奉仕活動 中教審答申のキーワードと解説

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 国民統合の術を教育システムに要求するのは理解できる。しかし、奉仕活動を意図的に奨励しなければならないほどに、現代日本は行き先が見えない状況なのか。ワタクシたちは、社会がどうあるべきかを自発的に考えないわけにはいかない。その自覚すら持てないようになってきているのだろうか。損得勘定で生きぬいてきた戦後の日本人が、果たしてボランティアを理解できるのか。この答申を読んで、こうした感情がさらに強くなった。奉仕活動を推進する必要にはじまり、奉仕活動を盛り上げましょうと社会的気運の醸成にまでこの答申は触れている。行間にあらわれているその国家的意図を、是非、考えてみよう。7つのトピックをとりあげ、整理してみた。

「青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について」
平成14(2002)年7月29日

新たな「公共」・・・人間関係の希薄化は、あらゆる共同体的部分社会を瀕死の状況に追いこんでいる。利潤を追求せず、人間同士の結びつきを互恵の精神に基づき再構築したいと主張。「官」と「民」とに区分けし、それぞれの立場から取り組むのではなく、両者一体化した奉仕活動や体験活動を通して、新たな「公共」の精神を醸成されることが期待される。国家を考えることと公共を考えることとの違いはどこにあるのであろうか。

奉仕活動の概念・・・自分の時間を提供し、対価を目的とせず、自分を含め他人や地域、社会のために役立つ活動を「奉仕活動」と定義する。

体験活動の概念・・・初等中等教育段階では、その成長過程において社会性や豊かな人間性を育まなければならないが、そのため、積極的に社会や自然にかかわる「活動」を広く「体験活動」と捉える。

無償性・自発性・日常性・・・奉仕活動といってもコストがかかる。活動を軌道にのせ、定着させるまでは、行政の一部負担もある。学校教育においては「自発性は活動の要件ではなく活動の成果」と捉えることもできると、不思議な主張を展開する。特定の個人に「奉仕活動」の負担がかからないよう、活動に関わる人間を流動的に。そのため日常的な人びとの参加が要求される。

学校サポート(学校協力)委員会(仮称)・・・生徒に多様な「体験活動」の機会を与えるため、校内校外にかかわらず活動を推進する体制作りに取り組みたい。この委員会はその拠点とする予定。教育委員会も各学校の活動を支援。たとえば、教職員の「体験活動」に関する意識の向上を図るべく、初任者研修でも指導力充実の機会を提供。NPO活動参加など、長期社会体験研修を実施。

ヤング・ボランティア・パスポート・・・「ヤング・ボランティア・パスポート」の発行は、この答申で一番訴えたいことであろう。小中学生には、ボランティア活動記録シールを餌に、地域における活動に参加促進させる。それを受け、高校生に「パスポート」を持たせ、日常の活動の証とする。この仕組みは、ていのいい治安対策というべきか。「パスポート」は、高校における単位認定、就職や入試、公共施設の割引などに活用する。国も、この「パスポート」の普及をバックアップし、全国的に通用するようお膳立てする見込み。

教採に関して・・・ボランティア活動の有無を記載する欄を充実させ、その経験を重視し、教員採用選考試験に反映させる意向。教育委員会は、教員養成系大学と連携して、教員志望学生を教育支援ボランティアとして活用を求める。

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