教育エッセイ・14

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教育委員会ってなに?

 教育委員会ほど、わかっていそうでわからないものはないですね。だいたいどのような方がその委員なのでしょうか、また、どうしたら委員になれるものなのでしょうか。どんな仕事をしているのでしょうか。ワタクシは、もう何度も何度も、教員採用試験の問題の不鮮明なところや教育法規の解釈に絡んで、大阪や神戸の委員会に電話して聞いています。あんまりちゃんと教えてくれないのですけど(失礼!)。なにをしているのかわからないといいましても、たとえば、2年ほど前、教科書採用(新しい歴史教科書をつくる会云々)をめぐる委員会の動きは、見えにくいこの機関の仕事のひとつを、テレビを通して教えてくれました。教科書採択を特集したNHKスペシャルを見た方も多いでしょうね。そのほか、新聞は時折、各教育長にインタビューし、記事にしてくれています。最近では、小学校教育における絵本の導入に関し、豊中市(大阪府)教育長の談話が載っていました。

 なぜ、文部科学省があるのに、地方にも教育委員会を設置し、二重の教育行政を引いているのでしょうか。現に「教育委員会なんて不必要」といい放った、「市中引き回しの上打ち首獄門」発言(2003年)で悪名高い鴻池大臣がいました。こうした政治的主張の過ちを確認するために、憲法26条に触れておきましょう。26条の「教育を受ける権利」を正当に実現するには、「不当な支配」(教育基本法10条)に服することなく、教育行政機関が「必要な諸条件の整備確立」に努力しなければなりませんし、行政の動きを透明化しなければなりません。中央行政と地方行政の相互監視のほか、教育オンブズマンのさらなる機能化が期待されます。「不当な支配」が一元的な教育支配から生まれやすいのは、歴史の教訓です。

 上のようなわけで、現行の教育行政機関は、中央の文部科学省と地方(都道府県と市町村)の教育委員会からなりたっています。中央の上意下達的統制を避け、地方の特色を豊かに表現したいという国民の願いを実現しようとする制度保障といえましょう。二本立ての行政機構をわが国が採用している根拠に、戦前の超国家主義的な教育体制の反省があるのはいうまでもないことです。その一方、「開かれた学校」の実現のため、地方の有力産業の住民理解を進めるため、その教材化に各学校が乗り出すとき、教育委員会は地域に密着した思考する立場に立って支援するでしょう。トップダウン方式では、地域の実情をよりよく教育に反映できません。

 教育委員会は、1948年の「教育委員会法」、そしてこの法律を変更した1956年の「地方教育行政の組織および運営に関する法律」(地方教育行政法)にしたがい運営されています。その仕事は多岐にわたります。それを順にあげていくと(23条)、
1 所管の学校その他教育機関の設置、管理および廃止と教育財産の管理
2 教育委員会および教育機関の任免その他人事
3 学齢児童、生徒の就学並びに生徒、児童、幼児の入学、転学、退学について
4 教育課程などに関すること、教科書、教材に関すること
5 校舎その他の施設および教具その他の整備
6 校長、教員その他教育関係職員の研修
7 校長、教員その他教育関係職員並びに生徒、児童および幼児の保健、安全などに関すること
8 学校その他教育機関の環境衛生に関すること
9 学校給食に関すること
10 社会教育、体育、文化財保護、ユネスコ活動に関すること
11 教育に関する法人に関すること
12 教育に係る調査および指定統計その他の統計に関すること
13 所掌事務に係る広報、その他教育に関する事務
というように非常に多くあります。

 こうした仕事を担当する教育委員会はいったい何人で構成されるのでしょうか。実は、大阪府でもたった6人です。教育委員は、当該地方公共団体の長の被選挙権を有するもの、つまり、知事に立候補できる資格を持つもので、人格高潔、教育学術文化に関し識見を有するもののうちから地方公共団体の長が、議会の同意を得て任命されます。最後の、議会の同意を得て信任されるということが、ことのほか重要です。教育委員が民主的に選出されている証左です。しかも6人の選出に関し、党派的な政治影響を避けなければならない旨が地方教育行政法に明記されています。6人共に自民党員であったり、共産党員であったりしては、地方教育行政に政治的偏向が生じてしまうからです。政治的な「不当な支配」の排除ですね。

 教育委員会は、委員5名(都道府県6名、指定都市6名、町村3名)から構成されます。任期4年の非常勤職員です。このうちから教育委員会の会議を主催する教育委員長を1人、また、委員会の権限に属するすべての事務をつかさどる教育長を1人選出します。両者の兼任は許されません。教員採用選考試験の実施者は、この教育長です。その仕事量の多さから、教育委員数の適正規模について、最近、市町村合併と関わり、教育委員10人などと、見直し議論が活発になりつつあることを指摘して、今回のエッセイを閉じましょう。

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