『総合的な学習の時間』であなたは児童(生徒)にどのような力を付けさせたいか、具体的に述べよ。

みやけんさんの投稿

 「総合的な学習の時間」において、私が生徒につけさ
せたい力はただひとつ、それは「あなたは誰ですか」と
いう問いに自信を持って答えることができる力、つまり
アイデンティティ形成である。アメリカの心理学者、エ
リクソンは言う。青年期の発達課題は、アイデンティティ、
つまり「自分らしさ」の形成である。ここでいう「形成」
とは、自分のよいところ、わるいところ、好きな面、嫌
いな面、変幻自在で捉えようのない「自分」という存在
を快く、とまではいかないにしても、「これが自分なん
だ」ということを甘受することだと、私は解釈する。普
段の生活ではあまり気にかけない、あるいは気にかけな
いようにしている「自分」という生き物を見つめなおす
時間が、青年期の生徒達には必要なのである。そのため
の授業展開として、ここに1つの具体例を示す。
 名づけて、「自分グラフの作成」である。これは、一
種の折れ線グラフである。横軸は生徒が生まれてから今
に至るまでの時間的経過を示し、縦軸は気分の高低、あ
るいは抑揚を示す。生徒は時間の経過に沿って、当時何
が起こってどういった気持ち、楽しかったのか、落ち込
んでいたのかをグラフに記す。そうすると、そこには世
界でたった1つのグラフが浮かび上がる。そして自分が
辿ってきた道、その轍を今一度振り返り、振り返った上
でそのグラフについての感想を書き提出する。私はそれ
にコメントをつけて返却する。
 一見すると、こんなことでアイデンティティの形成に
何の関係があるのか、どう形成されるのか疑問に思うだ
ろう。しかしグラフの作成により過去を振り返りつつ、
その生き方を内省し、感想によって現在の自分を知ると
いう意味がここには隠されている。たしかにそんな簡単
に形成されることができるわけはないし、そんなたやす
いことなら、発達課題にはならない。しかし、この単元
を自分探しの旅に費やし、ほんの少しでも生徒達が自分
と真正面から向き合う、そのきっかけをつくることがで
きれば、この授業は成功と言えるはずである。

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