広島教員採用試験対策レジュメ 

第1回 2003年夏実施・過去問の検討
問1−2

2 平成15年度から国立及び公立の小学校等の教諭等の任命権者に対して10年経験者研修が義務付けられました。この研修について、初任者研修との違いが分かるように、そのねらいを簡潔に書きなさい。

∇教育職員養成審議会答申「養成と採用・研修との連携の円滑化について(第3次答申)」(平成11年12月10日)の3「教員の各ライフステージに応じて求められる資質能力」では、初任者の段階・中堅教員の段階・管理職の段階と段階別に教員が備えるべき資質能力に触れている。初任者の段階では、「大学の教職課程で取得した基礎的、理論的内容と実践的指導力の基礎等を前提として、採用当初から教科指導、生徒指導等を著しい支障が生じることなく実践できる資質能力が必要であり、さらに、教科指導、生徒指導、学級経営等、教職一般について一通りの職務遂行能力が必要である。養護教諭については、心身の健康観察、救急処置、保健指導等児童・生徒の健康保持増進について、採用当初から実践できる資質能力が必要である」、 中堅教員の段階では、「 学級担任、教科担任として相当の経験を積んだ時期であるが、特に、学級・学年運営、教科指導、生徒指導等の在り方に関して広い視野に立った力量の向上が必要である。また、学校において、主任等学校運営上重要な役割を担ったり、若手教員への助言・援助など指導的役割が期待されることから、より一層職務に関する専門知識や幅広い教養を身に付けるとともに、学校運営に積極的に参加していくことができるよう企画立案、事務処理等の資質能力が必要である。養護教諭については、保健室経営の在り方、学校保健の推進等に関して広い視野に立った力量の向上が必要である」、管理職の段階では、「地域や子どもの状況を踏まえた創意工夫を凝らした教育活動を展開するため、教育に関する理念や識見を有し、地域や学校の状況・課題を的確に把握しながら、学校の目標を提示し、その目標達成に向けて教職員の意欲を引き出すなどのリーダーシップを発揮するとともに、関係機関等との連携・折衝を適切に行い、組織的、機動的な学校運営を行うことのできる資質を備え、また、学校運営全体を視野に入れた総合的な事務処理を推進するマネジメント能力等の資質能力が必要である」と記載されている。

∇研修改善の「具体的方策」として、同答申は、初任者研修に関し、 初任者の個々の経験や力量に応じたものにしたり、個々の学校の抱える課題に重点を置くなどの工夫を図ること。 授業の準備から実際の展開に至るまでの授業実践の基礎について、初任者の日々の実践の反省点等に基づいて、指導教員等がきめ細かく初任者を指導していく時間を確保すること。 校内研修と校外研修との有機的な連携を保つこと。 初任者が自己の問題意識に応じて、講師や研修内容を選択することが可能となるような研修を実施したり、参加型・体験型研修、課題研究・討論など課題解決的な研修を多く取り入れるなど、研修実施者において、研修カリキュラムをより魅力あるものとするよう工夫すること。 異なる規模の学校での研修や他校種での研修等他の学校での経験を得る機会の確保を図ること。 初任者研修に関する拠点校を設置し、当該拠点校において初任者に対する校外研修を実施したり、当該拠点校に勤務する研修担当教員を初任者が配置されている学校に派遣することについて検討すること。 初任者が職務を通じて行う研修及び職務を離れて行う研修においてより一層充実した研修を受けられるよう、学校においては,初任者研修の実施のために措置されている指導教員が指導事務に専念できるよう制度本来の趣旨を十分認識し、その適切な運用に努めること、任命権者の権限と責任において適切かつ計画的に新任教員を配置すること、初任者に対する指導について、再任用教員や非常勤講師の活用を図るなど、よりきめ細かく指導を行えるような工夫を講じることが必要である。

∇研修改善の「具体的方策」として、同答申は、10年経験者研修に関し、 教職経験者研修については、今後必要となる資質能力を有し、教育改革の実施に対応できる教員を確保する観点から研修内容の精選・見直しを図ること、研修参加者のニーズや学校の課題等に応じて多様な選択ができるようにするなどの改善を図ることなどを検討することが必要である。養護教諭については、保健教育に関する実践的指導力の向上の観点からその充実を図ることも必要である。 中堅教員の研修については、より一層職務に関する専門知識や教養を身に付け、また、学校経営を行うために必要な人事管理、企画立案、事務処理等の資質能力を高めることができるよう、研修の内容・方法を見直すことが必要である。 管理職研修については、一般に組織体の経営に必要とされる専門知や教養を身に付け、また、学校事務を含め総合的なマネジメント能力を高めることができるよう、管理職研修カリキュラムの開発を行うとともに、研修の内容・方法を見直すことが必要である。また、管理職研修と任用とを関連付ける方策を検討し、管理職試験についても、事前又は事後の研修の在り方と関連して、校長、教頭それぞれの職責に応じてその在り方を見直す必要がある。 幼稚園教員の研修については、その内容の専門性を高め、また、園研修を受けやすくするなどの環境整備に努めることが必要である。 盲・聾・養護学校等に転勤した教員等の研修については、障害がある幼児・児童・生徒や特殊教育に関する正しい理解が深められるようにする観点から研修の充実を図る必要がある。

∇上の答申を手がかりに解答を考える。「違いが分かるように」書けとあるので、対比させて2、3行で述べるのがよい。「(模範解答省略)」程度を記述すればよいであろう。

∇ちなみに、10年経験者研修は、中教審答申「今後の教員免許制度の在り方について」(平成14年2月21日)の提案をもとに、同年6月「教育公務員特例法」が一部改正され、平成15年4月に施行された新しい研修機会の設定である。10年経験者研修は、教育公務員特例法24条が規定している。「小学校等の任命権者は、小学校等の教諭等に対して、その在職機関(私立の小学校等の教諭等としての在職機関を含む。)が十年(特別の事情がある場合には、十年を標準として任命権者が定める年数)に達した後相当の期間内に、個々の能力、適性等に応じて、教諭としての資質の向上を図るために必要な事項に関する研修(以下「十年経験者研修」という。)を実施しなければならない」。おそらくこの研修は、教員免許制度の更新制への一里塚と文部行政内部では捉えられているであろう。

∇初任者研修については、教育公務員特例法23条で規定されている。「小学校等の任命権者は、小学校等の教諭等(政令で指定する者を除く。)に対して、その採用の日から一年間の教諭の職務の遂行に必要な事項に関する実践的な研修(以下「初任者研修」という。)を実施しなければならない」。昭和63年の改正から初任者研修制度は導入された。

∇問1は、教員としての自覚を求めるため、関連法令知識を確認させる設問といえる。穴埋めの問題を一つでも間違えると苦しい。

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