聾 浩の教室 聾
−掠-mode版−

驪年シンドラーのリスト


 指の先を針でつき刺し、プツッと血を浮かせる。それを頬に塗る。唇に塗る。健康体であることを親衛隊に示す知恵である。そうでもしないと適正な労働力とは認定されず銃殺される。強制労働に従事するユダヤ人女性の悲しい知恵である。ユダヤ人の集団に、ある盗みの嫌疑をかけ、親衛隊は見せしめのためにひとりのユダヤ人男性を射殺する。殺され地べたに突っ伏した死体を指差して、小さな子どもが「彼が盗んだのです」と犯人に仕立てて親衛隊に示す。それを誰もが咎めない。いや、よくいってくれたと思っているにちがいない。他の仲間が助かるからである。アウシュビッツの浴場に設置されたシャワーから、果たして湯が出るのか毒ガスが出るのか。慄く全裸のユダヤ女性たち。それまで貯めてきた全財産を擲って、自分の工場の労働力としてのユダヤ人1100人を、ナチの狂気と殺戮から救った。シンドラーのリストは命のリストであるといい、それ以外は死の淵にあるとタイピングしながら感激するアイザック。2人の乾杯は戦後もあったのであろうか。戦時の狂気と人間の愚かさ、そして人間愛がどういうものであるのかが全編に配合されている「シンドラーのリスト」をみて、深く考えさせられた。ラストでシンドラーが跪いて泣くシーン、その時のセリフは、涙を誘った。「この車を売り払っていれば、もう10人救えたのに」、「このバッチは金だから、2人は救えた」。ナチ党員でありつつユダヤ人1100人を救った「正義の人」、オスカー・シンドラー。その逃亡を静かに見守るところで、フィルムの大体は終了する。このフィルムは、ナチの酷い殺戮のシーンが随所にあるけれど、戦争の愚かさを余すところなくワタクシたちに伝えてくれる。スティーブン・スピルバーグの傑作である。これを学校の教材にすることは、ほぼ無理であろうけれも、合格した後、是非見てほしい。

Jan.12,2010・浩


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