教育エッセイ・15

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PTAと学校評議員

 保護者との連絡及び保護者からの協力を、教員はどのようにして高めていけばいいのでしょうか。教員が先頭に立って保護者に働きかける場合、3者面談や家庭訪問、学校内の行事や出来事などをお知らせする学校新聞の発行と、多々、手段があります。最近では問題を抱えつつも学校のサイト運営があります。家庭環境や保護者の教育姿勢を確認することが、教科指導、生徒指導を効率よくしますね。しかし、教員と保護者が相互に理解を深めるためには、保護者からの能動的な協力が欠かせません。なぜなら、呼び出されて応じるような教員の一方通行的な相談の環境では、生徒理解の限界がありますし、なによりも保護者が「こころの底」で、学校に何を求めているのかわからないからです。本来、そうした意見交流や情報交換のために設立された組織がPTA(Parent−Teacher association)でしょう。

 PTAは、保護者と学校が協力して、学校のあるべき姿を追求すべく交流し、それによって子どもの健全な望ましい成長を図ることを主たる目的として、学校単位に組織された社会教育関係団体といえます。第2次世界大戦後、アメリカ教育使節団の助言を受け入れて発足しました。どのような活動をPTAがするのか、児童・生徒の側に立ってひるまず一言でいうなら、「うっとおしい事柄」ですね、はい。学校と家庭における教育の振興、児童・生徒の学校外での生活指導、地域における教育環境の改善など学校の教育活動を補強する住民(スクールゾーン)活動です。みなさんの中には、補導員とともに繁華街を徘徊する高校生に声をかけるシーンをご覧になったことがあるかもしれませんね。ドラマでもよくあります。また、教育的には不良文化財といわれる遊戯場の立ち退き要求、建設中止要求の署名活動をしているのを見たことがあるかもしれません。

 ただしPTAは、あくまで学校組織の外にあります。したがって学校は、PTAの「ご意見」を必ずしも採用しなくともよいのです。もしも、PTAの意見や提案のすべてを受け容れないとダメだとすれば、ある意味、PTAは圧力団体となってしまいます。ワタクシは、なんの批判的な疑念も持たず、春先にPTA会費を保護者全員が納めるのを不思議に思っています。学校組織外組織であるのに、なぜ学校を経由して徴収するのでしょう。また、PTA活動への参加が暗黙の了解のような雰囲気もあります。こうした費用がどこに消えて行くのかよくわからないことにも、不安を持っています。PTAのなり手に関し、やりたい方、やりたくない方、両極端なところも問題といえるでしょう。輪番やくじ引きでPTA役員を決定する地域もあるようです。PTAの活動がその地域の教育意欲のバロメーターとしてみなすこともできますね。

 一方、学校評議員は、職員会議と同様に、学校教育法施行規則の一部改正によって、新しく設けられた制度です。学校評議員は、PTAとは違い、校長が学校外の意見を積極的に聞くための制度として、学校組織の中に設けられた機関です。その選考基準は当該の学校の教職員を除く人びとの内から、教育に関する識見を有するものを校長が推薦し、設置者(大阪府立高校ならば大阪府)が委嘱することになっています。地域に開かれた学校作り=「開かれた学校」をいっそう推進するため、学校が家庭や地域と連携を図りながら特色ある教育活動を展開するねらいで設けられたといえます。この制度の創設によって、学校の教育計画、具体的教育活動、家庭と学校との連携の望ましい姿など、学校運営の基本方針や教育活動に対し、住民に情報提供を行ない、地域の意見を把握、反映していくことが期待されます。体験活動、学校行事、部活動に関連し、保護者のみならず地域における一般の方々の協力を得ることも望まれているでしょう。ただ、その特色ある教育活動の内実は目に見える形で伝わってきにくい現実です。

  学校評議員は校長の求めに応じて学校運営に対し意見を述べますが、校長の権限を制約するものではありません。しかし校長の権限にまで迫るような事態はありえないのです。なぜなら、評議員は、上のように、校長の推薦を必要用件とするからです。校長の運営方針に楯突くような意見が、そこから生まれることは想像の外でしょう。また、現実には、この学校評議員にPTAの役員がつく場合が多いのですね。ということは、いままで圧力をかける以外に脳のなかったPTAに、実質的な権力が付与されたといえなくもないでしょう。こうしたPTA役員の、学校評議員への「横滑り」は、制度を作っておけばそれでよいという保守的な教育行政態度そのものです。

 さらに考えておきたいことは、あの大教大附属池田小の事件があってから、「開かれた学校」という理念がくすみかけてきており、そこにこうした学校評議員がどこまで認知され、その役割を遂行することができるかということです。ちなみに、評議員の「給与」は1ヶ月5000円程度、自治体によってまちまちです。財政的に潤いのある自治体は評議員を多数採用できますが、そうでないところは設置するのも苦しいようです。近畿では、滋賀の設置意欲が強く、実績があります。他方、九州は少ないようです。

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