教育エッセイ・13

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学校の経営

 ひとつの学校を経営するというのは、大変な労力が必要でしょう。なにしろ、膨大な数の児童・生徒、それに先生を抱えているのですから。その多くのヒトを幾多の組織に分け、機能的に学校は運営されているといっていいですね。ワタクシたちが知る学校内組織を挙げるとすれば、どのようなものが浮かびあがってくるでしょうか。ヒトが集まり、かつ、「経営」的側面を持つものですから、たとえば、職員会議が真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。民主的な性格の会議であるべきか、校長の諮問機関であるかは別として、職員会議は多様な学校活動の将来を計画し、教員全員でそれを確認する場でありましょう。そのほか、主に高等学校では学校事務局の役割は大きいし、ある種、圧力団体といえるPTAも存在します。先生方は学年会を組織しますし、児童・生徒はそれぞれ児童会、生徒会をみずからの力で主催しようとします。課外活動も実践されますね。

 本当にイロイロあるものです。こうしたすべての組織あるいは各部署を勘案し、まとめていかなくてはなりません。「各学校」の責任者としての校長先生はその力量が問われます。ましてや学校の自由化が進み、児童・生徒獲得のために戸別訪問に先生方が駆り出されるようになるとすれば、営業部も作らなければならなくなりますね。鉄棒を用意したり、跳び箱を揃えたり、設備面でのとりまとめも重要な仕事です。すべての部署は、学校に底流する理念によって支えられています。つまり、「学校目標」です。学校経営とは、学校目標の達成のために計画されるいわば「事業計画」と考えていいでしょう。クラスを分け=学級編成、時間割を作り=教育課程、遠足の下見に行き=校務分掌、地域の特色を教育に反映し=独自性、児童・生徒の安全面で気を配る=設備の整備活用。以下では、「教育エッセイ(第1期)」において取り上げた議論は省き、まず、校務分掌と職員会議から考えていきましょう。

 学校教育法28条Bによると、「校長は校務をつかさどり、所属職員を監督する」と規定されています。いうところの校務の具体的内容は、法令的には定かではありませんが、校務=学校経営全般と捉えるのが一般解釈でしょう。だから上に書いてあること全部が妥当します。校務遂行の責任と権限は、校長にあります。しかし、多岐にわたる校務の諸領域を校長先生一人でできるはずがありません。だから校務を教職員に分担させます。これを校務分掌というわけです。各教員は割り当てられた「充て職」を新たにこなしていかなければなりません。授業の準備のほか、「充て職」として教科「主任」を任せられたなら、責任も重大です。各教員は校務分掌にもとづく活動の報告をすることになります。職員会議のひとつの役割はそうしたところにあります。

 職員会議は、全校的な会議という性格を持っています。職員会議などという会合をやっていることを、児童・生徒の頃、ワタクシたちは、うすうす知っていました。しかし、職員会議はつい最近まで、法的な規定に基づく機関ではなかったのです。したがって、この会議を開いても開かなくても、実はまったく各学校の自由でした。そうしたアイマイな規定を不自然に思ったのか、第16期中教審答申「今後の地方教育行政の在り方について」(平成10(1998)年9月21日)を経て、しっかりした位置が職員会議に与えられたのです(学校教育法施行規則の一部改正、第23の2・・・平成12(2000)年1月21日、によって)。 校長の補助機関であるか、各学校の民主的決定を支える最高議会的性格をもつ会合なのか議論は分かれているものの、つい最近の行政側見解の発表そして上のように改正・明記したように、さらには校長に今以上の権限をもたせる方針を打ち出しているところから考えても、職員会議は補助機関的な色合いを強めているといえます。

 職員会議は、校長が招集し、校務に関する校長の諮問事項、その他の必要事項についての審議及び職員相互の連絡・調整を行うところとなったといっていいのではないでしょうか。補助機関に各教員の主体的参加が求められているわけです。もちろん管理職としての校長には、優れた教育的な見識が必要ですが、権力関係からいってしまうと全校的議論の最終決定権は校長に握られているといわざるをえません。大阪教育大学付属池田小学校の殺傷事件や中国道中1女子置き去り事件など、教育現場や教員個人の資質の衰退が、組織のトップの権限拡大に拍車をかけることになるでしょう。 このように行政的つまりは政治的誘導によって職員会議の意味が変質しつつありますが、学校経営をよりよく円滑に推進しようとするため、職員会議が設けられているという本来の思想をワタクシたちは忘れ去ってはなりませんね。

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