◆「田母神氏招致・詳報」(田母神氏国会招致・APA懸賞論文問題)

【田母神氏招致・詳報】(1)「後世の歴史の検証に耐えうる質疑をお願いする」委員長冒頭発言で


 11日に参院外交防衛委員会で行われた田母神俊雄・前航空幕僚長の参考人質疑の詳報は以下の通り。

【委員長の冒頭発言】

 北沢俊美・参院外交防衛委員長「テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行います。本日は参考人として前防衛省航空幕僚長、田母神俊雄君にご出席をいただいております」

 「この際、田母神参考人に一言申しあげます。現在、本委員会ではいわゆる補給支援特措法改正案を審議しておりますが、今般、参考人の論文をめぐる問題を機にわが国の文民統制に対する国民の懸念が高まり、そのあり方が問われる事態となっております」

 「本日、参考人に出席を求めた趣旨は、国民の代表機関たる国会の場において政府に対し、この問題をただす一環として招致したものであり、決して本委員会は、参考人の個人的見解を表明する場ではありません。参考人におかれてはこの点を十分に理解し、質疑に対し、簡潔にご答弁をいただきますようようお願いをいたします」
「さらに本日の委員会の質疑にあたって、質疑者ならびに答弁者に対し、委員長から一言お願いをいたします。今回の前航空幕僚長の論文事案は、制服組のトップが自衛隊の最高指揮監督権を有する内閣総理大臣の方針に反したことを公表するという驚愕(きょうがく)の事案であり、政府防衛省において、文民統制が機能していない証であります。このような中で国民が文民統制の最後の砦(とりで)として期待するのは国会であります」

 「昭和の時代に文民統制が機能しなかった結果、三百数十万人の尊い人命が失われ、また、国家が存亡の淵に立たされたことは、忘れてならない過去の過ちであります。国家が存亡の淵に立った最初の一歩は、政府の方針に従わない、軍人の出現と、その軍人を統制できなかった政府議会の弱体化でありました。こうした歴史を振り返りつつ、現在の成熟した民主主義社会の下において、国民の負託を受けた国会がその使命を自覚し、もって後世の歴史の検証に耐えうる質疑をお願いする次第であります。それでは質疑のある方は順次、ご発言をお願いします」

【浅尾氏の質問】

 浅尾慶一郎氏「冒頭、2、3、参考人に伺いたいと思いますんで。事実関係ですので簡潔にお答えいただきたいと思いますが、いわゆるアパの論文につきまして、235件の応募のうち、94件が自衛官だということが判明しておりますが、参考人は記者会見でですね、「こういう論文があるということを紹介はしたことはあるが、組織的に勧めたことはない」といっておりますが、自衛隊のどなたに紹介をしたのかお答えいただきたいと思います」

 田母神氏「私は、航空幕僚幹部の教育課長にこういうものがあるというふうに紹介をいたしました。そして、私が指示をしたのではないかというふうに言われておりますが、私が指示をすれば、多分98とか70なんぼとかいう数ではなくてですね、もう1000を超えるような数が集まると思います」

 浅尾氏「次に、参考人はアパの代表である元谷氏とですね、さまざまな個人的な関係もあるというふうに報道されておりますが、私が調べましたところ、参考人の公用車運行記録、都外、自衛隊の施設所以外というところでですね、本年の6月2日、アパグループ会長元谷氏の出版記念行事に行かれておりますが、このとき参考人は代休をとっておられますが、公用車を使っていかれたということで間違いありませんか」

 田母神氏「公用車を使って行っております。休暇については、とっていなかったのではないかというふうに思います」

 浅尾「あの、今朝、防衛省からはですね、代休をとっておられるという説明があったもんですから、ちょっとその辺を明らかにしたいと思いますが、防衛省、分かりますか」

 浜田靖一防衛相「当日、代休をとり参加したという記録があると承知しております」

 浅尾氏「代休をとったときに公用車を使うのがいいのかどうか。これは非常に不適切ではないかなあということだけは指摘をさせていただきたいと思います。次に、アパとの関係で、その出版記念パーティーで、あるいはその他のときに、車代等の授受はございますか」

 田母神氏「車代などをいただいたことはございません」

 浅尾氏「すなわち一切、資金提供、その他便宜を受けて、提供を受けたことがないということでよろしいですね」

 田母神氏「はい、資金提供などは一切受けておりません」

 浅尾氏「次に防衛省に伺いますが、防衛大臣はですね、今回の田母神参考人の論文がですね、自衛隊法第46条の、懲戒処分の規定にある、隊員たるに相応しくない行為について、それの疑義がある、しかし、定年との関係で疑義があるんで、審理の時間がないので、審理はしなかったと答えておられますが、そういう理解でよろしいですね」

 浜田防衛相「あのー、私、今回の事案につきましてはですね、基本的に、政府見解と異なる答弁を、というか論文を公表したことが極めてわれわれとすれば問題でありますし、まあご自分の職種というものに対して、そこの自覚という部分に対して、その立場にありながら、そういった論文を公表したということが問題だというふうに認識をしているところであります」

 浅尾氏「私の質問は、まず政府見解と異なるものを発表したので、人事上の措置として空幕長の職を説いた、その次に、過去にも国会の中で、懲戒処分はしないのかという質問に対して、時間がないという答えだったので、懲戒処分にあたる自衛隊法第46条に規定する隊員たるに相応しくない行為があったと、あった可能性については否定しないという理解でよろしいですかということなんで、簡潔にお答えいただきたい」

 浜田防衛相「今回の今、委員のご指摘の点につきましては、われわれとすれば今回時間がないというようなお話をさせていただきましてたけれども、今回の手続きなどを考えれば、われわれすれば、この田母神幕僚長に対して、いろいろな形でお働きかけをさせていただいて、辞任を説得いたしましたけれどもですね、ご自分がそういった意味では、この処分に対してですね、えー、いろいろな審理に対してですね、お答えをしていくということでお話しをされましたので、そういった意味で、今回その手続きにあたってですね、時間がかかるというお話しをさせていただいたわけですんで、そういう意味ではわれわれとすれば、その点も含めて、しっかりと判断をさせていただいたいということであります」


【田母神氏招致・詳報】(2)「村山談話の見解と私の論文は別物」


 浅尾氏「手続きにおいて時間がかかるから、ということだが、過去の平均日数54日。私は時間をとらなかったのは(規則が禁じる)『みだり』(に退職させてはならない)にあたると思う。鵬友という雑誌の昨年の5月号に今回の論文と同じ趣旨の意見を発表しているが、間違いないか」

 田母神氏「間違いございません」

 浅尾氏「鵬友に寄稿されたときに内局などから何から注意はあったか」

 田母神氏「注意はありません」

 浅尾氏「そうすると、昨年5月の段階では問題なかったことが、今年になって問題になってきているというのは、マスコミが本件を大きく取り上げたから問題になったと田母神参考人は思っているのか。別の聞き方をすると、内局としては昨年5月に同じことを認識していたが、注意をしなかった。本年になって世間が騒いだから注意をするようになったとの認識を田母神参考人はもっているか」

 田母神氏「騒がれたから話題になったという風に思います」

 浅尾氏「では、防衛大臣にうかがうが、なぜ昨年5月の段階でまったく注意がなかったのか」

 浜田防衛相「鵬友の雑誌の性格が部内誌あったということもありますし、そこまでわれわれとしてはそこまで目が及んでいなかったのは事実だ」

 浅尾氏「鵬友が部内誌というのは任意のサークルがつくっている。国会図書館にも出されている資料で、しかも大臣のところには100冊ぐらい届けられている。従って部内誌だから政府の見解と異なることを発表してもいいということをおっしゃっているのか」

 浜田防衛相「われわれとすると、その今回の件を含めてそうだが、自分の意見、考えを決していってはいけないということはいっているわけではない。当然、専門知識などを私どもにいってもらうのはいけないといっていない。監督不行き届きといわれても今の状況からいえば当時の同人雑誌への寄稿をチェックしていなかったのは事実だと思います」

 浅尾氏「なぜ今回はチェックをしたから航空幕僚長の職を解いたのか」

 浜田防衛相「私とすれば、さきほど来、今回の皆様方のシビリアンコントロールの指摘を受けた際に、航空幕僚長の立場で見解を通知せずに、立場において発表したのは極めて問題と思っている。その意味では、私どもの判断としておやめ頂いた、ということ」

 浅尾氏「確認ですが、政府見解と異なることを発表しても、通知があればいいと。あるいは政府見解と異なることを申し上げても気づかなければいいということか」

 浜田防衛相「そのようなことではございません。これを手続き上、こういった形で応募しました、内容はこうですということを報告いただければ適切な指摘をさせていただいて、その認識についてわれわれとすれば、われわれの考えを伝えて当然そこでどのような判断されるかを含めて、幕僚長の立場としての意見を正していかなければいけない立場であるから、ですから言わないからとか、いったからではなくて、今回の航空幕僚長の立場において極めて不適切であるという判断をした」

 浅尾氏「政府見解と異なっても思う可能性もあるので、雑誌にのせた段階で政府側がチェックをし、指摘するべきではなかったか。その点に政府に誤りがあったかどうか」

 浜田防衛相「その時にチェックできていなかったのは事実だ。そしてそれを多くの隊員に影響を及ぼしたかという可能性は否定しないが、まだその点をチェックしていないわけで、要するに影響がでたとか、でないとかについては。まだそれは今ここでお答えすることはできない」

 浅尾氏「チェックできなかった責任は」

 浜田防衛相「いま雑誌に関しての記事はチェックしていなかったのは事実でそれは問題」

 浅尾氏「その責任はどなたがとるのか」

 浜田防衛相「これはそういった場合には上司の判断をうるので、いま田母神幕僚長のそのときの地位の、あとのきは自衛隊幹部学校でしたか、ここの上司がチェックする責任があった」

 浅尾氏「そのときは航空幕僚長でありましたので、従って官房長が責任があるとの理解でいいか」

 浜田防衛相「そういうことになると思います」

 浅尾氏「官房長に対し処分するのか」

 浜田防衛相「これは昨日処分させていただいた。今回の処分でしたが、そのときの処分に対してわれわれとしては考えておりませんで、今回の件に関しての処分をした」

 浅尾氏「田母神参考人は東大で講演されている。かなり論文と異なっている。当時の講演は石破大臣が原稿をチェックしたと聞いているが、その理解でいいか」

 田母神氏「原稿は書いておりません。チェック受けていないが、石破大臣から発言には十分注意してくださいとの指導は受けた」

 浅尾氏「東大のときとアパの論文のときと内容を変えた理由は」

 田母神氏「それは大臣の指示でありますから、これには従わなければいけないということで、アパの論文に比べればやわらかい表現にした。ただ、私は村山談話の見解と私の論文は別物だ。村山談話は具体的にどの場面が侵略だとかまったくいっておりませんので、私は村山談話と違った見解を書いたとは思っていない。われわれも憲法19条、21条、23条の自由は…」

 浅尾氏「小松基地での論文は田母神参考人と同じ趣旨の論文だが、すべて中身をチェックをしたのか」

 浜田防衛相「いま調査しているところで、今回チェックした中身は同じ趣旨のものはなかったと聞いている。ただ、聞き取りの形しかとれないので、まだ調査段階」

 浅尾氏「94人のうちの小松基地所属の分については事前に読んでいたのか」

 浜田防衛相「いま調査している中では項目立て 本人に対して確認というとこまで、すべて読んでいるというわけではない」

 浅尾氏「小松基地においては提出期限をのばして、とりまとめて出したということなので、全部読んだということではないのか」

 浜田防衛相「私への報告は、全部読んだと聞いていない」


【田母神氏招致・詳報】(3)浜田防衛相「憲法に関し見解を述べることは一概に禁止されているわけではございません」


 浅尾氏「自衛隊法施行令の87条、『政治的目的のために官職、職権その他公私の影響力を利用すること』に当たる可能性がある、と理解していいんですか?」

 浜田靖一防衛相「今回の、憲法に関して見解を述べる行為というのはですね、隊員の思想信条、表現の自由、そういうものを有するわけでありますので、憲法に関し見解を述べることは一概に禁止されているわけではございません。政治的行為との関係においてはですね、日本国憲法に定められた民主主義政治の根本原則を変更しようとする意思を持って特定の政策を主張し、また、これに対するものでない限り、自衛隊法61条で制限される政治的行為だとは思っておりません」

 浅尾氏「先ほども申し上げましたが、1年前に雑誌でまったく同じことを書いたときは問題になっていないのに、懸賞論文では問題になっている。ということはそもそも、防衛省のなかの基準が非常にあいまいだ、ということを指摘させていただきたい。これは、田母神参考人個人ということではなく、中の基準がはっきりしなければいくらいろんなことを言えといっても…たぶん田母神参考人は、石破茂前防衛相が退任時に『どんどん意見を言え』ということで、自分の意見を言ったんだ、ということだと思うが、その意見を言ったら、過去はよかったが今度はダメだと、ダブルスタンダード(二重基準)が一番の問題だ。ダブルスタンダードを改めない限り、シビリアンコントロールは効かないと思うが、どういう反省で取り組むのか」

 浜田氏「今、委員ご指摘のとおり、そういった基準というはですね、やはり明確であるべきだと思っておりますし、今後、われわれとすれば、その点をしっかりと直しながら、こういったダブルスタンダードがないようにしていきたいというふうに思っているところです。その点、しっかりとした基準を作りながら、またいろいろとご指摘をいただきながら、そういったものを作りあげていきたいと思っているところです」

 浅尾氏「田母神参考人に、過去は問題になっていないが今回問題になったことについて、また更迭されたことについて、なぜそうなったのか、ご自身の感想をうかがいたい」

 田母神氏「私はあの、言われております、村山談話と異なる見解を表明したということで更迭をされたということでありますけれども、これについてはまあ、シビリアンコントロール(文民統制)の観点から、私は、見解の相違はないと思っておりますが、大臣が『見解の相違がある』と判断をされて、不適正であると判断をされて、解任をするというのはまあ、政治的に当然だろうというふうに思います。私は、私の書いたものがいささかも間違っているとは思っていませんし、日本が正しい方向に行くためには必要なことだというふうに思っております」

 浅尾氏「私の質問は、1年前はまったく問題にならなかったのに今回は問題になったことについて、どう理解しているかだ」

 田母神氏「まあ、今回はやはり、多くの人の目について、マスコミなどで騒がれたからではないかと思っております」

 【民主党・犬塚直史氏の質問】

 犬塚直史氏「今日は田母神参考人に立法府にお越しをいただいた。全国の有権者らが見ているだろう。何よりも、24万の自衛官のみなさんも非常に注目している審議だと思う。今、『自分の書いたことは間違っているとは思わない』という発言がありました。私は、家族、国を思って世界の平和を願うという気持ちは、立法府も行政府も1つの変わりはないと思う」

 「しかし、今おっしゃったような侵略の定義は、一国の憲法を超えた問題。立法府の議題だということをご認識いただきたい。外から見て、国会がしている議論に歯がゆい気持ちをお持ちになるかもしれない。ただし、立法府で決まったことについては行政府が粛々と実行していく、という国家運営の基本をないがしろにするような言動について、私は田母神氏の個人的思想信条についてうんぬんするつもりはないが、しかし、この件への政府の受け止め方は軽すぎる。首相のぶらさがりの答弁も、非常に軽いことをおっしゃっておられる。防衛相は、今回の田母神氏の言動は3権分立という原則に対する重大な挑戦だとは思われないか」

 浜田氏「私も、委員ご指摘の通り、大変憤慨をしているところでございます。ですから、その方法論はいろいろな、辞めていただくための方法論はあったかもしれませんが、私とすれば、今、委員がご指摘になったように、われわれ国会の重要性、そしてまた世界のおける今の情勢、等々を考えれば、こういった発言というのはあるべきものでないと思っておりますし、極めて不適切で、極めて重大な発言だと。私としてはその責任の重さというのは感じていただかねばならない。私はそう思っております。ですから、航空幕僚長としての職を解いた。そしてそののちに、われわれとすれば、今一番早い形でお辞めになっていただくのが重要と思ったので、その点で退職をしていただいた、ということであります。それは、われわれとすれば迅速な対応が必要だと思ったので、この方法を選ばせていただきました」

 犬塚氏「防衛相は思いを共有していただいているという答弁をいただいた。しかし、一般の有権者、自衛官に伝わってくる印象は、非常にあいまいなまま、まあまあとなだめている。きちっとした対応をしていないとみえる、ということは指摘をしておきたい。防衛相、防衛副大臣、防衛政務官が給与の自主返納を決めたが、その理由は」 

 浜田氏「今般の給与の自主返納はですね、田母神前航空幕僚長の行為がその職責にふさわしくない、不適切なものでありまして、防衛省・自衛隊の信頼を損ねたことを、防衛省を預かる最高幹部として重く受け止めたということでございます」

 犬塚氏「それならば、張本人の田母神氏に対し、どうして懲戒手続きに入らなかったのかなあ、というのがごく常識的な感想。そこでうかがうが、田母神氏の懲戒手続きには入ったのか、入ってないのか」

 防衛省の渡辺人事教育局長「防衛省といたしましては、田母神前航空幕僚長を10月31日付で航空幕僚監部付とし、さらに11月3日付で勤務延長期限の繰り上げにより退職させる人事措置を講じたものでございまして、懲戒処分の手続きには入っておりません」

 犬塚氏「このときの10月31日の経緯を見ると、副長が田母神氏に2つのことを聴いている。1つは、ごめんなさいと言って辞表を出してくれと。2つめは懲戒手続きに入った場合は審理を辞退してくれないかと。早急に、迅速にそれを終わらせたいと。その2点を聴いたと。これでよろしいか」

 田母神氏「はい、そのとおりです」


【田母神氏招致・詳報】(4)「自衛官にも言論の自由。どこが悪かったか審理してもらった方が…」


 【民主・犬塚直史氏の質問は続く】

 犬塚氏「副長が電話、訪問により意思確認をしたことについてどう感じたか」

 田母神氏「はい、あのまず、先にあの先生が、私が立法府に対して挑戦をしているというふうにおっしゃいましたけれども、私はいわゆる村山談話なるものを、あの公然と批判したことはまったくありませんし、論文の中でもまったく触れておりません。従って、それは、あの、妥当ではないというふうに思います」

 「それから、航空幕僚副長が私にいってきたときに、私は私が書いたもの、それから、私が当然、自衛官も言論の自由が認められているはずだから、言論の自由が村山談話によって制約されると、いうことではないんではないかと思っておりましたので、この、岩崎副長に対しては、ぜひ、どこが私が悪かったのかを、あの、審理してもらった方が問題の所在がはっきりするという風に申し上げました」

 犬塚氏「田母神氏の反応は当然だと思う。この当然の反応に対して、それを受けて懲戒手続きに入らなかった方が遙かに問題だと思うが、大臣、どう思うか」
 浜田靖一防衛相「私は、そうは思っておりませんで、その懲戒手続きの最後まで審議ができるというものはですね、えー、その時点で私どもとしては、時間がかかってですね、その意味では途中で尻切れトンボになる可能性があるということを、これを私どもとすれば、判断したということでございまして、今、議員のおっしゃるように、その判断がといわれても、私どもとすれば、それが最善の判断だと思っております」

 犬塚氏「懲戒手続きが尻切れトンボになるというのはどういう意味か」

 浜田防衛相「先ほどから申し上げておりますように、要するに定年が来る、まあ、54日というのは平均日数でございますから、あのいろんなお話が、今こちらの方にヤジが来ましたけれども、基本的には、一番その懲戒免職にいたるまでの日数からすれば、これは10カ月くらいかかるというわけでございます」

 「そういったことを含め、また、先ほど田母神前空幕長がおっしゃっているように、ご自分の意見をですね、しっかりと自分の意見を述べ、なおかつそこで、自分の一つづつ、いろいろな違反などについても審議をして頂くということを勘案すれば、我々とすれば、決して短い期間で終わらないだろうということを思い、そして1月ということでございますので、われわれとすれば、われわれの判断として今回の決断をしたということであります」

 犬塚氏「自分の意見を述べることは何か都合の悪いことがあるのか」

 浜田防衛相「私どもとすれば、その、いろいろな隊員などに対する影響も勘案してと、先ほど申し上げた通りでございますので、そういった影響をわれわれとすれば一番いい形で、処分することが重要だということを考えて、今回決断に判断をしたところでございます。

 犬塚氏「それが、非常に国民に対して不信感を与えている対応だと思う。総理の発言をみても、あまりにも今回の話を軽くとらえている。大臣、時間がないとかという話ではあまりにも軽すぎる。これは、総理も同じような見解か」

 浜田防衛相「私とすれば、決して軽い判断とは思っておりませんので、その中で一番選びうる判断をしたということでございますので、決して軽い判断だとは思っておりません」

 犬塚氏「時間がかかることが、どうしてそれは都合が悪いのか」

 浜田防衛相「今回の、それこそ今、私はそのいった内容が極めて政府見解と異なって、それが問題であるということをお話申し上げました。これに関してわれわれとしては、毅然とした態度を示す必要があった。ですから、そういったものに対しては、一刻も早くおやめをいただきたいという思いでそういった形を取った訳であります」

 犬塚氏「辞める形として、どうして懲戒手続きに入らなかったのかということを先程来聞いている」

 浜田防衛相「ですから、われわれとすれば、それを長期化することによって、今回途中で審議が終わってしまうということに対する、これを防止するためにも、われわれとすれば、辞めて頂くというのが極めて重要だと思ったわけであります」

 犬塚氏「長期化することがどうしてまずいのか」

 浜田防衛相「長期化することによって、私は別に長期化してもそれはいいのでありますけど、しかし、それが1月でですよ、要するに定年退職が来るということが、これが一番の問題だと思います」

 犬塚氏「長期化して1月に定年退職を迎えることがどうして問題か」

 浜田防衛相「そこで審議が終わるということであります」

 犬塚氏「1月で審議が終わってしまうから懲戒手続きに入らないというのは、あまりにも非合理な決断だと思うが」

 浜田防衛相「私は決してそうは思いません」

 犬塚氏「これは、懲戒手続きに入る事案だったのか、そうでなかったのか」

 浜田防衛相「入ろうと検討いたしましたが、それを最後まで審議、そして結論を得るまでに至らないという判断をしたということであります」


【田母神氏招致・詳報】(5)「絶対に意見が言えないと…どこかの国と同じくなっちゃう」


【民主・犬塚直史氏の質問は続く】

 犬塚氏「こういうやり方で政府は本当にいいのか、懲戒しなくていいのか」

 浜田靖一防衛相「事の重要性というものを考えて、逆に言えば、われわれの判断に対して、今日この委員会において、参考人として田母神さんをお呼びをして、そしてわれわれの政府としての考え方をいっているわけですから、その意味では、国会の極めて正常な形で、今、やっているというふうに、私自身は思っているところであります」

 犬塚氏「なぜ、懲戒の手続きに入らなかったのか。一つの大きな原因は、6000万円といわれる退職金の問題だと思うが、そういうことも勘案し、54日といわれているが、審理が54日であれば、1月の退職の前に終わるはずなのに、どうして途中で、止めてしまったのか、どうして懲戒手続きに入らなかったのか。もう一度うかがう」

 浜田防衛相「われわれとすれば、なぜ入らなかったのかといわれれば、われわれとすれば、この懲戒手続きに入った際に、航空幕僚長から空将に格下げをした、その際に、定年の日数というのは、統合幕僚長(ママ)においては、定年の延長はできますけれども、空将の定年延長はできませんので、その意味では、1月の終わりに定年がくるということでありますので、その中で一番重要な一番厳しい措置をすべきだというふうに考えて、われわれとすれば、今回懲戒の手続きに入らずに、早期退職を求めたということでございます」

 犬塚氏「それは田母神参考人に伺うが、もし審理に入ったら、ご自分の政治的な意見をそこで述べる気持ちがあったのか」

 田母神氏「はい。審理に入れば、私は、まあ、村山談話というのは政治声明だと思いますから、われわれにも表現の自由やら、言論の自由は許されているはずだからというところは主張させていただくつもりでおりました」

 犬塚氏「村山談話の話をされているが、この件は村山談話、あるいは一国の憲法解釈を超えた話だ。侵略の定義は安全保障にかかわる国会論議の中心的課題だ。こういうことは、行政府のことじゃない。こういう話は、立法府が徹底的に議論すべき話だ。このファクスの送信票を見ると、懸賞論文の募集について。送信元が航空幕僚監部人事教育部教育課。あて先が各責任者に向けてでている。内容は懸賞論文募集について。歴史に重点を置いた精神教育の趣旨に合致するものとして、紹介願いますということが上から来ている。田母神参考人は統合幕僚学校の校長先生としての経歴をお持ちだ。純真な自衛隊員が入ってくる。そういう人たちがこれから日本の専守防衛の自衛隊のこの立派な原則に基づいて行動する自衛隊員にたいして、政府見解と違い、こういうことを上から出すことに私は大きな危機感を持つが、田母神参考人は、そのような自覚はお持ちか」

 田母神氏「あの、統幕学校の学生は、一等空佐であるので、とてももう純真とは言えません。40過ぎて。それから、私が、学校ではですね、国の方針とかいろいろありますけれども、それはまた、学校の中ではですね、いろんなことを議論、学校の中だけですから、例えば専守防衛という決められた枠からわれわれがはみ出て行動するとかいうことではわけですね。だから、それを、結局、議論をして、自由に議論をしましょうということですね、学校では。それも議論ができないというと、日本って本当に民主主義の国家ですかと。何か決められるとですね、絶対に意見が言えないと。政治将校がついていて、どこかの国と同じくなっちゃうんじゃないですか」

 犬塚氏「今問題にしているのは、こういう田母神参考人の受け止め方、議論をしてもいいだろうと。しかも大きな影響力を持つ、いわば行政の長たる人物が、しかも、教職にある人物が、政府方針とは、違う、しかも、あくまでも立法の範囲である話を、このような形で上から下に下ろしているということについて大きな危機感をお持ちにならないのか。どうして懲罰の対象にしないのか」

 浜田防衛相「そこは大変問題であるから辞めていただいたわけでありまして、その辞めさせ方についてはご議論があるかもしれませんが、私としては今回、迅速な対応で辞めていただいたということでございます」

 犬塚氏「最後にもう一度うかがう。どうして懲戒処分しないのか。一番はじめは懲戒処分をしようと思っていた。本人がもし、自分で退職しなければ、懲戒手続きに入るということを前提としてはじめは本人に連絡している。にもかかわらず、本人が徹底的に論戦をするといったら辞めてしまった。これは不思議でしようがない。どうしてそういう弱腰になるのか」

 浜田防衛相「先程来申しあげてますように、この審理の時間、先ほど申しあげたように、退職の時期というものを考えて、私とすれば、辞めていただくには一番それが早いということがございましたんで、私とすればそれをとったということでございまして、委員のご意見に関しては、私はそういう指摘もあるだろうなというふうには思いますが、しかし、私の判断としてはそういう判断をとったということでございます」

 犬塚氏「これは防衛大臣だけではなくて、麻生大臣も類似のことを述べております。定年になるから、その段階で決着しないと具合が悪い、というようなことを述べております。私は、このような政府の取り組みは問責に値するということを申しあげて質問を終わります」


【田母神氏招致・詳報】(6)「ワインの会に都合3回ほど出席した」


 【自民・小池正勝氏の質問】

 小池氏「日本を語るワインの会はご存じか」

 田母神氏「しっております」

 小池氏「この会が平成16年9月15日に開かれて、参考人は出席したか」

 田母神氏「はい、私は都合3回ほど出席した」

 小池氏「その平成16年9月15日のワインの会の出席者は参考人、鳩山由紀夫民主党幹事長ご夫妻、懸賞論文のアパグループ代表の元谷夫妻なのか」

 田母神氏「はいその通りです」

 小池氏「ありがとうございました。文民統制と再発防止という観点から質問します。自衛隊は国民の意思に基づいて運用されるのが文民統制で、この文民統制についてどのような考えをもっているか」

 浜田靖一防衛相「文民統制とは軍事に対する政治の優先。軍事力に対する民主的な政治統制を意味する。軍事力は国民を守る力であると同時に、使い方を誤ると国民に対する脅威にもなる。軍を政治の統制下で活用するとともに、軍の政治介入を防ぐ文民統制を確保するための制度がつくられたと招致している。わが国の文民統制について具体的にいえば、国民に代表する国会が自衛官の定数、主要組織などを法律、予算の形で議決し自衛隊を民主的コントロールのもとに置いている」

 「2番目として国の防衛に関する事務は内閣の行政権に属しており、内閣総理大臣および国務大臣は憲法上すべて文民でなければならないとされている。3番目として内閣総理大臣は自衛隊に対する最高の指揮監督権を有しており、内閣には国防に関する重要事項を審議する機関として安全保障会議が置かれている。4番目として防衛省では文民たる防衛大臣が国の防衛に関する事務を分担管理し、主任の大臣として自衛隊を管理し運営している。その際、副大臣と2人の政務官が政策と企画について防衛大臣を助けることとされている。以上のように国会、内閣、防衛大臣とさまざまなレベルで文民統制が担保されている」

 小池氏「文民統制からして田母神論文は問題があったか」

 浜田防衛相「その通りであります」

 小池氏「懲戒手続きは時間がかかるから、定年退職の形にしてのか」

 浜田防衛相「その通りでございます。そしてまた今回の自衛隊員のとりわけ幹部たるものについての自らの立場を踏まえて節度ある行動をとること、そして政治家が隊員の行動に最終的に責任をとるという信頼関係に基づいたシビリアンコントロールがあるべき姿と考えており、今回の航空自衛官の身分を保有したままで政府見解と異なる自らの意見を主張することがあれば自衛隊の内外に与える影響が大なものと思いまして、今回もシビリアンコントロールの観点からしても退職の措置は適切だった」

 小池氏「現行の制度では最高の措置だったということか」

 浜田防衛相「とりうるべき最善の処置だったと思います」

 小池氏「懲戒したくても審理手続きなどがあるから時間かかってできないことについてどう考えるか」

 浜田防衛相「できないといっているわけではなく、審理が定年でできなくなるということを申し上げている。われわれからすると、できないといっていない。そういうことを勘案したときに、手続きをするよりも早期退職をしていただいた方が同じ退職を選ぶことであるならば早期にやめてもらう方が重要だと考えた」

 小池氏「審理の手続きに時間がかかるから懲戒手続きをしなかったのではないのか」

 浜田防衛相「途中で審理が中断されて定年退職が施行されるということは、要するに懲戒処分の審理は現職なので、その時点で現職でなくなるということであれば当然そこで退職が決定し、審理がストップするので、われわれとしては断念した」

 小池氏「審理の手続きが制度的な問題になっているとは思わないか」

 浜田防衛相「審理手続きの認識は違っていて我々の自衛隊のやっている方の議論で、それを一般職に合わせてやった方がいいとの議論があると思っている」

 小池氏「審理の制度的な問題が障害になって懲戒の手続きに入らなかったとの理解でいいのか」

 浜田防衛相「私どもとすれば総合的にそういう判断を下したということ」

 小池氏「わかりました。施行規則の72条2項には任命権者は規律違反の疑いのある隊員をみだりに退職させてはならないという規定がある。みだりには定年退職は入らないと私は考えるが、どうか」

 浜田防衛相「依願を排除したものはそういうことになろうかと思います」

 小池氏「定年退職はみだりに入らないのか」

 浜田防衛相「そういうことです」

 小池氏「すると、今回の措置は規定に違反していないということでいいのか」

 浜田防衛相「その通りでございます」

 小池氏「文民統制の観点から定年退職をとったと。もう一度答弁を」

 浜田防衛相「われわれとして、とるべきことをしっかりと考えて決断をした。方法論としてはいろいろな指摘はありますが、今回の事案に関しては不適切、不適当な論文であったし、ご自分の立場というものも含めた中で、われわれとすると、問題があるという判断を下した。その中で最大の判断をして処分を決めた」

 小池氏「こうした議論を聞いて感想は」

 田母神氏「とくに感想はありません」

 小池氏「再発防止に向けてどうするのか」

 浜田防衛相「われわれとすると、基準の明確化、そしてそれに対する周知徹底、また隊員個人個人の自覚をしっかり指導しないといけない。まず指摘のあったことを踏まえて今後検討してまいりまいりたい」

 小池氏「再発防止についてどう考えるか」

 河村官房長官「まさに再び起きないようにするのが大事だし、国民も心配を抱いている。いま防衛大臣が述べられたように、まず省内において規律をきちんとすることが大事で、シビリアンコントロールの重要性はどういうものなのかということを防衛省には教育研修機能をもっているから、そこでもう一度きちんとおさらい、勉強することが大事。政府としてもきちんと検証しながら、一方で防衛省改革が進んでおり、そうした中できちんと考えることが重要と考える」

 小池氏「防衛省改革は官邸でやっているが、その中でシビリアンコントロールを第一義に考えてやっていくということでいいのか」

 河村官房長官「シビリアンコントロールは大前提で、ご指摘の通りです」


【田母神氏招致・詳報】(7)「日本の国はいい国だったと言ったら解任された」


【公明党・浜田昌良議員の質問】

 浜田氏「国民が一番知りたいのは、文民統制と、自衛官の言論の自由とはどういう関係なのか。それをはっきりさせることによって再発を防止することが求められている。事実関係をうかがう。論文を対外的に発表する前に官房長に文書で届けることになっているが、今回は口頭での報告だったと聞く。ルール違反だが、なぜそういうことなったのか」

 田母神氏「はい、これについてはルール違反と報道されておりますが、私はルール違反とは認識はしておりません。通知通達については、職務に関し部外に論文などを発表する場合、となっておりまして、今回の私の論文につきましては、別に自衛官の職務をやっていなくても書ける内容でありますし、職務に伴って得た知識を持って書いているものではございません。私の歴史研究の成果として書いたもので、職務に関係していないので私は通知をしておりませんでした」

 浜田氏「今回の論文については、参考人以外にも、航空自衛隊員が94人も投稿している。その方々は職務に関係するという前提で了解を得ているが、参考人の場合は関係しないというのはなぜか」

 田母神氏「これはですね、各部隊などごとに指示が出ておりますので、市ケ谷においては、まあそういう指示が出ておりますけれども、それぞれ部隊は部隊ごとでいろいろ指示が出ているかと思います。部隊が決めたルールに従ってやっていると思います」

 浜田氏「今回の論文と同じ内容について『鵬友(ほうゆう)』という雑誌に載せたことがあった。この件は、官房長に文書で了解を得たのか」

 田母神氏「これについては、同じように連絡しておりません」

 浜田氏「一般国民からみればルールにのっとった手続きを取っていないと映る。懸賞論文について全国の部隊に応募要領を送ったということだが、参考人はこれを紹介したという。どういう意図で紹介したのか」

 田母神氏「あのー、日本にはですね、今、日本の国が悪かったという論が多すぎるというふうに思います。そして今、歴史を見直すということで、日本の国はいい国だったという見直しがあってもいいんではないかとそういう論文を募集しているから、勉強になるから、ということで紹介をいたしました。それで私も今回びっくりしてますのは、日本の国はいい国だったと言ったら、解任をされたと。そしてまた、責任の追及も、いい国だと言ったような人間をなぜ任命したんだといわれる。すると…いいですか? しゃべっていいですか?」

 外交防衛委員長「参考人、質問者がそこまでは求めていませんので…」

 田母神氏「すると、変だなあというのが私の感想です。日本の国が悪い国だという人をつけなさいということですから」

 浜田氏「個々人の見解を述べられるんではなく、質問に的確に答えていただきたい。では、航空自衛隊の方々に投稿してもらう、ということを意図していたということか」

 田母神氏「はい。投稿することによって勉強になって、結果として自学研鑽(けんさん)というか、能力向上になるということで紹介をいたしました」

 浜田氏「東大で講演をしたときは文書で連絡したのか」

 田母神氏「はい、連絡していると思います」

 浜田氏「東大での講演と、今回の論文と、どういう違いがあるのか」

 田母神氏「これはあの、東大で講演をする前にですね、制服自衛官が東大安田講堂で講演をするのは初めてだということで、(当時の)石破茂防衛相にも話をいたしました。で、石破防衛相の方からもいろいろ諸注意があったこともあってですね、通知をしております」

 浜田氏「東大で話したことも論文に近いと思う。矛盾があるのではないか。国民がどのように受け止めたかという問題がある。航空自衛隊のトップが第二次大戦の日本の侵略を正当化するような発言があった。そうすると、自己増殖的に戦争に突入するんではないか、シビリアンコントロールに対する不安を持ったのではないかと思う。まず、政府側に見解をうかがう」

 河村建夫官房長官「今般の田母神前航空幕僚長が政府見解と明らかに異なる見解を公にされたということ、これは憲法に関することでもあり、不適切な表現、誠に不適切だということで、文民統制上の問題あるからということもありまして、われわれの認識のもとでございます。そのことについて、国民のみなさま方に対しても、今ご指摘いただいたようなことのご懸念もある。

 このように考えて、極めて遺憾であるという認識をいたしているところであります。防衛省ではこの問題については、文民統制上の観点からですね、必要な人事措置をとったということでありますけれども、まあいずれにいたしましても、日本において、主権者たる国民を代表する国会議員で構成している国会がございます。ここを始めとして、内閣、また防衛大臣というさまざまなレベルで文民統制が行われている。

 制度的に担保されている。このように考えておりますが、さらに政府としても今後とも、文民統制というものが常に確保される、ということが大事でありますから、努力して参りたい。このように考えます」

 浜田靖一防衛相「今、官房長官が申し上げた通りでございまして、われわれとしても大変遺憾に思っているところでありまして、今、委員会におきましていろいろな委員のみなさんからご指摘を受けましたことを踏まえながら、改善に向けて頑張ってまいりたいと思っております」

 浜田氏「田母神氏の後任の空幕長、外薗空将ですね。就任会見でこういう発言がある。『今般、航空幕僚長という要職にあるものが、政府見解と異なる見解を発表するという不適切な行動を取ったことによりまして、結果的に国民のみなさまの信頼を損なうような事態を招いたことを真摯(しんし)に反省し、心より、深くおわび申し上げます』。こういう表現がある。各大臣、同僚後輩がこういう発言をしていることに、田母神氏は良心の痛みを感じないか」

 田母神氏「私は、日本ほどですね、文民統制が徹底した軍隊はないと思います。諸外国では、文民統制は一般的には政治が軍を使って問題を解決するか、軍を使わないで問題を解決するか、それを政治が決めるという文民統制が普通の形だと思います。

 日本においては、これが自衛官の一挙手一投足まで統制すると。論文を書いて出すのにですね、大臣の許可を得ているという先進国は多分、ないと思います。だから、これだけ徹底していてまたやるとなったら、ほんと、自衛隊は動けなくなります。

 で、私は、大臣がですね、とにかくこれを徹底をするといわれればですね、現職である人たちはですね、大臣の指示ですから、従わざるを得ないと思います。ただ私は、そういう言論統制が徹底したような軍にはですね、自衛隊をすべきではないと思います」

 浜田氏「では、自衛隊においては言論の自由はまったく制限がなくてよいのか。平成4年、陸上自衛隊の3等陸佐が週刊誌上でクーデターを呼びかけたとして懲戒免職になっている。そういう意味では、なんらかの制約がついて回ると理解しているが」

 浜田防衛相「さきほども申し上げましたが、われわれとしては意見を発表する、というは言論の自由も当然あると、われわれも考えなければなりませんので。しかしながら、あくまでも政府見解、そしてまたわれわれの考え、政府の考え方に沿ったなかで議論をしていただくということでありまして、決して言論を抑圧とか、そういったことではないわけではありますんで、しかしながら、それもしっかりとした政府の意向に沿ってやるという前提がですね、まず確保されるということが大事だと思っております」

 浜田氏「今、大臣から答弁がありましたように、政府見解をしっかりベースにして、そのうえで考えていくというのが基本だと思う。その意味で、参考人に聞くが今回の論文はちょっと逸脱を感じないか」

 田母神氏「あの、私は逸脱を感じておりません。政府見解による言論統制だとですね、結局、政府見解で言論を統制するということになりますね。それは私はおかしいと思います」

 浜田氏「言論のあり方について、再発防止のためにもう少し自衛隊・防衛省のなかで徹底していただきたい。防衛相のご決意は」

 浜田防衛相「さきほど来、浅尾委員からもご指摘がございました。しっかりした、そういった基準を含めて、作ってですね、それを、あくまでも基準は作っても、最後は隊員1人1人の考え方、そしてまた自覚ということになるわけで、昨日も訓示のなかでお話をしましたが、まさに服務宣誓にあたっての思いを、もう一度思い返していただいて、われわれとしてはしっかりとした基準を明確にして、それを破らないようにしっかりとした体制を取っていきたいと思っているところでございます」


【田母神氏招致・詳報】(8)「yahooでは…58%が私を支持している」


【公明党・浜田昌良議員の質問は続く】

 浜田氏「一つのアイデアだが、自衛隊の方々がずっと自衛隊という組織の中で上がっていくだけじゃなくて、ある一定のタイミングでいいんだと思うが、外に出てみる、他省庁に出向したり、民間に行ったりするということで、外から自衛隊を見るという経験が重要だと思うが、大臣の見解をお聞きしたい」

 浜田靖一防衛相「現在、幹部自衛官については、広い視野に立った人材育成の観点から、他省庁への出向とか、民間企業での研修も行っております。また防衛省改革では、プロフェッショナリズム、職業意識の確立のために、文官、自衛官を問わず、自らの任務について、その意味を理解して、より高次元の倫理観、使命感、責任感を持って仕事に当たらなければならないとされております。そのために国内外への留学やさまざまな行政経験の機会を与えていくように、提言されております。いずれにせよ、この事案を受けまして、このようなことが二度と起きないように人事上の施策や教育を含めて、どのような防止策があるのかも含めて、検討してまいりたい。今、委員の指摘のあったことを、さらに一層進めていきたいと思っているところでございます」

 浜田氏「今回の件、国民には文民統制についての不安を覚えさえた。また、後輩の外薗現幕僚長に対しては、さっきいった謝罪会見をしなきゃいけなかった。そして防衛大臣はじめ、事務次官、局長などが懲戒処分を受けることになった。こういうことを受けて、それなりのトップの座におられたわけですから、退職金の一部でも返還する、そういうようなことはお感じないですか」

 田母神氏「あの、その意思はありません。で、あのー、今、何だったですかね、ちょっと忘れちゃいましたけど。最初の質問はちょっとすいません、もう一度お願いします」

 浜田氏「本人としては、言論の制約を受けないという答弁を続けているが、私は、もう一度、文民統制、シビリアンコントロールと、自衛官の思想信条の自由、これはあるでしょう。で、言論というものについては、それぞれの立場があるんだと思うんですね。そういう意味では、一自衛官の場合と、航空幕僚長の場合と、いろんな形で、何らかの制約が多分あるんだと思うんです。この辺のシビリアンコントロールと、自衛官の言論の自由、思想の自由について、官房長官に再度ご答弁をお願いします」

 河村官房長官「当然、自衛隊が厳格な文民統制の下にあるわけでございます。そのことを考えますと、自衛官の場合には、特に、航空幕僚長のような幹部がその立場において見解を公にする場合、これは文民統制との関係、あるいはその社会的影響、こういうものをしっかり十分考え、考慮すべき、当然そういうことだというふうに思います。やはり、ノブリスオブリージュといいますが、高い地位にある方は、非常に社会的責任が大きい。そういうことをしっかりわきまえて対応していただく。これもシビリアンコントロールの一つの根幹にある考え方だと思っておりますので、今回の問題が不適切だといわれるその所以だというふうに考えております」

 浜田議員「今官房長官からもご答弁をいただきましたが、ご発言を、短くご答弁」

 田母神氏「国民に不安を与えたと、文民統制についておっしゃいますけど、今朝9時の時点で、私はYahoo!の『私を支持をするか』『問題があると考えるか』『問題がないと考えるか』っていったら、58%がですね、私を支持しておりますので、不安を与えたことはないと思います」

 浜田議員「どういうデータを使っているか分かりませんけれども、トップであった方が、そういうことをもて自分の行動を正当化するのは非常に私は問題だと思っております。そういう意味では今回のことを防衛大臣、官房長官、外務大臣、受け止めていただきまして、こういうことの二度とないようなしっかりと対策をお願いさせていただきまして、私の質問を終えさせていただきます」


【田母神氏招致・詳報】(9)「国家観なければ国は守れない」


【共産党・井上哲士氏の質問】

 井上氏「小松基地でアパグループ会長の元谷氏以前に自衛隊協力者として民間人をF15に搭乗させた例はあったのか」

 浜田防衛相「現在確認できる範囲では小松基地における部会者のF15への体験搭乗は平成18年度において6月に1回、同年8月に1回、同年12月に1回、計3回実施している。また20年度においては4月に1回、7月に2回の計3回を実施している」

 井上氏「戦闘機に搭乗するのはまれだが、民間人の搭乗手続きとその決裁者はだれか」

 浜田防衛相「部外者を自衛隊の航空機に同乗させて飛行する場合は航空機の使用および搭乗に関する訓令に基づいて幕僚長、または権限を委任された部隊などの長が自衛隊の広報業務を遂行するにあたり、とくに有効な場合において部外者の搭乗を承認している。昨年の8月21日の元谷会長らのF15体験搭乗については当時の航空幕僚長が承認している」

 井上氏「なぜ異例の便宜供与をされたのか」

 田母神氏「元谷代表は平成10年から小松基地金沢友の会の会長として、第六航空団および小松基地所在部隊を支援していただいた。この10年間の功績に対して元谷代表の希望もあり、部隊の要請もあり許可をした」

 井上氏「アパグループはホテルも経営しているが、自衛隊員がこのホテルを利用する場合、何か特別な利用契約があるのか」

 浜田防衛相「自衛隊員は私的にホテルに宿泊する際は福利厚生を目的に防衛省共済組合が契約した株式会社JTBベネフィットに申し込むことができる。この場合、JTBベネフィットが提携する複数の宿泊施設のひとつとしてアパグループの施設が含まれていることから、結果として同ホテルの宿泊料金の割引の適用を受けることができる」

 井上氏「今年の1月30日に熊谷基地を視察して講話されていることが埼玉新聞に報じられているが、記憶にあるか」

 田母神氏「はい、講話を行った記憶はあります」

 井上氏「基地視察などに航空幕僚長が行う講話とか訓話はどういう性格のものか。職務権限に基づく教育的な中身と考えていいのか」

 浜田防衛相「講話とか訓話について厳密な定義はないが、講話は部会者に対して広報目的で実施して、訓話は上級者が部内のものに対し教えを諭すことが多い」

 井上氏「当日、1月30日に我が愛すべき祖国日本と題した講話の記録文書では、専守防衛は国策だが、これがずっと続くかは検討されなくてはいけないとか、南京大虐殺はだれもみていないとか、決して日本が侵略のために中国にいったわけではないと述べているが、記憶にあるか」

 田母神氏「私はいつも前置きをしてしゃべるが、これは私の私見である。正しいかどうかはみなさんが判断してください、と。これは私の考えですということで話しているが、内容は論文と同じだと思います」

 井上氏「今年の4月1日に空自の訓練の場で訓話にたって、南京大虐殺に触れ、自虐史観を悲観したと報道されている。論文と同じ趣旨の内容をさまざまな場所で訓話や講話をしている。その場で教育をしている。その内容が政府見解にも反しており、一自衛官の言論の自由という問題ではない。強力な権限をもっている人がその権限として講話をしている。重大ではいか」

 浜田防衛相「大変重大との認識のもとに今回おやめになってもらった」

 井上氏「参考人の講話では、自衛隊は親日派、保守派の代表として外に向かって意見をいわないといけない。問題が起きたときは航空幕僚長を先頭に、航空自衛隊が頑張るしかない。問題はなんぼ起こしてもいいから頑張ってください、と言っている。これはけしかけている。今回の集団応募の背景にもこういう問題がある。参考人は基地視察でどういう懇話や訓話をしてきたのか明らかにしてほしい」

 浜田防衛相「すべて確認していませんので、今後検討させてください」

 井上氏「田母神氏は平成16年の雑誌で『統幕学校では今年の一般過程から、国家観・歴史観という項目を設け、5単位ほどわが国の歴史から伝統への理解を深めさせるための講義を計画した。主として外部から講師を呼び実施している』。これは事実か」

 田母神氏「はい、事実です」

 井上氏「この一般過程の創設を主導したということでよろしいか」

 田母神氏「はい。日本の国をですね、やっぱりわれわれがいい国だと思わなければですね、頑張る気になれませんね。悪い国だ悪い国だと言ったんでは自衛隊の人もどんどん崩れますし、そういうきちっとした国家観、歴史観なりをですね、持たせなければ国は守れない、と思いまして私がこの講座を設けました」


【田母神氏招致・詳報】(10)「カリキュラムの中身は把握しておりません」と浜田防衛相


 【共産党・井上哲士氏の質問は続く】

 井上氏「当時、統合幕僚学校長だったわけだが、陸海空のすべての幹部教育の体系を改定したということ。この教育はすでに4年間行っている。教育目的としては、上級部隊指揮官または上級幕僚としての職務を遂行するに必要な広範な知識、技能を習得させるとなっている」

 「具体的に平成16年度の教育目標をみると、健全な歴史観・国家観を育成し、防衛戦略研究および将来の部下指導に資する、となっている。平成20年のものをみると、例えば『大東亜戦争史観』『日本国憲法の本質』とある。ほかの年度をみると『東京裁判史観』という項目もある。こうした呼び名自体が侵略戦争を否定する中で使われる言い方だ。大臣は先日『今後とも、村山談話などの政府見解を踏まえた適切な幹部教育に務める』といわれたが、こういう内容の歴史観、国家観教育が適切とお考えか」

 浜田靖一防衛相「いやあの、私もですね、今、委員からお話があったようなそのカリキュラム、中身については私も把握しておりませんので、今、その件に関して私の考えは申し上げられません。中身をみさせていただいて、どういうことなのか、ということは確認したいと思いますけれども、今この場で、発言はひかえさせていただきたいと思います」

 井上氏「何が行われているかを把握していない。重大だ。資料では、講師名は伏せてある。なぜ伏せる必要があるのか。実は、平成18年の内容の一部は、大正大学の福地惇教授が4月17日に行ったとホームページで明らかにしている。講義目的は、第1に昭和の戦争は東京裁判の起訴状と判決によるような侵略戦争ではまったくなく、自存自衛のためにやむを得ない戦争だったこと。それが了解できれば、現憲法体制は論理的に廃絶しなければならない虚偽の体制だと断言できることを論ずることであります、と言っている。論文で明らかにしたにとどまらない、村山談話にも政府見解にも反するような、特異な歴史観を自衛隊幹部全体に職務として教え込むというやり方が、田母神氏が主導したといわれる。大臣、重大だとは思わないか」

 浜田防衛相「その部分につきましてはですね、われわれ、統幕学校において平成15年度から一般過程でですね、歴史観国家観という科目を設けられておりまして、その科目がわが国の歴史について部外講師を講義などに実施している、ということも招致しております。ただ部外講師による講義は、歴史認識を含めさまざまな事項についてバランスの取れた見解と幅広い視野を有する自衛官を育成するために有意義であると考えております。他方、部外講師の選定については、自衛隊員が偏向した歴史認識を有することなく、歴史を客観的に理解することができるよう考慮しつつ、慎重に行う必要があると考えているところであります」

 「今、ご指摘にあったことがですね、逆に言えば、これを確認するという意味ではまだわれわれとすればそういったことも意識のなかにございませんし、逆に言えば、今、先生からご指摘のように、これは重大なことではないかといえば、まだこの影響がどのようにでているか把握をしておりませんので、今この場でお答えすることは控えさせていただきたいと思います」

 井上氏「公然といえるような雰囲気、土壌を作ってきたことが問題だと思う。およそ、バランスが取れた中身だとは私は思えない。講師名を明らかにすること、幹部教育の内容の全容を明らかにしていただきたい」

 浜田防衛相「先生のご指摘のことに関しましては、ご本人の意思の確認もさせていただかねばならないし、それに関してはお時間をいただきたい。ただ、こういうことを自由に議論しているからこうである、というご指摘がある半面、他の議員の先生からもっと議論をしてしっかりとはき出させることも重要だというご指摘もあり、われわれとしては今後、よい方法を選んでいきたいと思います」

 井上氏「一自衛官の議論の自由という問題ではない。幹部教育として、任務として集めて教育している。もっと認識していただきたい。こういう事態のまま、自衛隊を外に出していくことは厳しく問われているし、この問題の一層の徹底究明が必要であって、テロ新法の採決は論外だ、ということを申し上げて質問を終わる」


【田母神氏招致・詳報】(11)完「日本だけが悪いと言われる筋合いはない」


 山内氏「職責にある人が、個人と同じように論文を書くこと、あるいは若い自衛官の前で講話することが許されていいのか。本人は『逸脱していない』といった。したがって、政府として、防衛省として、自衛隊の再教育、自衛隊の中の総点検をする必要があると思うが、大臣、決意のほどを」

 浜田靖一防衛相「それこそ、この案件というのが先程来、委員の先生方から極めて重大な問題というご指摘を、私自身も受けておるわけでございますので、その点は、今委員からご指摘の思いをしっかりと体してやっていきたいと思っておりますし、この問題、今日の委員会というものをですね、終わったからそれでいいというふうにも考えておりません。われわれは、しっかりと答えを出していかなければならないと思いますので、今の先生の決意ということでございますので、しっかりやっていくということを申し上げておきたいと思います」

 山内氏「悪かったこと、教訓にしなければいけないこと、反省しなければいけないことは、政府はもちろん、現職の自衛官諸君もそういう視点に立って、国家観 歴史観を持たなければ、偏った歴史観、偏った国家観を持つと、その刃はどこに向くかは、戦前の日本の軍隊が示している。私は、怒りと、この時点で伝えておかなければならないことを言った。一言でいいから、私のこの見解に対して、反省する所があるかないかだけ尋ねる」

 田母神氏「先生のおっしゃっていることが、私は、全面的に正しいとは思いません。悪いことを日本がやったというのであれば、じゃあ、やらなかった国がどこですかと、私は論文に書いてますが、日本だけがそんなに悪いといわれる筋合いはないし、また、私の論文が論文といえないということです。それは私が評価したのではなくて、審査員の先生方が評価してくれたことですから、それは私には関係ありません」

 山内氏「集団的自衛権も行使できない、武器の使用も制限が多い、攻撃的兵器の保有も禁止されていると、田母神氏は文章の中で強調している。私は文章を読んで思った。田母神さんは相当、不満を持っていると。あなたは、集団的自衛権も行使し、あるいは武器も堂々と使用したいというのが本音ですね」

 田母神氏「ええ、私はそうするべきだと思います」


(『産経新聞』2008年11月11日)

なお、問題の田母神論文『日本は侵略国家であったのか』はこちら(PDFファイル)。
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