コラムとしての過去問研究

2002年9月

次の評価に関する(1)、(2)の問いに答えなさい。

(1)次の文は、教育課程審議会答申による評価の在り方についての抜粋です。(ア)〜(ケ)にあてはまる、適切な語句を書きなさい。

@ 学力については、( ア )の量のみでとらえるのではなく、学習指導要領に示す( イ )な内容を確実に身に付け、自ら学び自ら考える力などの( ウ )がはぐくまれているかどうかによってとらえる必要がある。
A これからの評価においては( エ )学習状況の評価を基本とした現行の評価を発展させ、( オ )に準拠した評価(いわゆる絶対評価)を一層重視するとともに、児童生徒一人一人の良い点や可能性、進歩の状況などを評価するため、個人内評価をすることが重要である。
B このため新学習指導要領の下でも、現行の指導要領における評価の観点、「( カ )」「( キ )」「( ク )」「( ケ )」の4観点による評価を基本とすることが適当である。

(2)次の表1は、絶対評価、相対評価、個人内評価について、それぞれの長所と短所を示したものです。空欄に簡潔に1つずつ長所・短所を記入し、表を完成させなさい。

長   所 短   所
絶対評価

相対評価 学習者の努力や進歩の状況が適切に反映されない。
個人内評価 学習者の意欲や努力が評価でき、進歩の状況が分かる。

 自治体を問わず、平成15年度教員採用試験問題に頻出したのが、この評価についての問題です。それもそのはず、相対評価から絶対評価への移行は、教育現場を揺るがした大問題であったからです。宮城県も多分にもれないでしょう。評価体系の変化は、当の児童生徒にとっては進路に密着するだけに、彼らをオロオロさせるばかりだし、保護者も「いったいどうなっているの」というのが本音でした。とりわけ進学先の私立の学校は、絶対評価を信頼せず、内申を無視するがごときです。東京都では、私学が共通テストを導入しようとして、都教委ともめているくらいです。全員に最高点が与えられる可能性のある評価では、正しく個々の生徒の学力が把握できないと判断した私学の悩みは理解できるところでしょう。

 出題された答申の名称は「児童生徒の学習と教育課程の実施状況の評価の在り方について」です。平成12(2000)年12月、教育課程審議会に答申されました。この教育課程審議会は今はもう中教審に吸収されて存在しませんね。この審議会では、問題文に取り上げられているように、平成元年改訂以来の観点別評価をベースに、絶対評価・個人内評価を採用するよう提案されています。文科省自身がいいだした、自ら学び自ら考える「生きる力」をどう評価すべきか、教育現場は困惑していたはずです。なぜなら、数値にしがたい「生きる力」をどうやって客観評価するんだろうかと、現場は固唾を飲んで文科省の答えを待っていたからです。責任ある発言が文科省に望まれていたといえるでしょう。

 実態のよくわからない「生きる力」をいいだすだけあって、文科省の回答は、やわらかなものでした。知識や技能の到達度を評価することは大切だが、自ら学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの諸能力を含めた評価を実施するべきであると。知識よりも知恵を、創造の根底にあるべき「ものを考える力」を養成したいと意気込む文科省の姿勢は評価できます。形式陶冶は教育の本質に据えなければなりませんね。ただし厳しい数値的評価が下される実社会が、こうしたやわらかな学校の評価体系をどのようにみているのか、そのあたりのところを見誤ったのではないでしょうか。

 「関心・意欲・態度」をトップとして、「思考・判断」、「技能・表現」、そして最後に「知識・理解」と児童生徒を評価する観点は各教科に適用されます。「総合的な学習の時間」の評価は、文章でするようにとのお達しですね。しかも各学校で評価の観点を定めることができるようです。現場の先生方はチャンスともいえますね。評価システムに関して創意工夫できるのですから。

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