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麗小中一括採用

 いわゆる「中学校等の免許状で小学校を受験できるあるいは教えることができる」という巷間の話題に関して―――「うしろのこくばん」においてもこの件について書き込みがありますね。

 ワタクシはこの話題に関する新聞記事を読んでおりません。しかし、おそらくその記事は「教育職員免許法の一部を改正する法律等の施行について」(文科省事務事官通知)をふまえてのものでしょう。

 「教育職員免許法の一部を改正する法律」は、平成14年5月31日法律第55号として公布、この7月1日から実施になりました。また、あわせて「教育公務員特例法施行令の一部を改正する政令」(大学院修学休業を可能とする措置に関する政令です)、「教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令」(専修免許状に示す専門性の明記に関する省令です)も公布され、同じく7月1日から施行されました。免許法一部改正の趣旨は、幼小中高の各学校段階間の連携の促進、専科指導の充実のため、免許制度をフレキシブルにしようとするところにあります。

 「通知」をみますと「他校種免許状による専科担任制度の拡充」と「隣接校種免許状の取得を促進する制度の創設」の説明があります。ここでの記述が「中学校等の免許状で小学校を受験できるあるいは教えることができる」という問題関心に直接関わる点でしょう。

 前者には、「中学校又は高等学校の教諭の免許状を有する者が小学校の相当する教科及びその他教科に関する事項で文部科学省令で定めるものの教授又は実習を担任することができることとした」とあります。たとえば中学数学教諭が小学校算数を教えることができるように制度整備したということです。

 改正法律は7月1日施行ですから、もうこうした取り組みを公式に行なっている小学校もありそうですが、ワタクシは実例を知りません。同様の趣旨で高校国語教諭が中学国語を担当する、高校生物教諭が小学校理科を担当する、その他、高校の書道、工業の先生が中学校で教えることができるということになります。その教諭に過度の負担がかからないかぎり、また、児童生徒の指導に支障をきたさないかぎり、転任、兼職の措置も認められています。現役の先生方の校種異動がスムースになることはありそうです。

 ですから、これらのケースは現役の先生方の連携・交流ということであって、教採受験生には直接関係ないですね。法規の問題として出題されるかもしれませんが。後者は、「普通免許状を有する者が、3年の教職経験により、要修得単位数を軽減して、隣接校種の普通免許状取得できる」、またその「単位を免許法認定講習、免許法認定公開講座等で修得できる」と説明されています。ということは、本来必要な単位数を「経験」をもってかえるということですね。

 以上のように、この「通知」を読むかぎり、校種資格をこえて教採受験が可能というわけではないようです。そうした記述はありません。ただし、「免許法認定講習」がどのような形で実施されるのか、今後の展開を待つほかないですが、場合によっては、この「講習」を大学の教職課程に取り入れたり、取り入れられなくても特定の大学に設置したりということは考えられると思います。しかも小学校教員養成課程を持った大学に、この「講習」を重点的に設置することが予想されます。新聞に報道されたように、大阪教育大学と大阪府教育委員会のパイプが太くなり、蜜月関係が深まるとすれば、この思惑通りになるでしょう。おそらく小学校課程を持たない私立大学系においては、その設置は難しいでしょう。この点は、「公開」という文言を信じるほかありません。教職の開放性の危機かもしれません。

 いずれにせよ政府・文部科学省のねらいは、「先生になるのなら、全校種の免許状くらいとっとけよ」という感じでしょうか。ただ現在でも通信課程を活用して小学校免許状を取得する方が多いのですから、事態は劇的には変わらないのではないでしょうか。それだけ意欲のある方が教員を目指される結果となりますので、国民的利益が上昇するわけですし、ワタクシたちの「のぞむところ」ではないでしょうか。

 このような制度が今年度はムリとしても、来年度、再来年度に整って、小中両免許取得者が増え、中学高校教諭志望者が小学校に流れ、その結果小学校の倍率が上がるかもしれません。また、中学教諭志望者の合格枠を広げ、やや大量に採用し、その合格者たちを小学校専科にいわば「まわす」ということも考えられますが、これはワタクシの予断に過ぎません。

 結局、自治体は、受験の門戸を開く制度を整え、小学校教員採用試験受験母集団つまり教採受験生の絶対数を増やし、その中から選びたい、ということはすなわち、一層、小学校教諭によい人材がほしいということなんでしょうね。

 最後に、来年度大阪府が小中採用試験を一本化するということについてですが、これは大阪府の教育委員会のサイトを確認して下さい。現時点ではなにも告示がありません。もしそうするのなら、なんらかの発表があるでしょうが、しかし、そんなことを悩んでいても仕方ありません。採用試験の実施責任者は教育長にあるのであって、ワタクシたちにはないのですから。ワタクシたちは教員としての資質能力を今まで通り高めるよう努力するだけです。


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