地域運営学校 中教審答申のキーワードと解説

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 学校を作るのは、非常に簡単である。場合によっては、箱を借り、誰かを雇い、宣伝をうてばそれでいいからである。それだけに現在では、法律上、学校の設置主体は、国、地方公共団体、学校法人の3主体に限定されている。在校生がいるのに学校が破産してしまえばどうなるのか想像してみれば、学校を設置するのに伴う責任の重さがわかるだろう。そうした責任ある既存の学校が、なにか新しい教育的特色を表現しようとして、次の一歩を踏み出そうとしても、躊躇してしまう体質をもっているのも事実である。こうした閉鎖的な体質を打ち破るには、新しいタイプの学校を作ればいいのだろうか。地域運営学校は、その切り札になるであろうか。答申の提言を4点にまとめてみた。

「今後の学校の管理運営の在り方について」
平成16(2004)年3月4日

本答申における学校の役割・・・この答申では「学校」を総括的に定義している。学校教育の基本的な役割は、児童生徒の発達段階に応じて、知・徳・体の調和のとれた教育を行なうこと、生涯学習の理念の実現に寄与すること、とする。基礎・基本を徹底し、確かな学力の定着を図り、生涯にわたる学習の基盤をつくることや、同世代の仲間との共同生活を通じて、人間性や社会性など豊かな心と健やかな体を育成すること、さらには一人ひとりの長所を見出し、その個性・能力の伸長を図っていくことなどは、今後の社会においても普遍的な学校教育の役割と考えられる。こうした考え方は、15期答申以来の教育思想を継承しているといえる。しかし、「ゆとり教育」との関連ははっきりしない。

学校の包括的な民間委託・・・近年、地方公共団体の様々な業務について民間委託が行われるようになっている。平成15年9月からは、「公の施設」の管理について、十分なサービス提供能力を持つ民間の事業者のノウハウを活用し、多様化する住民ニーズにより効果的・効率的に対応することを目的として「指定管理者制度」が導入された。これは、公立学校には直ちに適用されるものではない。しかしこの制度により、従来「設置者管理主義」をとってきた公立学校の教育活動そのものを含めた管理運営を、包括的に民間に委託する道が切り拓かれた。

学校の民間委託の意義・・・ 公立学校の管理運営を包括的に委託することを通じて、民間の有する教育資源やノウハウを活用することにより、機動的かつ柔軟なサービスが提供され、多様なニーズに応じた特色ある教育を効果的に実現することができること。学校の設置者にとっても、保護者や児童生徒にとっても選択肢の拡大が図られること。既存の公立学校に刺激が与えられることにより、競争が生まれ、公立学校教育全体の質の向上が図られること。

問題点・・・学校民間委託制度の導入によって、様々な課題や懸念もある。教育の質を客観的に評価・検証する仕組みがなければ、受託者が経営的観点から経費を削減することにより、教育の質が低下するおそれがあるのではないか。とくに、生徒指導のように、短期間では投入した費用に見合う効果が必ずしも期待しにくい部分が安易に切り捨てられるおそれはないか。教育の成果や学校での事故等をめぐり、学校の設置者と実際の管理運営を行う者である受託者との間で責任の所在が不明確になるおそれはないか。契約の途中段階における契約解除や受託者の経営破綻等により、学校が閉鎖された場合、児童生徒の「教育を受ける権利」が侵害されるおそれはないか。

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