日々旁午

2017


■それでは、集団討論の模様を再現してみましょう。今回のテーマは、「教員に必要な資質はいろいろありますが、みなさんの方でたくさん出していただいて、ベスト3を決めてください」といういささかひねったものでした。通常でしたら簡単に「教員の資質能力について議論してください」くらいなのですが、今回はテーマの意図に「たくさん出すこと」と「3つにまとめること」の2つの作業を課してみました。

 結果はどうであったかというと、残念です。100点満点で20点くらいの出来でしょうか。テーマの意図をちゃんと捉えていない方がおられたせいで、討論は空中で崩壊しました。

 討論参加者は4名、20分程度です。

 まずAさんがテーマを確認し、教員として「先を読む力」が大切であると述べられました。児童生徒にどのような力を身に付けさせたいのかを考え、そこから見通していくというわけです。Bさんは児童生徒の達成度を確認する必要から、積み重ねていく学習態度が大切であり、基礎基本を指導する能力が教員に求められていると述べられます。Cさんは、商業科という専門教科ははじめて学ぶ生徒が多いので、学年ごとにその学年に応じた学力を身に付けさせる力=つまり学習指導能力を資質であると捉えられました。Dさんは、児童生徒の将来を見据えた学習を提供することを自覚した責任感が資質であると発言されました。

 これで4つ出たわけですが、Aさんはもっと「資質」を出していきたいといわれ、小学校ではあらゆる教科を指導しなければならないので、臨機応変に対応する能力が必要とし、児童生徒をよく観察する資質がいると話されました。Aさんはこれで3つ「資質」を提示されたわけですが、Bさんの「その中でいちばんは」の問に応答して最初に指摘された「先を読む力」であるとされます。ここでCさんが、教員自身が学んできた経験を土台に、知識技能を生徒に定着させるため繰り返し学習をすることが大切であるとのべられ、つまりは実務的な力をいかにして身に付けさせるかが重要であると発言されました。この発言は、内容的に間違っているわけではありませんが、集団を混乱させるよくない発言でした。この発言は授業論を述べているわけで、テーマは「資質」ですから、全然関係ないことをいっているわけです。授業論を通して結論として「資質」が述べられているのであればまだしも、それもまったくない。DさんはCさんの発言を教科のスペシャリストであるべきという言葉でやんわり討論の方向を修正しようとされました。

 また、Aさんも、校種によって教員に必要な資質能力には様々ですねと合いの手をいれたのですが、Cさんが暴走してしまい、学習の目的と目標をどのようにして立てるかなどと、これまた授業論を捲し立てます。DさんはCさんに「資質」について議論しているのですが…とこれまた軌道修正しようとするのですが、Cさんはさらに学習内容を定着させる力が教員には必要というだけで、Cさんの発言は当初のモノから変わらず、グループは暗礁に乗り上げてしまいました。Aさんは、小学校でも必要な資質はどのようなものだろうかと自問するような言葉でCさんがテーマに気付くように持ち掛けます。これに応じてDさんが「向上心」を挙げられて、時代や国の要請もあるし、児童生徒の有り様も変化するといわれます。自分の考え方のみに固執しない柔軟に多様な環境を受けとめ受け容れる資質が必要なのではないかと指摘されました。

 Cさんは、これまた全然議論と関係ないことを言い出します。授業では既存の知識の確認だけではなく、新聞記事を活用し問いかける授業を実施し、生徒が乗ってくるような言葉を用意すべきである、と。Cさんは、このように最初から最後まで、討論に参加することなく、自分のイイタイコトをテーマと無関係に、ということは誰に向かっていっているのかわからないままになっています。協調性がないのです。討論で最悪です。

 もう、どうしていいかわからなくなったこのグループは、それでもなんとかしようとして、Bさんが児童生徒をほめる言葉がけをするべきで、そのためには、該当児童生徒を総合的によくみて理解することが必須になると述べられます。そしてそれが資質であるとまとめられました。Aさんからは、学びつづける教員という言葉を挙げられ、教員が学んでいることを形を変えて児童生徒に返していく能力を高めなければならないと提案されました。と同時にAさんは、いろいろ出てきましたが、教員の資質として3つ決めなければなりませんから、何にしましょうと討論が終盤であることを自覚し、参加者に振られました。これに応答してCさんが「先を読む力」といわれたので、傍聴している参加者もワタシも唖然としてしまいました。それはAさんが提案されたしかも最初に提案された資質であり、Cさん自身が述べたことではないし、愕然としました。討論が粉々になったようです。このあとは、Dさんが観察力とか、Bさんが読む聞く話す書くの4技能とか、追加的にいわれましたけれども、壊れて沈んでいく船のようで、聞く気力も失せてきました。

 最後にAさんがなんとか討論の体裁を整えようとし、3つの「資質」を挙げられる発言をされましたけれども、後の祭りのようでした。

 今回のコメントは多少厳しいところもありますが、意をくみ取っていただければ幸いです。チャレンジすること、これが何よりも大切です。しかし、闇雲にするのではなく、経験を反省し次に活かすつもりで勉強しなければ意味がありません。がんばってください。
Feb.21,2017

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