたのが、韓国メディアである。産経新聞は、「『文科相の不穏当発言は遺憾』とし『歴史的事実を歪曲(わいきょく)して侵略戦争を正当化する(日本の)極右団体の歴史認識と軌を一にしている』と批判した」と報道している。文科相発言を「妄言」ととるかどうかは、上のような観点から即断できないが、このようにアジア隣国から反応があることを、行政トップは忘れるべきではないであろう。
 公平公正な眼は、実際存在しない。意見は必ずどちらかに振れる。ただ諸外国から後ろ指をさされないよう国家理性を保つことが大切であろう。(11/29)

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 昨日は勉強会に多数参加いただき、ありがとうございました。男性5名、女性6名の11人の方にお集まりいただきました。大学2年生の方から、小学生をお子さんにもつお母様まで、バラエティに富んだ参加者の方々は、それぞれの問題意識からお互いに刺激を受けあったことと思われます。
 お母様受験生の方は、子どもをお預けになって参加されるため、大変だったでしょう。しかし、育児に染まりきっていた毎日から少し抜けだし、こうして一緒に勉強することは、あるいは気分転換をもたらし、また目標を忘れないようにするためにも、いい機会かもしれませんね。
 勉強会は、今回も3部構成。序盤はイロイロと参加者から意見をいただきながらの講義でした。内容は、文化の伝達が教育であるという視点から、黒電話から携帯へ、そうした技術の発達の過程に喜びや悲しみがあること、古い教育制度から新しい制度へ、そこにワタクシたちが貢献するなにがしかの事柄があること、というように、過去を下敷きにすることから発展し伝統が形成されることを述べました。以下、この議論は、個人の社会化へとつなげてまいります。
 次に、答申輪読です。お配りした管理運営の在り方の答申をみなさんと精読しています。その解説はいうまでもなく、文中に潜む教育的用語についても気を配りました。設置者負担主義など、初学者には馴染みがない言葉についてもひとつひとつみていきました。
 今回は、教育六法を持参せず、失礼しました。今週末の勉強会には忘れず持参します。できればみなさんもお持ちください。
 最後に集団討論です。テーマは、「奈良では痛ましい事件が起こりました。私達教員は、児童生徒の保護をどのようにすればいいでしょうか、多様な角度から議論してください」というものでした。
 議論は、参加者が一体となる有意義なものとなりました。やはり現実の教育問題への関心の高さが議論に反映され、大学生の方も引き込まれている様子。こうした現実と答申などの理想がうまく噛み合わされると、一層質の高い討論となるでしょう。もちろん、議論に登場した「子ども110番」や「防犯ブザー」も答申を踏まえての発言です。
 議論の柱は、@子ども自身が身を守る手段として、「子ども110番」を知る、「防犯ブザー」を活用する、「不審者情報」を活用する、安全確保のためのマニュアルの作成など、具体的なこと。「学校安全緊急アピール」がうまく議論の素材になっていました。ただ、言葉で伝えるだけでなく、避難訓練の時間などにいわば「実演」するという実践性についても言及がありました。
 A三者連携を強化して防犯意識を高めること。具体的に登下校における地域の教育力の復活をめざすことが討論されました。PTAパトロール、警察OBによる講習、青少年を守る会云々などが提案あるいは現状報告として提出されました。通学路の死角に鏡などをつけ、行政の力を借り危機回避をめざすことも、いわゆる「変質者」から子どもを守る物理的方法でしょう。
 B子ども自身の安全意識の自覚と向上について。これは上の課題とも関わりますが、夜警ならぬ「昼警」もしなければならない物騒な世の中にあって、学校はどのようなことを提供できるか。とっさに子どもが声をあげる練習、複数で活動するよう意識付けることなどが提案されました。しかし、学校を土日に開放し、安全に遊べる場所を設置しなければならないほど、現代の子どもたちは追い詰められています。「子どもが危機感をもって生活をしなければならない」という発言の現状に、思わずワタクシたちはため息をつかなければなりません。
 C不審者を育てない教育の在り方について。これは、この討論において斬新な切り口でした。事件を根源からなくす方策は、罪を犯すものをワタクシたち教員をめざす者が「育成」しないようにすることからはじまります。そのためには何をすればよいのか。人権教育について発言がありました。学校に目的なしに通う子どもたちが、あるいはネットの世界に閉じこもり、殺人や自殺のサイトに接続し、そうした意識が悪い方向へ導くのではなかろうか、というご意見もありました。したがって職業教育を学校で重要な位置におく必要があるのではないか、ということです。『13才のハローワーク』に話が及んだ所以でしょう。
 さてこのように議論はどんどんすすみ、25分間が大変短く感じられました。密度の濃い、内容豊富な時間となりました。代表者6名の方に討論していただきました。今回のテーマでは、学校の内部における議論をするべきか、登下校の安全管理だけを討論するべきか迷われた、という方もいらっしゃいました。これは、「多様な角度から」というテーマの言葉を、どう解釈するかということと関連しますね。今一度考えてみてください。ワタクシからは、スクールゾーンの活性化、不審者とは何者か、校区とはどこまでか、というようなことを単発的に指摘させていただきました。勉強会は、今後、月3回くらいのペースで続けていこうと予定しています。次回もよろしくお願いします。
 ところで、勉強会とは別に、新春のTsudoiを開催いたします。日時は1月5日(水)夕方18:00からです。受験生だけでなく、現役の先生方からのお申し込みもお待ちしております。(11/28)

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 本日は、勉強会開催の土曜です。参加されるみなさま、よろしくお願いいたします。ただいま、明日配布します資料などの印刷が終了しました。20枚ちかくお配りいたします。答申を印刷したものですが、いっしょに読んでいきましょう。現在午前1時を回ったところです。昼からの勉強会に備え、本日は就寝させていただきます。ところで本日の討論のテーマですが、奈良における悲しい事件を2度と起さないよう、起きないようという思いを込めて、危機管理について議論していただこうと思っています。
 ところで来月の4日のご案内は、明日、メールをお届けいたします。申し込んでくださった方々、ありがとうございます。新しく参加してくださる方を募っております。いっしょに勉強したいなというみなさま、よろしくお願いいたします。(11/27)

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 「義務教育費は06年度までに8500億円削減。内容は05年秋の中教審の結論を待つ」とのことらしい。三位一体の改革の教育分野における結論である。
 これで、県費負担教職員の給与カット分をどこから賄うか自治体は汲々とする。今回の削減対象は中学校教員だけだそうだが、それはすなわち次回の削減で小、高に手が回ることを予想させるに余りある。
 毎日新聞は、「国が経費の半額を面倒みる義務教育費の国庫負担金については、地方6団体が中学校分8504億円を削除し、かわりに見合う税源の移譲を要求。これに対し、文部科学省や自民党族議員が『教育は国の責任』として激しく反発していた。双方の綱引きの結果、細田博之官房長官ら調整役4閣僚は小中学校の補助率を3分の1に引き下げる案を検討。これに対し、自民党や文科省は少人数学級などに追加配置した教員給与(約1700億円)の削減で決着を図り、補助率引き下げに反対していた。「全体像」に8500億円の削減が明記された結果、06年度に実際は補助率引き下げが行われる公算が大きくなった。このため、首相は地方側の一定の理解が得られるとみている。しかし、05年秋に予定される中央教育審議会の報告が補助率の引き下げを容認する保証はない」と事態を正確に記している。
 問題は、中央から地方への税源委譲が成立するのかどうか、さらには、それが成立したとして、税収は交付税交付金と同等か上回るほどになるのかどうか。当然、地方間格差が生じる。飛び抜けた自治体だけの議論は、資本の再分配構造の歪曲をもたらす結果となろう。
 暫定措置とはいえ、4250億円、重い金額である。「暫定」とは、「恒久」の別名であることを忘れてはならない。それから、文科省と日教組のこの削減問題に関する奇妙な意見一致が、よい解決策を生み出すことを望む。(11/26)

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 1億円。庶民がそう簡単に手にできる金額ではない。それが、便宜を図る手数料として右から左に動くのだから、政界とは恐ろしいところである。または、ふざけたところである。政治家の言葉くらいコロコロ変わるものはないし、言語明瞭意味不明なものもない。国会答弁は、ごまかしの言葉で詰っている。いまのところ野党の言葉だけが人間の言葉である。ほかは、与党であろうと、与党政治家に知恵を与えている官僚であろうと、外国語とかわらない。
 しかし、今次の「まちがいございません」は、言語明瞭意味よくわかる。東京地裁で滝川被告がそういったのだから、永田町には新潟以上の激震が走ったことだろう。これで、にやにや橋本、退役ドン野中、めがね村岡の尻に火がついた。カチカチ山である。だが、起訴はめがねだけである。しかも在宅。
 以下は、朝日新聞・月末恒例の今月のことば(天声人語)に載りそうな発言である。めがね「それでは領収書は出さないことにしよう」、めがね「領収書は出さないことにするから、その線で日歯側に了解をとってくれ」、めがね「そうか、分かった。ご苦労さん」、退役ドン「あ、そうか」、などなど、平成研関連のお歴々の言葉は、みえないところでは明瞭である。以上はここを参照。
 民主党の喚問に顔面を紅潮させて出席しためがねだが、この滝川被告の発言をどのように受けとめているのであろうか。ここまではっきりいっているのであるから、「事実無根」では通らない。逃げまわるにやにやの言葉は新聞に登場しないが、おおよそ同じ穴の貉なのだし、同様の主旨のことがささやかれていたのだろう。政治倫理審査会なんて正統性のないところでわめかずに、国会の証人喚問に堂々と出てきたまえ。
 身内の敵という難しい位置付けではあるが、純ちゃんはこの話題を隠れ蓑に、自衛隊派遣の報道が減ることを祈っているのであろう。だがそうはいかないぞ。靖国参拝とともに、また別の問題である。(11/25)

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 本日、旁午更新お休みします。昨日、書こうとがんばったのですが、プライベートで手伝いに行った神戸フリーマーケットの疲れが残ってしまい、果たすことができませんでした。失礼おばいたします。(11/24)

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 カンニングが逮捕になるのもお国柄。
 儒教の国とは思えぬ乱れぶりである。カンニングには携帯が使われたという。関わった高校生140人全員が逮捕されるのであろうか。そうまでしてまで大学に入りたいのだから、また、カンニングで逮捕されるくらいなのだから、よっぽど学歴信仰はキツいのだろう。小学生でも10時間くらい勉強しているのも不思議ではないらしい。お隣り韓国は、日本の受験戦争を凌ぐようである。だからこのようなことが起こる。とすれば、学歴信仰が一息ついたら、日本のように総合学習のような教科が用意されるのであろうか。受験に勝つことが幸せ追求の手段であると信じてきた日本の二の舞にならないよう祈る。
 本日は「歴史的教育施設の探訪」をアップしました。ご覧ください。(11/23)

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 父と子と聖霊の三位一体か。マトリックスのTrinityはここからきているのかな。日本では政治構造改革のペットネームになっている。
 西日本新聞によれば、@補助金を4兆円程度減額する。A国から自治体へ税源を移譲する。規模は減額した補助金の8割程度を目安とし、義務的事業経費については効率化して全額移譲する。B地方交付税の財源保障機能を縮小し、総額を抑制する、となっている。この@の4兆円は、3兆円だと思うが、義務教育費国庫負担金もこの減額に含めるというものである。
 国庫からの安定した教育費供給は、義務教育の命綱である。それを三位一体だからといって削るのは非常に困るわけである。なぜなら、よくいわれるように、義務教育は国家の責任だからである。金をだせば口も出すが、世の習い。政府はイロイロ注文をつけてきたわけであるが、削減すれば、そのへらず口も減るのだろうか。完全に負担金がなくなるわけではないから、へらず口も完全にはなくならないだろう。しかし、その完全になくならないへらず口は、学習指導要領など、国家的な教育課程編成大綱をなくすまでには、当然ながら至らない。自治体の自由に教育行政をさせていただくわけにはなかなかならないのである。つまり「交付金」という体のいい言葉で支配力だけを残そうとするわけである。
 ところで地方の自由裁量が増えてきているのも事実である。改革派知事が自治体経営合理化のために多様な手をうっている。いわゆる6団体の議論をみよ。Aの税源委譲において目的税を設定して、教育費国庫負担に代わる安定教育費財源を用意できればいいのだが。だがこれも地方間格差の前には、教育格差を引き起こす所以となる。
 国庫負担金の削減要求を文科省に突きつけているのは、政府のサイフを握る細田氏であり、純ちゃんの政策を伝える役目を仰せつかっている人物である。この細田氏、身体も細いが、いうことはけっこう野太い。中教審を無視して削減断行すると、ほぼいっているわけで、強権発動だなあと嘆かわしい。
 中教審はストライキで対抗してもいいのではないか。それくらいの力はあるし、鳥居氏も辞職を切り札にがんばることだと思う。そうでなければ歴史ある中教審の名が廃る。自民党も合意しているから、その牙城を切り崩すことは到底無理としても、国民に対し、「我が子の教育費が減ってるんですよ」くらいの警告を保護者の耳に届くように大声でアナウンスしてもいいのではないか。
 「義務教育費国庫負担金削減反対シール」を作って、師走の街を忙しく歩き回る世のお父様方に配布すればいいだろう。細田氏に駐禁マークを上から描いた図柄をシールにし、右の頬に「呑みすぎシール」、左の頬に「義務教育費国庫負担金削減反対シール」を貼る。なにそれ、と忘年会の話題になるか。これくらいしないと、義務教育費について話題がのぼることはなかろう。(11/22)

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