広島教員採用試験対策レジュメ 

第1回 2003年夏実施・過去問の検討
問3

V 広島県では、確かな学力と豊かな心を育むための取組みの一つとして、「ことばの力」を育成することにしています。児童生徒に確かな学力と豊かな心を育むことと「ことばの力」を育成することとは、どのようなつながりがありますか。簡潔に書きなさい。

∇教育長が、「『ことば』は、学習や生活の基本です。近年、核家族化や都市化の影響で人と人との対話の機会が減っています。国際化や情報化が進み、大量の情報を理解したり、自分の考えを積極的に発信することが求められています。新たにパンフレットを作成し、学校での『ことばの教育』を充実してまいります」と語るように、広島県の今年度3大教育方針のひとつに掲げているものである(他の2つは、安全と健康)。御当地問題として、目を通しておくべき内容であろう。

∇したがって、問題文中では、「ことばの力」となっているが、これは、広島県のめざす「ことばの教育」の内容を理解していますか、ということである。理念的には、「ことばについて考える100人委員会」などが議論しているように、児童生徒の読む・聞く・話す能力を向上させる取り組みであって、ものごとを深く考える力=論理的表現力の育成とコミュニケーション能力の育成を、大きな柱としている。具体的には、「朝の読書活動」、「ひろしま子どもプレゼンテーション」、「感動体験ジュニアレポーター」、「『ことばの輝き優秀作品』表彰」の諸活動の推進である。問いは、こうした「ことばの力」が、児童生徒に確かな学力と豊かな心を育むことにどう関連するのかを尋ねているので、「確かな学力」と「豊かな心」(育てよう『心の元気!』)についても調べておかなければならない。

∇一般的には、「確かな学力」とは、知識や技能はもちろんのこと、これに加えて、学ぶ意欲や自分で課題を見付け、自ら学び、主体的に判断し、行動し、よりよく問題解決する資質や能力等まで含めたもの。「豊かな心」とは、道徳教育の推進と奉仕・体験活動の充実によって養われるとされる。広島では、朝の読書活動が豊かな心を育む活動のひとつとしている。

∇上のような広島の取り組みの理念的源泉は、中教審答申「新しい時代における教養教育の在り方について」(平成14年2月21日)の「国語の力」が下敷きになっている。そこで述べられていることは、次のようにまとめられる。普遍的な教養として、教養そのものを深めるのに欠かせない道具的な力が「国語の力」である。初等教育段階で論理的な思考や表現力を定着させるには、言葉をうまく操れなければならないということである(ただし、国語力の養成が日本人のアイデンティティの確立、豊かな情緒の涵養と同時に語られている点は注意されなければならない)。

∇同答申の教養の定義、国語教育に関する事項、国語の力に関する事項を参考に取り上げる。 「教養とは、個人が社会とかかわり、経験を積み、体系的な知識や知恵を獲得する過程で身に付ける、ものの見方、考え方、価値観の総体ということができる。教養は、人類の歴史の中で、それぞれの文化的な背景を色濃く反映させながら積み重ねられ、後世へと伝えられてきた。人には、その成長段階ごとに身に付けなければならない教養がある。それらを、社会での様々な経験、自己との対話等を通じて一つ一つ身に付け、それぞれの内面に自分の生きる座標軸、すなわち行動の基準とそれを支える価値観を構築していかなければならない。教養は、知的な側面のみならず、規範意識と倫理性、感性と美意識、主体的に行動する力、バランス感覚、体力や精神力などを含めた総体的な概念としてとらえるべきものである」。

「時代がいかに変わろうとも普遍的な教養がある。かつて教養の大部分は古典などの読書を通じて得られてきたように、読み、書き、考えることは、教養を身に付け深めるために中心的な役割を果たす。その礎となるのが、国語の力である。国語は、日常生活を営むための言語技術であるだけでなく、論理的思考力や表現力の根源である。日本人としてのアイデンティティの確立、豊かな情緒や感性の涵養には、和漢洋の古典の教養を改めて重視するとともに、すべての知的活動の基盤となる国語力の育成を、初等教育の基軸として位置付ける必要がある」。

「国語教育や読書指導の重視(幼、少年期)・国語教育を格段に充実する必要がある。その際、名文や詩歌等の素読や暗唱、朗読など、言葉のリズムや美しさを体で覚えさせるような指導の良さを見直すべきである。また、近年多くの学校に広がっている『朝の10分間読書』(朝の始業前の時間を活用した読書活動として、昭和63年千葉県船橋学園女子校で始められ、全国的な広がりを見せている取組。平成14年2月8日現在の実施校は、7909校(内訳:小5299校、中2139校、高471校 朝の読書推進協議会調べ)で、うち全校一斉に行っている学校は6322校ある)は、読書の楽しみを知るだけでなく、集中力の向上などにも大きな成果があると言われ、このような活動が更に広がっていくことが期待される。併せて、司書教諭の配置やボランティアの活用、情報機器の整備などを通じ、図書館の総合的な機能の充実に取り組んでいく必要がある」。

「読書の推進(高校)・若い時期に、和漢洋の古典を始め、優れた書物に向き合うことの大切さを強調したい。読書は、考える力を育てるのみならず、様々な価値観に対する理解を促し、多元的な視野を与える。例えば、各高等学校において、学校としての『必読書30冊』を選定し、生徒に卒業までに読むことを勧めるなどの方策も有効であろう」。

∇以上の資料を素材に解答を考えてみる。「(模範解答省略)」。少し長いかもしれないが、この程度の分量で、いかがであろうか。

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