集団討論についての覚書・5

人物重視試験のおおきな壁

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例題 1

      それでは「高校中退・高卒者の離職について」を具体的に分析していきたい。このテーマを聞いて、教員としての立場にたって、まず心に浮かんだことはなんだろうか。ぱっと浮かんだことを大切にしよう。こうした最初のひらめきは馬鹿にできないものをもっている。文章でも、単語でも、一言でもいい、なにかノートに書いてみよう。

 このテーマは、とある県で高校志望者に対して出題された問題であるが、広く「教育学」の領域からいって、小学校・中学校を目指す方も考えるべきテーマであるといえる。みなさんの心に浮かんだことはいろいろであろう。たとえば、中退の原因として、児童生徒が授業についていけないこと、その裏返しとしてよい授業を実践できないことの教員側の反省、問題行動・非行、いじめによる休学、生徒の資質としての粘り強さの衰退、などであろうか。一方、高卒者の離職の原因として、進路指導のまずさ、将来像を自分で描けない、集団になじめない不器用さ、ひとつのことを継続して行なう力の衰退、社会問題としてのフリーター、などであろう。まとめていえば、教員側が抱える問題と、生徒が抱える問題と2つの視点から語り得る切り口があるということである。

 このように、おおきくは2つの視点からまとめられるが、受験者によってばらばらに出てくるこのような「思いつき」を、筋道立てて討論しなければならないのである。すなわち、「課題の本質」を参加者共通のものにしなければならない。中退、離職という言葉が並列して出題してあるということは、「君たち、その共通して議論すべき点を見抜けよ」という教育委員会からのメッセージであるとみなければならない。両方にかかわる本質を摘出し、議論の柱をどこに求めるか。それは、「粘り強さを育てる教育実践」ということになろう。中退も離職も、問題は中途半端な姿勢の改善にあるわけである。
 

 中途半端な姿勢で様々な事にあたる児童の多い昨今である。小学校で寂しくも形成されてしまった粘り強さのなさが、次第に増幅され、高等学校で中退としてあらわれるのならば、「元からたたないとダメ」ということである。だから、最初にこの課題が小・中学校を目指す方も考えなければならないテーマといったのである。「粘り強さを育てる教育実践」が討論の目的地で、そこに「航海」するあいだに、参加者の多様な発言が位置付けられるべきであろう。これを、小・中学校志望者なら、「キレる子ども」の「生産」から「落ち着いた子ども」を育てる教育へ、といったらいいであろうし、もっといえば、落ち着き→じっくりと物事に打ち込む姿勢→生きる力、と展開してもよいであろう。

 課題について議論するひとつの構成をここでしめせば、@「粘り強さを育てる教育実践」という議題の提示、つまり、「切り口」の提示、A「中退」に関し教員が抱える問題、B「中退」に関し生徒が抱える問題、C「離職」に関し教員が抱える問題、D「離職」に関し生徒が抱える問題、E討論のまとめとしての改善点の提出、となるであろうか。

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